インデペンデント系映画: 2016年9月アーカイブ

『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』

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 こんにちは、女住人Mです。夏休みも終わり、これからの季節は大人のための映画が続々公開されます。今回ご紹介する作品はまさに大人な恋愛を描く、9/3公開『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』です。
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 監督は♪ダバダバダ、ダバダバダ♪のテーマ曲でお馴染「男と女」のクロード・ルルーシュ、そして音楽はそのダバダを生み出したフランシス・レイ。これまでも数々の作品でタッグを組んだ二人が大人の愛の物語を紡ぐと聞けばそれだけで本作を観たい!と思う方も多いハズ。

 主人公のアントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は映画音楽の作曲家。ボリウッド映画製作のためインドを訪れ、そこでフランス大使の妻アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)と出会います。愛する夫の子供を授かりたいと願う彼女は聖母アンマに会うために巡礼の旅に出かけ、アントワーヌはしばしの休息を求めそれに同行することになります。
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 互いにパートナーがいる者同士、しかも満ち足りた生活をしている者同士なのですが、出会ってしまったことで、何かが変わってしまいます。つまり二人が惹かれ合っていけば行く末は不倫なのですがルルーシュ監督にとって、"確かなものなんてない、特に人が恋に落ちることにおいては"、というのが大前提。ルルーシュ監督はこう言います。「誰かが誰かを深く愛していても、別の人間を好きになることもあるということを描きたかった。私にとって愛はあらがうことのできない麻薬のようなものだ」と。アムールの国フランスに生まれ、今年79歳を迎える巨匠がこう言い切るんです。そこに不倫の文字を出す方が野暮というものです。そうですよ、落ちてしまったことに関してはしょうがないんです。
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しかも二人の男女間で交わされるやり取りは巨匠と言われる人が作り出すような成熟した大人のそれではなく、むしろ瑞々しく、初々しい。アンナとアントワーヌは戸惑いながらも恋に落ちる様々な予感を意識していく。そんな心の有り様を丁寧にナチュラルに描いていくのが本作なのです。
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(75歳で初めて訪れたインドに魅了されたルルーシュ監督。全編インドで撮影されたので、異国の地の風景も見所。
インドでもルルーシュの手にかかればそこにはエスプリが漂います♪)

 そして、まさに愛、アムールな物語の魅力をさらに倍増させているのが本作のキャスティング。才能に溢れ、自信家だけど可愛げも持ち合わせるアントワーヌに「アーティスト」でアカデミー賞主演男優賞も獲得したジャン・デュジャルダン。あの屈託のない表情で微笑まれたら世の女性なら大概のことはOKしてしまうでしょう。ともすれば、鼻もちならない男性になったかもしれない役をデュジャルダンが演じたからこそ「もう、しょうがないな~」と許してしまう。そんないろんな意味での包容力ある男性、彼以外だったらジョージ・クルーニーぐらいしか演じられませんぜっ。
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アンナを演じるエルザ・ジルベルスタインも品があり、大人な分別を持ち合わせていると思える反面、少女的眼差しをのぞかせる表情に、殿方もノックアウトなハズ。加えて、アンナの夫サミュエルをクリストファー・ランバードが演じた所もミソ!1980年代の彼の活躍を知っているとより味わいも増します。誰からも愛され、妻を心から愛しているのに裏切られてしまう夫。この映画、サミュエル目線で観てしまうともうたまらない・・・本当に恋愛において確かなことなんてないのね、と。
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 映画は二人の葛藤を象徴するかのようにいくつかの夢や幻といった印象的なシーンも織り交ぜられます。出会ってしまった二人の恋のエンディングも夢か幻なのか・・・・
大人の"愛の前奏曲"、是非ご堪能ください。

追伸、
クロード・ルルーシュ監督×音楽フランシス・レイで描く「男と女」が今年製作50周年を記念してデジタル・リマスター版で蘇ります。シネマイクスピアリでは11/5(土)からの公開、こちらもお楽しみに♪
By.M
(C)2015 Les Films13-Davis Films-JD Prod-France2 Cinema


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