M（コジレ島の女住人）: 2015年8月アーカイブ

　お盆も終わり、夏のピークは過ぎましたね。こんにちは女住人Mです。ちょっとゆっくりしたいな、と感じるようなこの時期には単館系の映画を観るのも良いですね。今週はシネマイクスピアリで8/22（土）から公開『チャップリンからの贈りもの』をご紹介します。

　主人公はスイスに住む移民の中年男、お調子者のエディ（ブノワ・ポールヴールド）とその親友のオスマン（ロシュディ・ゼム）。エディは刑務所から出所したばかりでお金も住むところがなく、オスマンの家に転がり込みます。でもオスマンも妻が入院中で一人娘サミラとの生活もやっとな状況。そんな時にエディはチャップリンが死去したことを知り、あることを思い付きます。「自分たちみたいな貧しい移民を演じてきたチャップリンは俺たちの友達だ！友達だからお金を借りよう」と。そして思い付いたのがチャップリンの遺体を誘拐して身代金をとることだったのです。
何とも突拍子もないあらすじですが、これが実話からインスパイアされた物語というのが驚きです。1978年、喜劇王チャップリンの死からおそよ2カ月。スイス・レマン湖畔にある墓地に埋葬されていたチャップリンの遺体が棺ごと盗まれる事件は本当に起きていたのです。
　

　実際の事件は身代金の電話を娘で女優のジェラルディン・チャップリンが受け、警察が逆探知に成功し犯人が捕まりました。遺体を墓場から掘り起こして盗む、なんて遺族のことを考えたらとんでもない暴挙な訳ですが、この映画の中ではエディが主導権を握ってオスマンにいろいろ指図しても、もともと計画の詰めが甘いし、オスマンは及び腰。二人ともドジばかり踏むヘタレ中年だし、身代金要求でチャップリンの家に電話しても軽くあしらわれる始末で、観ているこちらはそのダメダメ加減にもう笑うしかなありません。と同時に次第と何だか可哀想にもなってきます。

オスマンに至っては可愛い娘サミラがいるから悪事をしてはいけないとわかっていても、入院中の妻の治療費が払えないことで苦しんでいる。母親がいなくて夜に泣いてしまうサミラ・・・。もういろんなことの板挟みなんです。根っからの悪党なんかじゃない二人のドタバタを観ているとまさにそれはチャップリン自身がこれまで演じてきた主人公たちの物語と重なってくるので「チャップリン、二人をどうかちょっと助けてあげてくれないかな～。」なんて気分にもなってきます。

　本作は実際に起きた事件だったこともあって、チャップリンの遺族の方の理解がとても重要なポイントでした。チャップリンの息子さんであるユージーン・チャップリンさん自身、事件自体は嫌な記憶だったので企画自体に最初は反対していたそうですが、監督の気遣いに触れ快諾されたようで、実際、ユージーンさんはサーカス支配人の役で、孫娘のドロレス・チャップリンさんがチャップリンの娘を演じ、チャップリンが埋葬された墓地がロケ地として提供されたばかりか、晩年に住んでいた邸宅が当時のままの調度品を揃え本編の中で登場します。

（チャップリンの映画さながら、お調子者のエディはひょんなことからサーカスで働くことに・・・）

「街の灯」「ライムライト」「黄金狂時代」など往年のチャップリン名画からの名シーンのオマージュが次々登場し、「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」で知られる作曲家ミシェル・ルグランの楽曲が全編を彩る（しかも、「ライムライト」のテーマ曲を巧みにアレンジした曲）という、チャップリン映画好き、おフランスな雰囲気がお好きな方にはグッとくる1本です。

　弱き者の眼差しで映画を作り続けたチャップリンの精神を踏襲し、喜劇と悲劇が紙一重なペーソス漂う男たちの人生を優しく、可笑しく描いた大人な映画『チャップリンからの贈りもの』は是非スクリーンでお楽しみ下さい。

By.M
©Marie-Julie Maille / Why Not Productions

　まもなく"夏休みも終わり"に近付いてきました。大人になるとそれは薄れた記憶でしたかありませんが、それでも街の至る所に"夏休みが終わっちゃう！"という気配は感じられますね。こんにちは女住人Mです。
今回は季節がゆっくりと次にバトンタッチするこの季節にお似合いな映画、8/22（土）公開の『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をご紹介します。

　舞台はスコットランド・グラスゴーのとある街。入院中のイヴ（エミリー・ブラウニング）にとってはピアノに向かい曲を作っている時が唯一の救いの時間。ある日、病院を抜け出した彼女はライブハウスでアコースティック・ギターを抱えたジェームズ（オリー・アレクサンデル）と出会い、さらに友人のキャシー（ハンナ・マリー）も加わって3人で一緒に音楽を作ることに・・・。本作は20代の若者たちの恋と痛みを音楽に載せて描く、ポップ・ミュージカル映画です。

　監督・脚本のスチュアート・マードックはスコットランドを拠点にしたベル＆セバスチャンのフロントマンでヴォーカル、つまり本業はミュージシャン。もともと自分のバンドのために曲をいくつか作っていたのですが、「これは女の子が歌った方が可愛いぞ」と思い付き、そんな女の子の物語を回想している内に脚本が出来あがってしまった、という変わり種の1本。たまたま「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」や「ライフ・アクアティック」で知られるウェス・アンダーソン監督作品のプロデューサー、バリー・メンデルの目に止まり、試行錯誤を経て、この映画は完成しました。

　という紹介の中からうっすら漂っていますが、本作はギターポップ、ネオアコ系音楽、おシャンティ～なファッションが大好きな方、それこそウェス・アンダーソン監督作品がお好きな方には必然的にズキュンとくる1本。その昔、私が大学生時代には"シブヤ系"なるカルチャーがありましたが、そういったものに触れていた方は特にノスタルジーな感情と共にこの映画を好きにならずにはいられないかと・・・。マードック監督が作った曲はどれも心地よく、その音楽にあわせてイヴ、ジェームズ、キャシーが踊るダンスシーンは決してうまくないけれど、そのぼんやりダンスがまた愛おしい。センス抜群なマードック監督のお洒落エッセンスが随所に光ります。

　と書くとルックスだけの映画に見えがちですが、そんなことはありません。実はマードック監督は20代の前半に慢性疲労症候群という病にかかり7年自宅で闘病、その後カレッジの音楽制作コースに通い、バンド"ベル＆セバスチャン"を結成した経緯がありました。主人公のイヴも音楽だけが唯一の拠り所で、音楽と出会い、友達と出会ったことで人生が動き始めます。そう、まさにイヴはマードック監督とまんま重なります。

　若い時は恋に友情に、生きることに悩みがちで今思えば何でもないことでもつまずいてしまいますが、たった1つの出来事や一人との出会いによって物事が大きく変わるものですよね。イヴは拒食症とうつ病の治療で悶々とした日々を過ごしていたのですが大好きな音楽が友を結びつけ、ちょっとした恋も生まれ、前へ進むきっかけを見い出していきます。この映画における可愛らしいルックスはシリアスな現実を包むオブラートのような気もします。

　そして、ある出会いで人生が一変し、前へ進む人がいれば必ずそれを見送る人がいます。この映画でもイヴの旅立ちを淡い気持ちを抱えながら見送る人がいます。前向きながらもどこか切なさも漂う本作は、季節が変わろうとする気配が感じられるこの時期に観るのにピッタリ！ワードローブの大半がボーダーシャツというあなたに特にオススメですYO！！
By.M
© FINDLAY PRODUCTIONS LIMITED 2012

　以前よりは夕暮れ時も少し早くなり、夏も徐々に終わりがやってきますね。こんにちは、女住人Mです。でも映画館はまだまだ熱く盛り上がって行きますよ。
今週は世界中で大大ヒットしている映画、8/5（水）公開『ジュラシック・ワールド』をご紹介します。

　エポックメイキングな作品は月日が流れても、世代が変わっても観る者の心を奪うものですね。
93年、スティーヴン・スピルバーグが監督した「ジュラシック・パーク」はまさにその代表格の1つ。「あの時の映画体験を今でも覚えている」という方も多いのではないでしょうか？遺伝子工学により現代によみがえった恐竜たちが生息する"ジュラシック・パーク"、あのテーマパークが22年の時を経てついにオープンしました！それが本作『ジュラシック・ワールド』です。
今回、スピルバーグは製作総指揮ですが、思い入れがある作品なだけあって監督のコリン・トレボロウも自らが指名！トレボロウ監督、その大役を見事にやってのけています。

　コスタリカ沖の広大な島に作られた"ジュラシック・ワールド"はかつてないスリルと興奮が詰まったテーマパークで世界中から観光客が押し寄せていました。が、パーク責任者のクレア（ブライス・ダラス・ハワード）ら経営陣はさらに動員を増やすべく、様々な恐竜、生物のDNAを掛け合わせたハイブリッド恐竜インドミナス・レックスを誕生させてしまいます。そして高い知能を持つこの恐竜が逃走し、状況は一変。島中の恐竜たちが観光客たちに次々に襲いかかります。

「ジュラシック・パーク」を映画館やTVで既に体験したことがある人（便宜上"ジュラシック・チルドレン"とでも名付けましょう）はまさに本作で"ジュラシック・ワールド"に初めて行くクレアの甥っ子たち、ザック（ニック・ロビンソン）とグレイ（タイ・シンプキンス）兄弟と同じように、目の前に広がる光景に「ついにオープンしたーーー！！！」と、興奮は隠せないハズ。追い打ちをかけるようにあの"ジュラッシック～"のテーマ曲が流れちゃったりすると、ジュラシック・チルドレンはそれだけで感涙！当然ながら今の技術でもって描かれる恐竜たちの実在感も期待以上。
物語の中でもザック＆グレイ兄弟のザックはちょっと反抗期なので恐竜が大好きな弟グレイが無邪気にはしゃぐのを斜に構えて見ているのですが、イルカショーよろしく、モササウルスがホホジロザメにかぶりつくエサやりショーを見た途端、そのあまりもの迫力に心から「ひゃほ～い」と大興奮してしまう。わかる、わかるよ、その気持ち！

（ひと夏の大冒険で少年たちが成長する物語というジャンルはまさにスピルバーグ印。
この兄弟のルックスもまさにスピルバーグ印の登場人物ですね！）

でもそんなテンションあげあげ↑なひと時を過ごしていたと思ったら、高度な知能を持ち、巨大で凶暴なインドミナス・レックスが逃亡したら最後、夢のテーマパークは地獄絵図となってしまいます。お金儲けのためにもっと特殊な恐竜を、もっと強い恐竜をと自然の摂理に逆らうと罰がすぐ当たるのが"ジュラッシック"シリーズの醍醐味！？

　そんな危機に立ち向かうのはパークで恐竜の調教をしているオーウェン、扮するは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で愛されキャラを確立したクリス・プラット。彼が関わった「ガーディアンズ～」「LEGOⓇムービー」そして本作と、どの映画も立て続けに大ヒットしていて、今ハリウッドで一番持ってる男！
もともとおバカ映画やコメディ映画の顔だったクリス・プラット（以下クリプラ）が今回はそういうおちゃめな要素を封印している所はちょっと残念ですが、信頼出来る男感に溢れるクリプラが機転でもってインドミナス・レックスからの攻撃をかわしたり、調教していた恐竜・ラプターたちを味方につけて戦う姿はクリプラが演じたからこそ説得力もあります。
日本では知名度がイマイチなのは否めませんが世界的には大スターの1人になったクリプラがこの映画でもって日本でも人気が出れば良いな～とクリプラ好きな私は切望しております。

（劇中のクリス・プラットのこのポージングは"prattkeeping"というネーミングまでついて、世界中のジュラシックファンがこれを真似てパロディー画像をネットにUPしています。検索してみると面白いですよん。この作品が広く愛され、大ヒットしている証拠ですね。）

　映画の世界は実際には体験出来ないことを追体験出来る、というのが魅力の1つ。本作はまさにそれを楽しむのにうってつけの1本。動くものなら容赦なく何でも襲うインドミナス・レックスに見つからないよう、皆さんも悪夢のテーマパークから無事帰還してきてくださいね。
既に全米＆全世界歴代興収も共に「アバター」「タイタニック」に次いで第3位と地球上で大ヒット中！日本でもこの夏、No.1洋画作品になる勢いの『ジュラシック・ワールド』は8/5（水）からシネマイクスピアリで開園中です！

By.M
Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment
ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment
Universal Pictures and Amblin Entertainment

　酷暑が続く中、この夏の映画ラインナップも熱く盛り上がってきました！こんにちは女住人Mです。今週は本年度ベスト級！！世界のスーパースター☆トム・クルーズ主演最新作8/7（金）公開『ミッション：インポッシブル／ローグ･ネイション』をご紹介します。

　"スパイ大作戦"が子供の頃から大好きだったトム様が初プロデュース作に選らんだのがこの「ミッション：インポッシブル」、本作で5作目となりました。今回は多国籍スパイ集団"シンジケート"の暗躍によりイーサンが所属する参謀機関IMFが解体の危機を迎えます。CIAからも目の敵にされ、孤立無援の状況でイーサンは仲間たちと共に"シンジケート"を追い詰めます。

　「ミッション：インポッシブル」と言えば回を増すごとにエスカレートするトム様のアクションが何よりもの見もの。しかもそれをトム様自身が本当にやっているというのが何てったって凄い！特に前作「ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル」では世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファ（828メートル）で映画史に残るアクションを繰り広げました。あれを見せられた観客は「さすがにトム様ももう年だし（現在53才）、あれ以上のアクションを生身でやるってのも・・・」と思ったことでしょう。トム様はいつも私たちの期待に100％応えるどころかそれを遥か凌駕する結果を出してくれることは知っています。でも、さすがのトム様をしても、もうあれ以上のことはないかな、と私も思っていました。

　が、が、我らが目撃した本作の予告編でトム様は飛行機にぶら下がっているではありませんか！時速400㌔、上空約1500㍍へ上昇する飛行機に潜入すべく、それにしがみつくトム様！！Noスタント、100％トム様！命綱1本が飛行機とトム様を繋いでいます。上空なので極寒、でもトム様が身にまとうはスーツだけ。寒い！寒い！そこでのアクション、しかも8テイク。「なぜにここまでトム様・・・」という問いにトム様は笑顔でこう答えるのです。「観客の喜ぶ顔が見たいからさっ」。マジか！トム様！！！！

加えてこの他にも巨大給水タンク内で行われる酸素ボンベなしの潜水アクションシーンも登場。息を止めて水中にいるだけでも大変なのにトム様はこれにアクションという負荷までかけるんです。トム様はこのために訓練を積み、6分以上ノーカットでこのシーンを撮影。「なぜにここまで・・・」という再びの問いにトム様はまた笑顔で答えるのです。「だって観客が喜ぶ顔が見たいじゃないか」。こうなると「え？じゃあ映画の見せ場は予告が全てってこと？」、と思うかもしれません。しかし、本編を観て知るのです、この大がかりなシーンは映画の序章に過ぎないということを・・・恐るべしトム様！！

繰り広げられるアクションの全てに大興奮、もうずっとフルスロットル！バイクチェイスも「ミッション～2」のそれをさらに進化させているし、カーアクションも重厚かつスピーディー。リアリティのあるアクションを心がけているトム様はもちろんこのアクションも自分でやっちゃう。もう観ている間中、トム様が我ら観客を楽しませるためにどれだけ神経を注いでいるかが本当に手に取るようにわかる、トム様の熱い想いが映画を通してヒシヒシと伝わってくるんです。エンターテイナーとして、ここまでの想いで映画を作っている人がどれだけいるでしょうか。そんなトム様の愛溢れる作品をお客様に届けることが出来る私の仕事・・・光栄過ぎる！とさえ思いました（笑）

　話が逸れましたが、そんなトム様のスーパーアクションと熱い想いが堪能出来るだけでなく、大人な雰囲気、ゴージャスな世界観、ストーリーテリングの豊かさがプラスされている所も本作の魅力。そこはやっぱり監督・脚本を手掛けたクリストファー・マッカリーの手腕！「アウトロー」ほかこれまでもトム様と一緒に3本映画を手掛け、トム様直々に本作の監督・脚本をオファー、その人選が見事に功を奏しています。アクション、ストーリーテリング、キャラクター表現といった全体のバランスがとっても良いんですよね。マッカリー監督もトム様の想いにバッチリ応えています！

　他にもイーサンを支える仲間たち、その中でも回を追うごとに出番が多くなる、IT&ガジェット担当のベンジーがイイ！演じるは「スタートレック」シリーズのサイモン・ペッグ。マッカリー監督が手掛けた大人な装いの世界感の合間にコミカルな要素で盛り上げるのがベンジーの役目。トム様もサイモンがお気に入りとみえて息もぴったり。アクションだけの一辺倒映画だと飽きがきますが、イーサン＆ベンジーのバディな関係性がこれまでになく発揮されているのでそこがまた物語に緩急を与えていてGOOOOD！

今回登場する謎の女イルサもボンドガール、はたまた峰不二子的なポジションでまたイイ！演じたのは大抜擢のレベッカ・ファーガソン。アクションも切れるし、雰囲気もあって、こういう女優さんをうまくキャスティングするな～と感心しちゃいます。と、いったようにトム様を取り巻く役者たちもとっても素晴らしいんですよね。

　今年の夏は大作揃いで実写もアニメも本当に面白い作品ばかりなのですが、映画を観ていて作り手たちの「観客が楽しんでくれる作品を作る」という想いがこれ程までに伝わり、そこに置いての妥協は一切なし！実際に観ていて心からワクワクする、そういう意味ではこの夏、この映画がぶっちぎりのNo.1と断言します。まさにチーム・トム様は一丸となって我らに素晴らしい1本を届けてくれました。その想いを受け取らないと罰が当たりますYO。
「ほら、どうだい？」と、トム様が笑顔で問いかけてくる2時間11分！『ミッション：インポッシブル／ローグ･ネイション』は8/7（金）からシネマイクスピアリで公開です。
トム様、最高だぁぁぁ～！

By.M
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