2017年10月アーカイブ

『ゲット・アウト』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。まもなくハロウィン、ハロウィンと言えばホラー系?!ということでこのジャンルで猛烈にオススメする作品の公開が続くので、2週に渡ってご紹介いたします。今回は10/27(金)公開『ゲット・アウト』です。
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 主人公はNYで暮らすアフリカ系アメリカ人写真家のクリス(ダニエル・カルーヤ)、白人の可愛い彼女ローズ(アリソン・ウィリアムズ)がいるイケてる彼。週末に彼女の実家に招待され、自身が黒人であることを心配しながら、ローズの両親と初対面。実際には大歓迎され、ホッとしたのも束の間、「何だかおかしい」出来事がいくつもいくつも起こり、じわじわと"恐怖"が彼を襲うことになるのです・・・・
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 本作は今年2月に全米で公開されると低予算映画ながら初登場No.1を記録し、その後8週連続TOP10入り、全世界的にも大ヒットを記録し、今年上半期に最も話題をさらった映画と言っても過言ではありません。その大ヒットの要因を考えるに作品自体のオリジナリティ性にあるんじゃないか、と踏んでいます。"彼氏を初めて両親に紹介"というシチュエーションだけ考えても「どこの馬の骨ともわからんやつに俺の娘がやれるか」問題というお決まりの展開、プラス違う人種同士問題も加われば余計にややこしいことが起こりそうだな~、と想像はできます。
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なのできっとこの映画もボーイフレンドを両親に紹介したことから浮き彫りになる人種差別をテーマにした映画か、と観ていると、物語はちょっと違った方向へ進んでいきます。なぜならローズの両親はクリスを心からウェルカム!なのだから・・。
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それでも、どうもローズの家は何だか変。「黒人に偏見はない」と語るローズの両親は確かにそうなんだろうけど、フレンドリー過ぎるし、そんな発言をする割に雇っている庭の管理人も家政婦も黒人ばかり。しかもこの人たちの言動が全て変・・・「何だかおかしい」が積み重なるにつれて、ついにクリスはある衝撃的事実を知ってしまうのです。「こいつらむちゃくちゃおかしい!!!」と。
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もうそれが明るみになった時は「そう、きたかぁぁぁぁーーーーー」と声をあげたくなること必至な展開!!!!この衝撃、ちょっと毛色は違うのですが、去年の冬公開し、シネマイクスピアリでも大大ヒットをした『ドント・ブリーズ』(:お屋敷に泥棒に入ったら出くわした住人のじいちゃんがトンデモだった!的ホラー映画)を彷彿させる感じなんです。クリスが「こいつらマジかっ!」と気付いて以降は「ドンド・ブリーズ」同様、観客の想像を越える展開にきっと震えることでしょう。と、同時にその話の持って行き方の絶妙さに、ニヤリとしたくなるハズ!確かにテーマは"人種差別"ではあるのですが、思ったのとは別の方向からそのテーマを深堀りしてくるんです。
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(クリスの相談相手、親友ロッドが最高!本作はバディ(相棒)映画としても秀逸です。)

 本作の監督・脚本・製作はコメディアンでもあるジョーダン・ピール。コメディで培ったそのセンスが本作の中でもいい塩梅に加わり、恐怖の中に絶妙な笑いがやってくる。ここまで読んで頂き本作にもし興味を持っていただけたなら、予告編も何ならポスターもチラシもチラ見程度で本編をご覧になることをおススメします!そしてエンディングを知った時に「きっとあっちヴァージョンもあったんじゃないかな」と想像するハズ。はい、それ正解です!

By.M
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『ブレードランナー2049』

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 皆さんこんにちは女住人Mです。
今年公開される映画で楽しみにしていた作品がいくつかありましたが、この作品はまさにそれ!カルト的人気を誇るSF映画の続編10/27(金)公開『ブレードランナー2049』です。
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 前作の「ブレードランナー」は2019年のLAが舞台。"レプリカント"と呼ばれる人造人間が労働力として製造され、人間の代わりに過酷な労働を強いられていました。が、感情が芽生えたレプリカントが自由を求めて暴動を起こし始めたことから"ブレードランナー"と呼ばれる捜査官が彼らを"解任(=殺)"していたのです。前作ではブレードランナーである主人公デッカードをハリソン・フォードが演じ、レプリカントVS人間の死闘を描きながらもレプリカントの悲哀や、そもそも人間が人間たる所以とは何なのか?といった深いテーマを描いていました。公開当時(1982年)、この映画で描かれていた未来感がセンセーショナルで、その世界観そのものが大きな話題にもなっていたのでした。
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(前作で登場したハリソン・フォードは今回も登場!)

前述したように「ブレードランナー」はカルト的な人気がある作品。新作『ブレードランナー2049』を心待ちにしている方もたくさんいらっしゃるでしょうし、(現段階では)公開前なので今回は極力ネタバレなしで、ふんわりとお届けしたいと思います。

 先ず皆さまにお伝えしたいのは、前作「ブレードランナー」を見ていなくても本作は充分楽しめますが、前作を知っていた方がより感動出来るので、前作を予習しておいていただきたいなぁ~、ということ。「その時点で面倒・・・」と思うでしょうが『ブレードランナー2049』は前作を遥かに越える感動作なので、その感情の高まりを経験いただきたく、「ブレードランナー」の予習鑑賞をオススメします。

前作は35年前の作品ですが「この当時にもうこんな映画が作られていたのか!」という驚きを体験するだけでも楽しめる1本です。そして前作のあるレプリカントの行動と本作で描かれるあるシークエンスが対になっていて、前作を知っていればいる程、心が揺さぶられる展開も用意されているからです。
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 また「ブレードランナー」ではレプリカントを"解任"する立場にあるデッカードが、レイチェルと言う名のレプリカントと惹かれあっていく様も描かれていたのですが、その二人がその後にどうなったか・・・も描かれ、それが本作の主人公"ブレードランナー"捜査官Kの人生に深く関わっていくのです。
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捜査官Kを演じるのは映画「ラ・ラ・ランド」で大ブレイクしたライアン・ゴズリング(以下ゴズりん)。あちらの作品でも切な系男子を演じ、多くの女性の心を奪った訳ですが、本作でも切なゴズりんの魅力が最大限に発揮されたエモーショナルな役で、ゴズりんファンの方におかれましたはまたもや彼に心奪われる作品になっていることは私が責任をもって保証いたします。
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何せ捜査官Kは"レプリカント"。旧型のレプリカントを解任する、つまり仲間を殺す汚れ仕事をしている、それ故の悲しみを抱えて生きているのです。心の支えはよき理解者、人工知能(AI)のジョイ(アナ・デ・アルマス←むちゃくちゃ可愛い!)だけ。その彼が予期せぬ形である希望を見い出してしまい、故に自分を見失い、それが彼を思わぬ方向へ導いていき・・・・わぁぁぁ!!もう涙、涙、涙、な後半戦。またもや切なゴズりんに泣かされるのでした。
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「ブレードランナー」と言えばテーマ曲や音楽も魅力的で今回も映画館のスクリーンで観ないでどうする!的サウンドマジックが用意されていますが、それ以上に撮影のロジャー・ディーキンス(「007スカイフォール」ほかアカデミー賞ノミネーション過去13回!)のカメラワークがGodの域!どこを切り取ってもため息が出るほど美しく、捨てショット一切なし!その中に佇むゴズりんのかっちょ良さがいちいち大変なことになっています。

 監督は"ばかうけが地球を襲来?!"でお馴染の「メッセージ」を手掛け、今最も名前を口に出して言いたい監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。業界内では本作を本年度ベストと上げる人、多数!今年の映画を語る上で絶対ハズせない1本なので、是非お見逃しなきようにーーー!!!

By.M
配給:ソニー・ピクチャーズ  エンタテインメント

★シネマイクスピアリからのお知らせ★
毎月お届けしている旧作上映<キネマイクスピアリ>11月の作品は本作の公開を記念して、ライアン・ゴズリングが若ゴズりんだった時の代表作『きみに読む物語』をお届けします。
シネマイクスピアリがお届けする"秋のゴズリング祭"をお楽しみください♪
日程:11/4(土)~11/10(金)まで。
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※キネマイクスピアリについてはこちら をご覧ください。

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『アトミック・ブロンド』

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 皆さん、こんにちは。ヒーロー、ヒロインが屈強な敵をバッタバッタとやっつける系の映画が大好物な女住人Mです。
今回ご紹介するのは孤高の女スパイが大活躍!10/20(金)公開『アトミック・ブロンド』です。
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 舞台は東西冷戦下の1989年、ベルリン。イギリスの情報機関MI6の女スパイ、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)のミッションは同僚を殺害し各国機関の潜入スパイの名が記されたリストを奪った裏切り者を見つけ出すこと、そしてリストの奪回。敵国ソ連はもちろん、各国の諜報員たちもそのリストの行方を探っている中、彼女は命を狙われ続ける。事件の黒幕は誰なのか、そしてリストを奪い返すことは出来るのか・・・
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 「007」&「ミッション:インポッシブル」シリーズと男性主人公のスパイものの名作はたくさん誕生していますが今回は女性スパイもの。演じるは「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のフュリオサ役で世界中の映画ファンを味方につけたシャーリーズ・セロン。スタイル抜群、クールビューティな彼女が屈強な敵国スパイたちをガッツリ倒しちゃうその様を眺めているだけで、気分最高、ストレス発散、テンション、アゲアゲ↑。
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とりわけ、劇中で7分に及ぶ長回しで撮影されたアクションシーンは、その荒々しさに観ているこちらの息が止まる程の迫力。ワイヤーを多用した軽やかなアクション、というより肉弾戦的、至近距離でのガチな戦闘が多いので殴る音も鈍く、それがまた臨場感あり。キアヌ・リーブスが殺し屋を演じた「ジョン・ウィック」に近い印象がありますが、それもその筈、監督は自らもスタントマンとしてのキャリアを持ち「ジョン・ウィック」の共同監督、プロデューサーをつとめ「デットプール」続編の監督にも大抜擢されたデヴィッド・リーチ。
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(MI6ベルリン支部のエージェント、パーシヴァルを演じるのは演技派ジェームズ・マカヴォイ。おぼこい風な彼ですが、癖のある役を演じるとさらに光ります!)

 実はシャーリーズ姐さん、「ジョン・ウィック2」の撮影を控えたキアヌと一緒にトレーニングをしていたそうで「年上のキアヌがあんなにやれるなら私も出来る!」と1日5時間、3ヶ月間に及ぶ訓練を経て本作に挑んだほど。そんな本気度もスクリーンからバシバシ伝わってきます。シャーリーズ姐さんはただでさえ惚れぼれするほど美しいのに強さも加わって、向かうところ敵なし。途中、フランス人スパイ、デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)とも出会い、彼女の心まで奪っていくあたりも「まぁ姐さんを前にしたら男も女もないわね」という感じでございます。
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 そんなモリモリ、ゴツゴツのアクションをより引き立たせるのが全編にちりばめられた80年代のヒットナンバー!このあたりは大ヒットの記憶も新しい「ベイビー・ドライバー」や「キングスマン」を彷彿。アクションと音楽の融合で観客のテンションがさらにぶちアガること間違いなし!デヴィッド・ボウイ、ジョージ・マイケル、デペッシュ・モード、ニュー・オーダーほか、特にアラフォー、UKロック好きな方にはたまらないラインナップでこれまた映画を観終わるとサウンドトラックをすぐゲットしたくなるタイプの1本です。
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 ハリウッドでは女性が40才を越えると役が付きづらいそうですが「モンスター」でアカデミー賞主演女優賞を受賞しながらもその後、安パイな役ばかりを演じることなく「マッドマックス~」で自ら坊主になったり、「ワイルド・スピードICE BREAK」で悪役を演じたりとその攻めの姿勢、シャーリーズ姐さんの益々の活躍が楽しみでなりませんぜ!

By.M
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『ドリーム』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。2週連続宇宙もの映画をご紹介。と言っても今回は宇宙開発の裏側で活躍したヒロインたちの夢のある物語、9/29(金)公開『ドリーム』です。

 時代は1960年代東西冷戦下、アメリカとソ連との宇宙開発競争が激化していた頃。アメリカは有人宇宙飛行計画(=マーキュリー計画)をソ連より先に達成することを目標としていました。このミッションが黒人女性数学者たちの貢献なしでは為し得なかったという事実を元に描かれたのが本作。原題は「Hidden Figures」、直訳すると"隠された人々"。実際この事実はあまり知られていなかった、というのも驚きです。
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 今みたく、コンピューターが普及していなかった時代、"コンピューター"とは計算する人を意味していたそうでコンピュータールームに女性がずら~っと並んで仕事をしていたそう。主人公はNASAラングレー研究所で"colored computers"と呼ばれていた3人の黒人女性、管理職への昇進を希望するリーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)、エンジニアをめざす勝気なメアリー(ジャネール・モネイ)、そして子供の頃から数学の天才だったキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)です。

物語はキャサリンがずば抜けた計算のスキルでもってハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部のメンバーに黒人女性としては初めて抜擢されたことから動き始めます。国家の威信をかけたこの"マーキュリー計画"に貢献しようとキャサリンは胸膨らませるのですが、その思いは一日目で玉砕されます。同僚は一人の白人女性を除いて全員が白人男性。自分を見る目は冷たく「なんで女のお前がいるんだ?しかも黒人の・・・」とあからさまに言われているよう。

まだ人種差別が色濃く残っていたこの当時、同じポットのコーヒーを飲むことすら毛嫌いされ、トイレも白人と有色人種用と分かれていたほど。キャサリンは女性であることと黒人であることの2つの理由でいわれのない差別を受けるのです。それもかなりネチネチと。
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NASAという全米中でもよりすぐりの知識人が集まっているハズの職場でもこの有り様。日常で彼女、彼らがどんな差別を受けていたかも推して知るべしです。でもその差別と言ったら、陰湿というかアホらしいというか・・・。例えば、黒人で初めてこの職についたのがキャサリンだったのでこの部がある建物には有色人種専用のトイレがありません。無駄な時間なんかかけられないキャサリンは仕事道具一式抱えて800メートルも離れたトイレをめざし、ドロシーたちがいる棟まで走って行くしかありません。

トイレを我慢しながらヒール靴で疾走する彼女は申し訳ないけど笑ってしまうぐらいコミカルに描かれますが、と同時にそんな偏見自体がなんてくだらないことか、と思わされます。そして苦難に立ち向かう女性たちを決して悲痛な感じで描くのではなく、強く、逞しく、明るさを失わず描いたことで、観る者の心をガッチリと掴むのです。
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3人の友情や家族や大切な人の思いやりも彼女たちを支えます。もちろんそうやって必死に前を向いて耐えていても我慢の限界が来る時も・・・。そんな時こそ彼女たちは自分の意思を曲げず、希望を捨てなかったことで、周りの方が次第と変わっていくようになるのです。キャサリンのボスを演じるケビン・コスナーがその大きな一歩となる行動をしてくれるシーンは特に胸に刺さります。彼女たちに対しての非礼に、今まで気付けなかった自分を恥じて、その怒りと共に正しき行いをするケビン・コスナー、かっちょ良すぎなのでした。

 どんなに辛いことがあっても諦めない、負けない、という心の強さでもって前に進んだ彼女たちの姿にこちらが救われるような気持ちになる、そしてその痛快さに元気が出る。彼女たちの60年代ファッションも素敵ですよ♪

By.M
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

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