こんにちは。中学生の頃からUK音楽にハマっている女住人Mです。
今回ご紹介しますのは、本年度アカデミー賞主演女優賞、メイキャップ賞を受賞した『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』です。演じるはご存知メリル・ストリープ。
(は〜い!本作の演技でアカデミー賞17回の最多ノミネート、3回目の受賞よ〜♪)
そして本作はご説明するまでもなく、英国史上初、唯一の女性首相だったマーガレット・サッチャーの物語です。マーガレットは雑貨商の娘ですが、市長を務めた父の影響で政治家の道を進みます。34歳で保守党から議員選挙立候補当選、50歳で保守党党首、54歳で英国首相へ。強い信念により封建的な男社会の中でも強力なリーダーシップを発揮した彼女は“鉄の女”とも呼ばれます。本作では妻として、母として、国のリーダーとして戦い続けてきた女性・マーガレット・サッチャーの真実を描きます。
日本でサッチャーさんと言えば衰退していた英国を立て直し、米国レーガン大統領と共に冷戦を終結させたことで、わりと好意的に取られている人物だと思います。が、本国イギリスでは行き詰っていた経済を立て直したサッチャー政権の業績を評価する一方、それにより深刻な失業問題が発生し、国民の多くの生活が貧窮に陥り不満の声も上がりました。私が好きなUKバンド、ザ・ジャムやスタイル・カウンシルのボーカル、ポール・ウェラー先生もそんな労働者や庶民の声を曲にしたものです。なので、彼女の人生が悲哀をもって語られる本作に対し「おセンチになられても苦しんだのは君じゃない!」と不快感を表す観客も多かったとか。
(サッチャーさん、国民に責められるの図)
でもそんな中で、この作品がアカデミー賞と言う舞台に名を連ねたのはやはり、サッチャーさんを演じたメリル・ストリープの存在でしょう。いや〜昔TVで見たことがある、サッチャーさんそのものです。
サッチャーさんが下した数々の政治決断がどうだったかはさておき、自分の決断に迷うことなく、反感を買うことも恐れずにひたすら自分の道に邁進したその力強い姿は、一人の人間として魅力があります。そんなパワフルな女性が晩年、夫を亡くし、自身は認知症に苦しみ、幻想の夫だけが支えとなってしまいます。男社会で孤立することが多かったサッチャーさんがその表舞台を去った後にさらに孤独な戦いを強いられていたと言うのは何の因果なのでしょう。彼女の人生に影を見るとしたら、それは国民からなじられた時や首相を退かなければならなかった時でなく、この晩年の日々だったのかもしれません。
人生って何だろうな〜と考えさせられたり、当時のイギリスの社会情勢を映画で知ることも出来て、エンタメでありながらお勉強も出来る一石二鳥の『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』は3/16(金)からの公開です。
By.M
2011 Path Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute