皆さんこんにちは、女住人Mです。
今回ご紹介するのは「レスラー」、「ブラック・スワン」を監督したダーレン・アロノフスキーの作品。この2タイトルから想像するとスポ根ものを得意とする監督に思われるかもですが、もともと斬新な世界観を映像で見せたり、哲学的な映画を作る人として知られています。最新作は旧約聖書「創世記」の一説、“ノアの箱舟”伝説を映像化した『ノア 約束の舟』です。
信仰心が薄い日本人であっても“ノアの箱舟”伝説のざっくり概要は誰もが何とな〜く程度にはご存知かと思います。人間たちの悪がはびこるこの世界が大洪水によって洗い流される夢を見たノアがそれを創造主の啓示と受け、巨大な箱舟を作り、家族とつがいの動物を乗せる・・・というアレです。聖書の中にも数ページしか記載のないこの物語にダーレン監督自らの解釈が加えられて出来上がったのが本作です。
信仰心が厚い海外ではその表現方法が問題になり上映禁止になっている国があったりと公開前からいろいろ物議をかもしていましたが、公開されるや否や世界中で大ヒットし、既に来年のアカデミー賞の呼び声も高いと言われています。
(聖書には登場しないノアの養女イラを演じたのは「もうハーマイオニーとは言わせない!」24歳になったエマ・ワトソン。)
監督のダーレン・アロノフスキーと言えば、前述したようにその独特な映像表現が挙げられます。映画の中で登場する“ノアの箱舟”はなんと半年もかけて実際に作られたセットで、そのサイズは聖書の記述と同じなんだそうです。話だけ聞くとピンとこないかもしれませんがスクリーンで観るとその巨大さ、スペクタクル感に度肝抜かれます。大洪水にもまれる“ノアの箱舟”とかどんな方法で撮られたか、考えるだけでブルブルしちゃいます。
そして、ダーレン監督と言えばドSな人。「ブラック・スワン」を思い出して頂きましょう。プリマを夢見ていたナタリー・ポートマン演じる主人公は母親からの重圧、その役への重圧でどんどん精神を崩壊させていく物語でした。本作でも映画の前半、ノアは神からの啓示を真摯に受け止め、ただひたすら巨大な箱舟を家族たちと作り上げるのですが、次第とそれは神の御心というよりは追いつめられて作っている感が満載になってきて、悲壮感すら漂っていきます。しかも大洪水の後、全てをリセットし子孫繁栄するのはつがいの動物たちだけであるハズなのにある展開から「神のお告げと異なってしまう!」と、ノアはとんでもない行動に出ようとします。ノアをいや、ラッセル・クロウを心身共に追いこむこの展開はもうダーレン監督がドSだからです。「ブラック・スワン」でのナタリー・ポートマンの演技や本作でのラッセル・クロウを見ると正直撮影は辛かったのでは?と想像します。でも役者へのその容赦ない心理作戦のおかげで本作がひと時も目が離せないものになっているのだとも思います。
(薄幸な憂いがありながらも芯のある母親ナーマを演じるのはラッセル・クロウとは「ビューティフル・マインド」でも共演している
ジェニファー・コネリー)
そんな感じでダーレン監督のドSっぷりが露呈する本作ではありますが、そのおかげで!?ノアは神のお告げを越えたところに本当に大切なもの、自分に課せられた本当の使命を発見することとなり、それは今の私たちにも向けられたメッセージとも取れます。しかし、信仰心というのは時にノアのように人を狂わしてしまうものなので、ノアは決して救世主とかではなく、使命を負ったただ一人の人間として描かれるところが、現代的な表現だったな〜と。ラッセル版ノアの選択にこそ、ダーレン監督の啓示が隠されていると思ったのでした。
・・・さて、ここで突然ですが、皆さんこんにちは、男住人Aです。
僕は先日、本作の公開記念として行われた“「ノアの箱舟」出航式イベント”に参加してきましたので、その時の模様をお伝えします!
会場となったのは、炎天下の新宿東口「新宿ステーションスクエア」。6/2〜5の期間中、映画に登場する箱舟を忠実に再現したビッグサイズの「ノアの箱舟」が展示されてまして、その出航式というわけです。イベントゲストは、なんと八代亜紀さん!
“日本でもっとも舟が似合う”という理由でこの日のご登壇となったようなのですが・・・、なるほど、「舟唄」つながりですね。なんとステキにくだらないイベントなんだ!(←褒め言葉です)最高だぜ亜紀ちゃん!、というわけでイソイソと取材に出掛けたのでした。
(なぜだかちょっとシュールな光景にも見えますが、そこはご愛敬。)
学生の頃からコマ劇場のリサイタルに行こう行こうと思い続け、毎回勝手に挫折して今に至る地味な八代亜紀ファンの僕でしたが、いやいや、知りませんでした。亜紀ちゃんがかなりの映画フリークだったなんて。普段から色々な映画を観ているそうなのですが、そんな中でもこの作品は特にお気に入りのご様子。
ではここからは、お待たせいたしました!「八代亜紀ベストショットセレクション」のコーナーです!(待ってない?)
映画へのコメントと一緒にお楽しみください。きっと癒されますよ。
ちなみにイベントの最後には、本作にちなんだ替え歌「ノア 約束の舟唄」を本人が熱唱するという、禁断のオマケも飛び出しました!
「とっても感動しました。この感動は『タイタニック』以来ですね。」
「愛する家族への思いと、神からの使命に挟まれるノアの心境が伝わって、とっても切なかったです。」
「ラッセル・クロウが自分の父親に見えてきてしまいました。私は若い頃、父に内緒で勘当同然で東京に出てきたんです。父を心配させたこと、つらい思いをさせてしまったことがノアの姿と重なって、号泣してしまいました。」
「人間の優しさや弱さが描かれている映画です。絶対に絶対に観てください!」
(ノア 約束の舟唄より)♪「木材太めの ほうがいい〜 箱舟三階 建てでいい〜」♪
(ノア 約束の舟唄より)♪「嵐が心を 流したら〜あぁあぁ〜 歌いだすのさ 舟唄を〜」♪
というわけで、今後も末永く八代亜紀を・・・もとい、映画『ノア 約束の舟』をよろしくお願いします!
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