『夢売るふたり』

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 もう一度生まれ変わっても女が良いな〜、と思っている女住人Mです。
今回ご紹介するのは女の心の中をグイグイ描く、9/8(土)公開の『夢売るふたり』です。
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 本作は「ゆれる」や「ディア・ドクター」の監督、脚本でお馴染みの西川美和さんの最新作。主演に阿部サダヲさんと松たか子さんを迎え、仲の良い夫婦、貫也と里子を演じます。
ふたりは念願の小料理屋「いちざわ」をオープンさせますが、繁盛し出した矢先に突然の火事でお店を失くしてしまいます。再出発したい二人ですが蓄えもなく、貫也はすっかり自暴自棄。そんなある日、貫也が大金を持って帰宅します。それは「いちざわ」の常連客だった女性と偶然出会った貫也が一夜限りの浮気をし、彼女の心を慰めたことで手に入れたお金だったのです。里子はもちろん怒り心頭ですが、と同時に「うちの旦那は使える・・」と思うのです。その日から、新しいお店を持つために二人が選んだ手段は“結婚詐欺”。里子の指示のもと、女性たちを騙していく貫也。最初はうまく進んでいたこの計画ですが、嘘に嘘を重ねるこの行為は騙した女たちとの間ばかりか、夫婦の関係性にも変化を及ぼし始めます。
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(マリマリモリモリなイメージから一転、って言う阿部サダヲさんの役柄がまた凄い!)

 貫也の結婚詐欺の罠にハマって行く女たちは、結婚願望が強い独身OL、DV男にハマっている風俗嬢、不倫で大金を手にしたキャリアウーマン、恋愛から程遠いところでずっと生きてきたウエイトリフティングの選手、幼い子供を持つシングルマザーと様々なタイプの人間ですが、女性が見るときっと彼女らが抱える心のポッカリ感はどこか思い当たる節があるものばかり。そんな女性の心の渇きを西川監督は何とも的確な台詞でもって女たちに語らせるので、見ている最中、都会の荒波で干上がった私の心に何度鋭利な刃物が刺さったことか・・・この台詞、痛いな!と声に出しそうになりました。

おまけに貫也に騙される女たちはこぞって駄メンズ製造機みたいな女性ばかりで、貫也に騙されて、お金を取られたと知った後も、何だかそれによって腫れものが取れたぐらいの感じになっていたりもするんですよね。それは貫也がどんなに酷い事をしたとしても、そう思わせてしまう何かを持っていて、それは里子が貫也の中に見出した彼の素質なのですが・・・。最終的に騙された女たちは「何かいろいろあったけど、良い夢見せて貰って、ありがとう、あばよ」って、お前は柳沢慎吾か〜って感じなんです。
なのでこの映画を全部見終わった時に『夢売るふたり』というタイトルがシックリくるんですよね。そういう意味では、騙された女たちにとって貫也はお伽話に出てくる王子様みたいなものなんじゃないかとさえ思うのです。となるとシネマイクスピアリa.k.a.夢の国の映画館でやるにふさわしい映画ですね・笑

しかし何ですかね〜。騙された女たちを見ていると人間が生きることの哀れさ、惨めさ、危うさ・・・だけどその根底にある逞しさ、その先の美しさ・・・何か得体の知れない女の性(さが)みたいなものをビンビン感じますね。
そして、騙される女たち、騙す貫也、全てをコントロールしていた里子の心の闇は怖いですね〜。
人間の業、いや女の業って本当エグイ!と心から思った1本なのでした。私の中にもこんなエグさってあるのかしら?

By.M
(c)2012 「夢売るふたり」製作委員会

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