『ロケットマン』
『ボヘミアン・ラプソディ』、『グレイテスト・ショーマン』、『アリー スター誕生』とミュージカル&音楽映画の傑作がたくさん登場している中で次はこちら!大ヒット上映中の『ライオン・キング』の主題歌「愛を感じて」を始め、多くの名曲を今もなお作り出しているエルトン・ジョンの半生を描いたミュージカル映画、8/23(金)公開『ロケットマン』をご紹介します。
喧嘩の絶えない両親の元で孤独な少年時代を送っていたレジナルド・ドワイト、後のエルトン・ジョン(タロン・エジャトン)。唯一の救いは彼には天才的な音楽の才能があったこと。ロックに目覚め、ミュージシャンをめざし運命的な出会いをきっかけにスターの階段を一気に駆け上がるのですが彼の心はいつも充たされないままでした・・・この映画は孤独を抱えて大人になった少年が“本当の自分”に出会う物語です。
大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』の監督はブライアン・シンガーですが、実は製作中のゴタゴタで最後の数週間の撮影と完パケ作業を務めたのは本作の監督でもあるデクスター・フレッチャーでした。そういった意味でも期待がかかります。
「ユア・ソング」、「タイニー・ダンサー」などエルトンの手掛けた多くの名曲は映画やCMでも使われているので知らずにその曲に触れている方も多いと思います。彼が如何に天賦の才能を持っていたかは少年期のエピソードからも伺えるのですが、それだけで世界的スーパースターとして開花したものではないというのがこの映画でわかります。
それは彼の曲の多くを作詞しているバーニー・トービン(ジェイミー・ベル)との出会いです。バーニーには作詞、エルトンには作曲の才能があり、二人は互いの足りない所を補完するかのような存在だったのです。バーニーがいることで自分は完全になれる、バーニーの才能に惹かれたエルトンは次第と彼自身にも心惹かれていきます。でもそれは報われない恋でした。
一方でバーニーがエルトンに渡す歌詞はそんな気持ちを知ってか知らずか(知ってるよね!)なエルトンの感情を汲み取ったかのようなものばかり。恋愛における生殺しの残酷なことよ。気がないのなら冷たくしてよね!的エルトンの乙女な声が聞えるようです。エルトンと言えば派手な衣装がトレードマークですが、これも秘めた思いを隠す心の鎧だったのか、それとも本当に好きな人に好きになってもらえない孤独から「私を見てーーー」な叫びだったのか、そう考えると切ない、エルトン、切ない!
楽曲の完成度と圧倒的なパフォーマンスで若くして世界中から愛されることとなるエルトンですが、たくさんの人に愛されても、たった一人の人から愛されない悲しみを抱え、また彼の才能にコバンザメのように群がる心ない人の裏切りでエルトンはどんどんドラッグやアルコールに依存していきます。フレディ・マーキュリー然り、類まれなる才能を持ったロックスターの鉄板な人生と言えばそれまでですが、それでもエルトンは現在の彼があるように見事、不死鳥のように蘇るのでした。
本作ではエルトンとバーニーが書き下ろした新曲がエンドロールで登場します。“ありのままの自分を愛する”というメッセージが込められたこの曲をバーニーがエルトンのために書いているというだけで、何だかグっとくるじゃありませんか。
そして何と言ってもエルトンを演じたタロン・エジャトンに触れない訳にはいきません。『キングスマン』シリーズのエグジー役でブレイクした彼ですが実は超歌うまい俳優!吹替なしで演じてみせたタロンくんはきっとこの役でさらにステップアップすること間違いなし。決して顔つきが似ている訳ではないのに、エルトンそのものになってるから役者って本当に凄い!!
By.M
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