『木挽町のあだ討ち』
春休みウィーク突入でたくさんの新作映画がスタートしていますが、その前にこの映画も!という訳で今回は2/27(金)から公開している『木挽町のあだ討ち』をご紹介いたします。
雪が降る江戸・木挽町(今の東銀座、歌舞伎座界隈)。歌舞伎の芝居小屋「森田座」のすぐ側で若き美濃遠山藩士・伊納菊之助(長尾謙杜)による仇討ちが成し遂げられた。父(山口馬木也)を殺害し逃亡していた作兵衛(北村一輝)を見事討ちとったこの事件は“木挽町の仇討ち”として江戸の語り草になった。それから一年後・・・菊之助の縁者を名乗る加藤総一郎(柄本佑)が「この一件、不可解なところがある」と森田座にやってきた・・・

本作は直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子による同名小説を映画化した痛快時代劇ミステリー!(この言葉がピッタリ!)
柄本佑演じる田舎侍の総一郎が芝居小屋の面々に“仇討ち事件”の聞き取りをしていくという、“刑事コロンボ”を見立てて脚本が書かれたそう。原作では総一郎は表には出ずあくまでも聞き手。森田座の人々から見聞きしたことが一人語りで紡がれる構成になっていたのを、映画版では総一郎が自ら捜査していきます。その脚色のお陰でストーリーテリングの面白さがさらに際立ちました。

また総一郎a.k.a.武士コロンボが関わっていく森田座一同のキャスティングがいいんです。一座のまとめ役であり戯作者の篠田に渡辺謙、立師に滝藤賢一、女形の衣裳方に高橋和也などなど個性的で演技達者な役者揃い。同じ芝居小屋で苦楽を共にしてきたチーム感が出来上がっていて、それが最終的には本作における“あだ討ち”事件の顛末にも生きてきます。

渡辺謙に至っては『国宝』に続き、歌舞伎に関わる人物を演じている訳ですが個人的にはこっちの謙さん推し!『侍タイムスリッパー』大ヒット特需が隠せない山口馬木也、冨家ノリマサのキャスティングもよき。登場人物たちはどこか世間のはぐれ者だったり、不器用な人間だったりするので、この演技派揃いな役者たちが演じたからこその悲哀が感じられる人物像がたまりません。(菊之助の母を演じる沢口靖子が最高!!)

謎解きものなので内容にまで踏み込めないのでもどかしいですが、「なぜあだ討ちは成された?どうやって?本当に?」というミステリー展開でグイグイ観客を引き込む前半から次第と武士コロンボが事件の真相に近づけば近づくほどその陰では若き菊之助のために大人たちが心を砕く様が描かれていきます。家のため、武士たるもの、そういった価値観が苦手な私としては市井の人々から(あの人から)溢れ出てしまうまっすぐな優しさに心打たれまくり。(落語の人情噺みたい!)そして本作が“今”この時代に生まれたのも必然な気がしています。

しんしんと雪が降る夜、「仮名手本忠臣蔵」の芝居がはね、様々な色の傘をさして小屋を後にする町人たちを俯瞰で撮ったその冒頭シーンから「この映画、信頼出来る」と確信。それもそのはず、東映京都撮影所スタッフの皆様の熟練の技も随所に光ります。こんな時代劇がもっともっと観たいぞ!今後の東映さん配給のラインナップにも期待です。

そして最後に日米のアカデミー賞も発表されたので!?私もうっかり忘れていた昨年2025年のMYベスト映画ランキングを発表いたします。
★特別賞はこれしかない!『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』です。
トム・クルーズ×アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督でタッグを組んだ『DIGGER ディガー』が今年公開予定なので2026年の特別賞も内定です。

1位 『ワンバトル・アフター・アナザー』
2位 『落下の王国4Kデジタルリマスター』
3位 『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』
4位 『かたつむりのメモワール』
5位 『ウィキッドふたりの魔女』
6位 『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』
7位 『F1』
8位 『スーパーマン』
9位 『旅と日々』
10位 『リアル・ペイン 心の旅』
でした!
1位は奇しくも全米のアカデミー賞と同じでした。PTA作品が大好きな私としては本作でPTA監督がアカデミー賞初受賞となったことも嬉しいー。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も4Kリマスターとかしてくれないかしら? 2位は「権利はどうなってるんですかね?」と配給会社さんにしつこくアタックしていたのでシネマイクスピアリでも17年ぶりに上映できたことはとっても嬉しかった記念すべき1本。3位はドキュメンタリー映画なのですが、その中で登場する日本でのライブに私も行ってたんです。その時のトキメキ、記憶がこの映画のお陰で永久保存されたみたいで感涙。
という訳で今年もお客様と共にたくさんの映画とシネマイクスピアリで出会いたいです!
By.M
(C)2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会
