『ワン・バトル・アフター・アナザー』
最近、いや今年、いやここ数年観た中でもズバ抜けて面白かった映画に出会えて私は興奮&感動してます。こういう出会いがあるから映画を観るのを止められない!今回ご紹介する作品は10/3(金)公開『ワン・バトル・アフター・アナザー』です。

元革命家のボブ(レオナルド・ディカプリオ)は、娘・ウィラ(チェイス・インフィニティ)と平凡で冴えない日常を過ごしていた。が、突然ウィラが何者かにさらわれたことで彼の生活は一変。過去に起きた“あること”のためにボブやウィラを追い詰める軍人のロックジョー(ショーン・ペン)や彼の指揮の元、次々と彼に襲いかかる兵士たちまで登場し、ボブはどんどん追い込まれていく・・・

なんてあらすじを書いたところでこの映画の面白さは全然伝わらない。むしろ「これのどこが面白いの?」と思ってしまったそこのあなた、久々に登場ですよ。“この映画、私のオススメなんてどうでもいいのでとにかく映画館にGO” 案件です。私ごときが説明したところでこの映画の面白さが全然伝わらないのはわかっているので今回は「とにかく観ていただきだい。以上!」で終わりにしたいぐらいです。
何がこんなに面白いんだろう。娘がさらわれたのでダメダメ父ちゃんが奮起して救出!というのが大まかなストーリー。ボブは元革命家とは言え、レジスタンス活動している時から既に頼りなく、所属していた“フレンチ75”というグループのリーダー、ペルフィディア・ビバリーヒルズ(テヤナ・テイラー)のカリスマ性にすっかりやられ彼女との恋に仕事(レジスタンス活動)に大忙しだったのが16年前。

でも今はすっかりドラッグとニコチン中毒な無気力ダメダメおじさん。未だ警察から追われる身ではあるので自分のこと以上に愛する娘のことが気になってお父さんは猛烈に心配性。そんななのに、娘がいなくなって慌てまくるんです。

若い頃はキラキラなスター街道まっしぐらでしたが、年を重ね、いろんな役を演じるディカプ。今回ほどダメで、しかもそのダメさがチャームにもなっているのは彼の演技力と元来持っている素質あってこそ。(はい、アカデミー賞主演男優賞ノミネート確定。)娘をさらわれ、“フレンチ75”の残党たちに助けを求めるくだり、ドラッグで頭の中がぽやぽやになってるから相手にしてもらえないというシーンは特にたまらない。ダメ過ぎる、ほんとダメ過ぎる。ダメ過ぎて笑っちゃう。そして愛おしい!

そんなダメ父ちゃんを救うは娘ウィラが通う空手の師匠であり、元“フレンチ75”のメンバー、セルジオ・サンカルロス(ベニチオ・デル・トロ)。「センセイ!」と呼ばれ親しまれる彼がボブをフォローしますが彼のピンポイント助っ人感がまたいい。頼りになるぜ、センセイ!

そしてセンセイがうまく逃がしたにもかかわらず、それでもボブを執拗に追う、ロックジョー大佐が激ヤバ。演じるショーン・ペンが超キモ!激キモ!行動、言動、全てがキモい。そんな男が一番やってはいけない髪型もしてる。観客への嫌がらせなのか!ヤバイ、変態だ、むちゃくちゃヤバイ、なのに軍人。秘密結社的な白人至上主義グループの一員にもなろうとしていて、その鍵をウィラが握っている。だから粘着度2000%で追いかけるんだけどその様が本当にキモイんですけど!

若い時からこれまでもいろんなヤバイやつを演じてきたショーン・ペンがまだこんな引き出しを持っていたことにも震えます。(はい、アカデミー賞助演男優賞ノミネート確定。)そんなキモおじさんがダメおじさんを追っかける。何なんだ、という思いありつつ、たまらない。ドキドキが加速する、でもキモイ!キモイとヤバイしか言ってないですね。でも釘付け~!!(IKKOさん風にどうぞ)。
さらに極めつけ、終盤のカーチェイスにアドレナリン全開だー!映像の、映画の力を見せつけられ、そのシーンさながらクラクラ、マジ、クラクラ。「この見せ方があったか」と気付いた時の多幸感よ。スゲー、なんだあのクライマックス!!あれ、神の仕業に違いない。

「あなたは映画の神様なのか?」と問いたい、本作の監督の名前は頭文字から“P.T.A”の愛称でファンから愛されているポール・トーマス・アンダーソン。カンヌ、ベネチア、ベルリン、世界3大映画祭で監督賞を制覇している唯一の天才監督。故に日本では玄人受けタイプな映画を作る人、というイメージも強く、彼の存在を意識したことがなかった方も多いと思いますが、そんな天才監督の過去イチのエンタメ度とユーモアにあふれる1本なので、P.T.A作品をこの映画で知ってほしい。
映画史に残る1本に決定!(権限ないけど!)文章の崩壊具合でこの映画の面白さをお察しください。
きっとこれこそが“映画”に違いない。
By.M
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