『セプテンバー5』
報道やメディアのあり方について考える機会が増えたきた昨今、この映画から通して見える“今”があると思います。今回は2/14(金)公開『セプテンバー5』をご紹介いたします。
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1972年、ミュンヘンオリンピックでイスラエル選手11名が人質となる五輪史上最悪のテロが発生。そのテレビ中継を担ったのはオリンピックの放映を行うはずのTVクルーたちだった。初めてテロリズムが世界中に生中継された衝撃の1日、その舞台裏を描きます。
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実話に基づき作られた映画なので、この事件の顛末を知っている人も多いでしょう。それでもオリンピックで11人もの人質たてこもり事件が勃発し、今のようにネットもSNSも普及していなかった時代に情報合戦が行われる様は手探り感があるがゆえに緊張が走ります。当時の映像も挿入されるので事件をオンタイムで見ている感覚にも。
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しかもこの事件を現地で世界に生中継することになったのはアメリカのTV局スポーツ番組担当のクルーたちでした。本社からは「報道局に主導権を渡せ」と迫られるも、世紀のスクープをみすみす逃すことが出来ないスポーツ局の面々は「現地にいる自分たちだからこそ伝えられることがある」と譲らない。そんな会社における組織構造も絡んできて、お仕事映画としての見応えもあり。
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急遽その現場を仕切ることとなった若手プロデューサーやその上司、本社と渡り合う上役がそれぞれの立場でもって判断を迫られるシーンの連続も彼らの演技のうまさも合間って、さらに白熱。(この役者たちのアンサンブルがたまらない!)また唯一、ドイツ語ができるスタッフが色々な意味でのキーパーソンになっていることもポイントなんです。(主要メンバーの中で唯一彼女だけが色のある服を着用し、その存在感を演出!)
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でも前代未聞の事件を前に彼らは致命的なミスを犯し、報道することで課せられる責任と直面することになります。
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SNS社会となり様々なメリットはもちろんあれど、過渡期である今は正確さや倫理的配慮の欠如によるデメリットが目立ってしまっている状況もよく見かけます。気軽に発信が出来る反面、生身の人間を傷つける武器でもあること、想像以上に社会に影響を及ぼす危険もあることを理解し、我々は情報、報道とどう向き合うべきなのか、過去の出来事から今を顧みることの必要性も観客に投げかけます。
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そして社会性とエンタメ性を見事に融合させた本作は本年度のアカデミー賞脚本賞にもノミネートされました。この映画にハマった方はこの事件の後を描くいたスピルバーグ監督の『ミュンヘン』(2006年)も併せてオススメいたします!
By.M