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『ラ・ラ・ランド』その2

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 いよいよ今年のアカデミー賞も日本時間2/27(月)に迫って参りました。皆さんこんにちは女住人Mです。今回ご紹介する作品は前哨戦のゴールデングローブ賞で既に作品賞ほか史上最多7部門を受賞し、アカデミー賞でも「タイタニック」に並ぶ史上最多14ノミネート、2/24(金)公開『ラ・ラ・ランド』です。
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 物語の主人公は女優をめざしLA(ロサンゼルス)の映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)と自分の店を開くことを夢見ているジャズ・ピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)。二人は最悪な出会い方こそすれど、その後の偶然の再会を機に惹かれ合っていきます。
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もうここで私がいろいろ紹介する必要もない程、盛り上がりをみせている「ラ・ラ・ランド」。きっと皆さまが大好きな1本になること間違いなしですから、1日も早く映画館にGO!なのですが、なぜこんなにも観客の心を捉えるのか?
①ミュージカルシーンが素晴らしい。
本作は導入から掴みはOK、5億点!華麗にPOPにテンションMAXでスタートし、この段階で「この映画、最高じゃない?」と確信する方も多いと思います。往年のミュージカル映画のシーンが現代風にアレンジされ演出で散りばめられているので、そういった映画が大好物な方にはそのオマージュに心ときめくでしょうし、それを知らなくてもきっと新鮮な演出に心奪われると思います。とにかくキャッチーで時に切なく、目にも耳にも記憶に残るダンスナンバー、ダンスシーンに観ている間ずっと胸の高鳴りは止まりません。
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②キャストが素晴らしい。
主人公を演じるライアンとエマは本作で共に主演男優・女優賞にノミネートされていますが、過去にも2度共演をしていて、二人が私生活でカップルでないことが不思議になるくらい、息がぴったり!エマはコメディエンヌとしてのセンスが抜群で表情も豊か。ちょっとクールなライアンとの相性が本当に良いんですよね。この映画のために3カ月というリハーサル期間があったそうで二人ともみっちりその期間集中して役作りに励み、ライアンはこの映画でジャズ・ピアノをマスターし、吹替えなしで演奏。きっとこの映画でメロメロになる女性が日本でも急増することでしょう。
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③監督のセンスが素晴らしい。
監督は前作「ノット・マイ・テンポ!(ビンタ)」でお馴染「セッション」のデイミアン・チャゼル監督、32歳。ミュージシャンを夢見たこともあり、かつ大のミュージカル映画好き。劇中随所が"僕の好きなもの"感に溢れ、その想いが映画から放たれるエネルギーとして放出されています。この映画を完成させるためにたくさんの苦難を乗り越えた監督はその喜びすら作品の熱に昇華しているかのよう。「セッション」を初めて観た時も「なんだこの映画は!」という新鮮味に溢れていましたが本作でも全く違うベクトルで新しい風を感じると思います。
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④描かれている普遍的テーマが素晴らしい。
この映画が描くテーマは"恋愛"と"夢"という普遍的なもの。恋愛におけるHAPPYな思いといつしか生じてしまうズレをとてもリアルに描くと共に、夢追い人だった二人だからこそぶつかってしまう悲しみも描きます。本作は純粋に二人の恋愛映画として楽しめるだけでなく、人生において選べなかったこと、選ばなかったこと、つまり今、ここにはないけれどあったかもしれない人生についても描きます。恋にしろ夢にしろ、人は「あの時あ~していれば」という悔恨を重ねて生きていくものですが、この映画ではその想いすら全て受け止めて、今ここにある人生を肯定してくれるのです。私はラスト嗚咽&号泣でございました・・・
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ボーイ・ミーツ・ガールの王道ラブストーリー、皆さまの大好きな成分純度100%で出来上がっていると思うので、1日も早くスクリーンでお楽しみ下さい。

☆シネマイクスピアリからのお知らせ☆
 3/7(火)までシネマイクスピアリのエントランスでは恒例のフォトロケーションも展開。
ここだけにしかない等身大ゴズリングパネルと一緒に記念撮影もして下さいね。
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デイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリング来日記者会見のレポートはこちらからどうぞ。

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© 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

 皆さん、気付けば7月じゃないですか!こんにちは女住人Mです。今年の夏はシネマイクスピアリ的には"ディズニー3大映画フェス"です。今回はトップバッターとして7/1(金)公開『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』をご紹介いたします。
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 もう皆さまお馴染の「アリス・イン・ワンダーランド」から6年ぶりに公開される続編。亡き父の形見ワンダー号の船長として航海をしていたアリスは元婚約者に母の住む自宅と引き換えにワンダー号を手放すことを強要されます。そんな時に青い蝶に変身したアブソレム(アラン・リックマン)に導かれアリスは再び「アンダーランドという名のワンダーランド」へ・・・。そこには帰らぬ家族を待ち続け、心を閉ざし、命さえ落とそうとしているマッドハッター(ジョニー・デップ)の姿が。アリスは大切な友を救うため過去へさかのぼる冒険に向かいます。
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 前作のラストで自分の道をみつけたアリスは冒頭から自分らしさを知った魅力的な女性として描かれます。それでも男社会なこの時代、女性が船長になる、ましてや航海に出ることなんて、と思われていた時代。母親からも「女のわがままは通らない。受け入れるしかないの」と言われ、アリスは苛立ちを覚えます。父親が生きていれば・・・父を奪った時間を大切なものを奪う泥棒として憎むようになります。

 そもそもアリスが迷い込む"ワンダーランド"はアリスの心の中、つまりアリスの悩みが投影されていて、そこで出会うキャラクターたちもアリスの分身だと言う解釈があります。本作でもマッドハッターが過去の記憶に囚われていたように、アリス自身も父との記憶に囚われ、父を死に追いやった時間を憎み、もうそこにはいない父親への想いに固執している、そんな心情はマッドハッターのそれと重なります。
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そういったメタファーが随所に隠されている本作は前作以上にファンタジーの世界に彩られ、その中でアリスは苦難に立ち向かいますが、そこで描かれるのはアリスという1人の女性がさらに大人になるため現実世界で越えなくてはならない数々の壁なのかもしれません。なので冒険を経て、過去にそして現実の自分に正面から向き合うアリスにきっと勇気をもらえるハズ!過去は変えられないけれどそこから学ぶことは出来ますし、今を生きれば、未来も変えることが出来ますもんね。

 前作から人気、認知度共にUPしたアン・ハサウェイ扮する白の女王の活躍も増え、本作では白の女王と赤の女王の過去の秘密が明かされたり、マッドハッターの悲しい過去が描かれたりと、「アリス・イン・ワンダーランド」の世界観がより膨らむので6年待ったファンの方にもきっと満足していただけると思います♪
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 さて、シネマイクスピアリではここ数年、ディズニー映画の公開に併せて登場する、ここだけしかないフォトロケーションが大人気。"ディズニー3大映画フェス"に併せて『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』、『ファインディング・ドリー』、『ジャングル・ブック』のフォトロケーションが既に登場しています。今回はそのフォトロケで写真を撮影し「#シネマイクスピアリでディズニー映画」とハッシュタグを付けて投稿すると、プレゼントが当たるキャンペーンを実施したり、ディズニーストア(東京ディズニーリゾート店)でお買い物をされた際にシネマイクスピアリのディズニー夏の3作品いずれかの半券を提示すると、ポストカードが先着でもらえたりと、ここだけしかないキャンペーンが目白押しです。是非、シネマイクスピアリで3大ディズニー映画を観て、キャンペーンにもご参加ください!

映画を観て写真を投稿!キャンペーンはこちら
ディズニーストア 東京ディズニーリゾート店 夏の3大映画 公開記念キャンペーンはこちら

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『ヒロイン失格』

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 子供の頃好きだったマンガは美内すずえの「妖鬼妃伝」だった女住人Mです。今週は若い女子のバイブル!?別冊マーガレットで連載された大ヒットコミックの映画化9/19(土)公開の『ヒロイン失格』をご紹介します。
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 主人公の高校生・はとり(桐谷美玲)は幼馴染の利太(山﨑賢人)のことが大好きで、自分こそが利太と結ばれるヒロインなんだ!と信じて疑わないまっすぐな女の子。なのに彼は地味な"六角精児"似の安達さん(我妻三輪子)と交際を始めてしまいます。そんな時にはとりは学校一のモテ男・弘光(坂口健太郎)に告白されてしまい・・。自分が好きな人と自分を好きな人の間で揺れるはとりの本当のヒーローはどっちなの??という説明しているこっちが恥ずかしい~!ド・ストライク少女マンガ★ラブストーリー!それが映画『ヒロイン失格』です。
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 しかしイケメンさんの幼馴染と恋に落ちるというのは女子なら誰でも一度は憧れ、妄想するフックですね。いつも側にいて「自分のもの!」とばかりに安心していたら、別の女の子に持っていかれるパターン。昭和時代から脈々と受け継がれる、ある、ある設定!そこに気になる彼とはタイプの違うこれまたイケメンさんが登場し、言い寄られるとは盆と正月が一緒に来たような展開。そんな女子にとってのめくるめくワンダーランドな世界観で恋に奮闘する主人公・はとりを演じるのがニュース番組でキャスターもつとめる桐谷美玲ちゃん。はとりちゃんは思いこみが激しくて感情表現がストレート、考えるより行動!な女の子なので、美玲ちゃんはクルクル表情を変え、時には果敢にも変顔をして、体全体で利太への想いを表現するのです。いや~、可愛い子は変顔しても"可愛い変顔"になるだけなので、もうどんなでもただただ可愛いですね~。こんな娘さんがいたらお父さん、たまらんでしょうね。(どこ目線なんだ・・・)

でも恋がうまくいかなくなったり、自分に自身がなくなるとジェラシーやら悲観的感情がもくもく湧いてきて心がブチャイクになるんですよね。しかも精神的なものは外に漏れ出ますから、恋愛してるしていないに関わらず、これは気をつけなきゃいけません。そんな中、利太と安達さんの仲に自分が入れないと思い始めた時にグイグイ自分を引っ張ってくれるイケメン・弘光くんに次第とはとりは心が移って行ったりもします。でもやっぱり心のどこかで利太がいて・・・・と揺れる乙女心。
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(こんなイケメンさんが二人も一度に登場したら、人生狂いそうです・・・)

 「昔、おばあちゃんが言っていたのよね。女の子は好きになるより好かれた方が幸せになるって・・・」こんなセリフが発せられるシチュエーションが昭和時代には都市伝説的に存在していたのですが、まさにその狭間で揺れるはとりちゃん。この映画のキャッチコピーでも使われる"私が好きな人か、私を好きな人か"問題勃発!いつの時代になっても女の子はこの命題に悩まされているようですが、少女マンガにありがちなこういうどっちつかずな感情でブレまくっていると次第と周りを傷つけるってことが私、とっても気になるんですよね。
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心配してくれている友達も、好きなあの人も、自分を好きでいてくれるあの人も・・人の感情を慮ることは大切ですが、それが言い訳になったり、周りの目を気にし過ぎて自分を見失ったり、結局は周りへの気遣いがなくなってしまう結果を引き起こしたり・・・。誰かを好きだったりする気持ちはとても素敵なことなのに、それが真逆の感情を生んでしまうと悲しいことですね。自分がどうしてそう思い立ったかのその工程の中にこそ本当の真実があるってこともありますしね。恋愛という行為において人は初めて自分以外の存在に対して真剣に向き合うものなので、それにはきっちり自分と向き合うってこが大切なんですよね。なんか辛気臭くなりましたが、映画自体は全くもってド★ストライクなキラキラ恋愛映画なので、なんでこんなテンションに陥っていくのか自分でもよくわかりませんが、まぁ恋をしろ、ってことですかね??
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(みんな~、集まれ~!壁ドンよぉぉ~)

 今週この映画をご紹介したのは1つ大きな理由がありまして、なんと本作の主要キャストの桐谷美玲ちゃん、山﨑賢人くん、坂口健太郎くん、そして本作の英勉監督が公開初日の9/19にシネマイクスピアリに舞台挨拶をするべくやって来るんです!!!ひゃっほ~い。
(※チケットはご好評につき完売いたしました。)
女子が大好きな成分でしか出来ていない『ヒロイン失格』は9/19(土)からシネマイクスピアリにて公開です!

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(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

『マエストロ!』

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 皆さん、こんにちは。女住人Mです。去年の「アナと雪の女王」、只今シネマイクスピアリで大ヒット上映中の「ANNIE/アニー」と音楽が印象に残る作品が続々公開されている昨今、まだまだ続いていきますよ、と言うことで今回ご紹介する作品は1/31(土)公開の『マエストロ!』です。
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 主人公は、若手コンサートマスター、ヴァイオリニストの香坂(松坂桃李)。不況で解散した名門オーケストラの復活コンサートに参加することになりますが、資金がないので練習場は廃工場、集まった楽団員は再就職も決まらない演奏家たちとアマチュアフルート奏者のあまね(miwa)。そこに現れたのが謎の指揮者・天道(西田敏行)。自分勝手な進め方に楽団員たちは猛反発しますが、次第と天道が導く音の深さに引き込まれていきます・・・

 主演の若手ヴァイオリニスト・香坂を演じるのは「ツナグ」で大ブレイクした松坂桃李さん。通常役者が演技のために弾き方を習う際は画面に映る部分のみ集中的に特訓をするらしいですが、松坂さんは1年かけて基礎から特訓しこの役に挑みました。やはり音楽映画の肝は演奏シーン、そこに物語のクライマックスが置かれるのは当然なので、演奏の所作がお粗末だとテンションが下がっちゃいますもんね。しかも松坂さんの手や指が綺麗すぎて、手の吹替を使うとばれる可能性もあって松坂さんは自力で何とかするしかなかったそうです。
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 アマチュアながらも才能溢れるフルート奏者・あまねを演じるmiwaさんもシンガーソングライターなのでギターはお手のものですが、フルートは初めて。でも音楽的センスが良いmiwaさんは短期間でマスターしたそうです。他の出演陣もキャスティングの段階からある程度経験がある人を選抜しています。一番驚きだったのはホルンを担当した嶋田久作さんはかつてピアノの調教師だったとか。
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 そんな選りすぐりで個性的な俳優陣で構成される楽団をまとめるのは指揮者の天道こと西田敏行さん。西田さんと言えば「もしもピアノが弾けたなら」でお馴染み歌手として音楽的素養もある役者さんなだけあって、その指揮者としての振る舞いや風格もピッタリ。
前回ご紹介した『ビッグ・アイズ』もクリストフ・ヴァルツという超個性的な役者さんの演技でもって、後半の物語は特に"クリストフ・ヴァルツ劇場"さながらにおいしい所をかっさらっていく展開でしたが、本作においても西田さん演じる天道は横暴でガサツでありながらも天賦の才能で人を惹きつける感じはクリストフ・ヴァルツ並み!この映画もちょいちょい"西田敏行劇場"になっていて楽団員たちだけでなく、観ているこちらまで西田さんの熱にグイグイ引っ張られます。いや〜、さすが西田さんです!maestro1.JPG

 そして本作の見どころ復活コンサートのシーン。ここはもう大げさではなく映画館がコンサートホールになる瞬間です。この映画の中でも何度か繰り返される"今ある音は次の瞬間には消えてなくなるけれども、何かが共鳴しあって生み出された至高の瞬間は永遠になりうる"といったメッセージが役者陣の気迫のこもった演技と共に胸に迫ってきます。

音楽に限らず、私たちの生きているこの瞬間はいつもすぐ過去のものとなりますが、特別な何かに感情を揺さぶられた時にそれは永遠とも感じる感動を呼び起こすことってあると思うのです。役者たちが、プロの演奏家たちを演じるにあたってどれだけ彼らに敬意を払いそれぞれの役に挑んだのか、そんな役者たちのプロ意識さえも伺える圧巻のクライマックスを是非スクリーンで堪能してください。クラッシック音楽やオーケストラの知識がなくても劇中いろいろな豆知識がセリフに織り交ぜられているので音楽入門編としても楽しめますよ。
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そして本作の公開を記念して、2/8(日)シネマイクスピアリにて小林聖太郎監督をお迎えしての舞台挨拶が決定しました!
映画を観た後に撮影時の裏側話などが聞ける貴重な機会です。ご来館を心よりお待ちしております!

【開催日時】 2/8 (日) 10:10 の回
本編上映後、舞台挨拶実施(13:00 終了予定)
【登壇者】小林聖太郎監督、井手陽子プロデューサー(予定)
【チケット発売】 1/31 (土) 9:30〜
劇場窓口/オンラインチケット「Myシート・リザーブ」にて一斉発売!

By.M
(C)2015『マエストロ!』製作委員会 (C)さそうあきら/双葉社

『紙の月』

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 皆さん、こんにちは。女住人Mです。先週は東京国際映画祭が開催されていました。世界中のいろいろな国の映画が集まり、こういう機会でないと出会えない映画を観られるというチャンスがあるのは良いですね。さてその東京国際映画祭で本年度「観客賞」と「主演女優賞」をW受賞し、既にその作品評価が高まっている『紙の月』を今回はご紹介いたします。
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 時代はバブル崩壊後の1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は夫(田辺誠一)と二人暮らし。わかば銀行の契約社員として働く梨花は丁寧な仕事ぶりで上司や顧客からも信頼を得ていて何不自由のない生活を送っているように見えますがそんな折、大学生の光太(池松壮亮)と出会います。導かれるように光太と逢瀬を重ねるようになる梨花は彼と過ごすうちに、ふと顧客の預金に手をつけてしまいます。最初は1万円を借りて、すぐ元に戻すのですがこれが全ての始まり・・・この日から金銭感覚と日常が少しずつ歪み、彼女の人生は暴走し始めます。

 原作は「八日目の蝉」を始め、出版される小説どれもが傑作な直木賞作家・角田光代さんの同名小説。メガホンをとるのは昨年、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した「桐島、部活やめるってよ」を送り出した吉田大八監督です。
本作は小説もあり、NHKで原田知世さんが主人公の梨花を演じたTV版もあるので映画がいったいどんなアプローチをするのか、どんな世界観を見せてくれるのか、ここ数年では舞台女優としても超人的才能を開花させている宮沢りえさんが堕ちていく女をどんな風に演じるのかが最大の魅力でしたが、もうそれはそれはとっても映画的な1本になっています。
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(宮沢りえさんの相手役光太を演じる池松壮亮くんがまた良いね!色っぽいね!)

 私は小説を既に読んでいたので、どうしてもそれとの比較から映画を見ていました。小説では梨花がなぜ横領という悪事を重ね、光太との逢瀬にもズボズボとハマっていったかの理由は語られるのですが、本作では梨花の心理描写は至ってドライ。確かに夫との関係にその原因があるようだという気配はあっても、「こういう扱いをされたら仕方ないわ」といった明確に同情を与えるような説明はなく、むしろ主人公に共感したいと思わせる観客を引き離すかのように梨花はどんどん罪を重ね、嘘を重ね、光太との日々を泥沼化させます。

でもそうであるならこの映画に距離感しか感じられず、梨花という女性に何の興味を持てない気がするのですが、物語が進めば進むほど、つまり梨花が罪を重ねれば重ねる程彼女が輝きを得ていくので、この映画から目が全く離せなくなるのです。“転げ落ちるような”と表現されがちな梨花の人生はむしろ疾走し、輝きを取り戻すかのような人生へとどんどん加速するのです。これはやはり梨花を宮沢りえさんが演じたからというのが要因の1つでしょう。
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(梨花の内面を代弁するかのようなキャラクター、同僚の相川恵子を演じるのは大島優子さん。
物語のキーポイント的な役割も担います。)

 でももちろん、梨花が罪を重ねることで自分を解放していくことが正しいことのように描かれている訳ではなく、それは嘘ものであるから決して正しい場所に梨花は導かれません。そして迎える映画の終盤、梨花の悪事を感じ取り彼女を追いこむ同僚の事務員隅より子を演じる小林聡美さんとの対峙シーンはまさにこの映画のクライマックス。これまで客観的な他者としての存在だった隅ですが、このシーンで彼女が梨花に一旦寄りそうことで梨花の内なるものを引き出し、その上で彼女に最後の引導を渡すのです。もうこの二人のシーンは圧巻!!
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(いつものイメージとは異なる役を演じる小林聡美さんがまた上手い!!!さすが女優さん!)

 そして梨花の人生が行き着くところに行き着いてしまった・・・と思った瞬間、これこそこの映画が傑作と言わざるを得ない、あるシーンへと導かれるのです。その時、大八監督は梨花の人生や行動の良し悪しを問うことを求めてこの映画を作ったのではなく、それを全て取っ払った所から始まる、彼女の人生のスタートを描こうとしたんだ、とも思えたのです。そして宮沢りえさんが梨花を演じなくてはこの映画は成立しなかった、と最後の最後にまた痛感するのでした。

 さて、本作の公開を記念して11/8(土)〜11/14(金)までの1週間、毎月の旧作上映イベント<キネマイクスピアリ>で「桐島、部活やめるってよ」も上映いたします。(上映時間は11:00、13:20、18:30の3回 )是非、そちらを復習してから本作に挑んで頂けると2倍、3倍と楽しいですよ。さらに、なんと吉田大八監督のティーチイン付き『紙の月』上映イベントの開催も決定です!
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【開催日時】11/24(月・祝)15:35の回、本編上映後、ティーチイン実施(18:20終了予定)
チケット発売は11/12(水)10:00〜 劇場窓口/オンラインチケット「Myシート・リザーブ」にて一斉発売です。
くわしくは劇場HPのトップ画面をご覧ください。
『紙の月』は11/15(土)からシネマイクスピアリにて公開です。

By.M
(C)2014 「紙の月」製作委員会

『美女と野獣』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。
今回はファンタジーの最高傑作にしてラブストーリーの金字塔11/1(土)公開の『美女と野獣』をご紹介します。
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 『美女と野獣』と言えば人を愛し、愛されなければ、人間の王子に戻れない野獣とバラを盗んだ父の身代わりに野獣の城に囚われの身となった美しい娘ベルのラブストーリー。もともとは1740年にフランスのヴィルヌーヴ夫人が数百頁に及ぶ物語を執筆。これが「美女と野獣」の誕生とされています。1756年に同じくフランスのボーモン夫人が30頁ほどの短縮版を完成させ、これが現在広く知られている物語の元に。映画では1991年ディズニーによる長編アニメーション「美女と野獣」が元祖と思われていますがその前に1946年フランスの芸術家ジャン・コクトーが監督した白黒映画の「美女と野獣」が映画としては最初、映画ファンにはこのジャン・コクトー版を贔屓にされている方も多いです。
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長きに渡って愛されている「美女と野獣」ですが、誰もが知っているこの物語には実はあまり語られることがなかったエピソード(秘密)が多くある、という所に着眼点を置いて映画化されたのが本作。そして、なぜ王子は野獣になったのか、いったい、どれほどの罪を犯してそうなってしまったのか・・・という謎を本作の監督が独自のエッセンスを加えて描きました。

 さて本作のキーとなる野獣を演じるはフランスを代表する役者の1人、ヴァンサン・カッセル。最近だと「ブラック・スワン」のバレエの先生が印象的でした。ゴシップ情報によるとプライベートでもヴァンサンは女性大好き、きっと「ブラック・スワン」の役はそのまんまじゃないか、と思われます。映画の中でも野獣の時より、素の顔になっている時の方がより野獣に見える!? 野獣が野獣を演じているのでこれほどのピッタリ・キャスティングはないと思います。誉めてます!世界的に見てもギラギラした男性が少なくなってきた昨今、こういう存在は大事ですからね。
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うぬぼれが強く、支配欲が強く、強引、だけどフっとした瞬間に寂しそうな眼差しになる野獣に次第と心惹かれていくベルを演じるのは「アデル、ブルーは熱い色」「ミッドナイト・イン・パリ」「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」といった作品に出ている今、フランスで一番勢いのある女優レア・セドゥ。演じる役によってガラリと印象が変わるのも彼女の魅力。実は祖父がフランスの映画会社の会長であり、大叔父も同じくフランスの映画会社の会長及びCEOという、フランス映画業界のセレブ。(本作もおじいちゃんの会社が製作しています。)「アデル〜」のような大胆演技もやってしまう彼女ですが、もともとの育ちの良さが本作のベル役にぴったり。そんな彼女が劇中で着こなすドレスの数々、どれも素敵過ぎる!!女性なら衣装やこの世界観を見ているだけでうっとりしちゃうと思います。
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 そして、前述したように「美女と野獣」はもともとフランスから生まれた物語ですが、ディズニー・アニメーション映画の「美女と野獣」があまりにも愛され過ぎていて、あれこそオリジナルだ!と思っている方も多いと思います。それ故、フランス人監督のクリストフ・ガンズさんは「ハリウッド版に負けないもの作るんだ!」という意気込みで本作に挑んでいますので是非その心意気もご堪能ください。アムール(愛)の国、フランスが作っただけあってファンタジー・ラブストーリーでありながらどこか大人の色気や豊かさまで感じられますよ。是非、スクリーンでお楽しみください!

なお、『美女と野獣』の公開を記念して、シネマイクスピアリとシガー&バー トルセドール(イクスピアリ4F)では『美女と野獣』をモチーフに期間限定のスペシャルメニューを販売しております。そちらも映画と共にお楽しみください♪
シネマイクスピアリでの展開はこちら
シガー&バー トルセドールでの展開はこちら

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(C)2014 ESKWAD - PATHE PRODUCTION - TF1 FILMS PRODUCTION ACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH - 120 FILMS

『小野寺の弟、小野寺の姉』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。今回はシネマイクスピアリからのお知らせから始めます。なんと個性派俳優・片桐はいりさんをお迎えした新イベント『片桐はいりの出張もぎりショウinシネマイクスピアリ』の開催が決定しました!!かつては映画館でチケットもぎりのアルバイトを経験ていた片桐はいりさんがシネマイクスピアリに初来館です。イベント内容は、先ずはいりさん自らがご入場の皆さまを熟練のチケットもぎりでおもてなし。その後トークゲストとして、新作主演映画『小野寺の弟・小野寺の姉』の西田征史監督も交え、「映画」と「映画館」への愛情あふれるトークライブをお届けします。さらにイベント後には、はいりさんの著書「もぎりよ今夜も有難う」など書籍の即売サイン会も実施。チケットは発売中です。詳しくは劇場HPのTOP画面をご覧下さいませ。と、言う訳で今回ご紹介するのは10/25(土)公開『小野寺の弟・小野寺の姉』です。
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 物語の主人公は早くに両親を亡くし一軒家で一緒に暮らしている小野寺進(向井理)と姉のより子(片桐はいり)。いい年頃のふたりの仲の良い日常生活は傍から見ればちょっと風変わりかもしれませんが、当人たちには至って普通。そんな二人に恋のチャンスが訪れます。
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 姉より子を演じるはいりさんはメガネ店に勤務、営業にくる浅野さん(及川光博)のことがちょっと気になってはいるのですが、弟・進が昔の恋を忘れられず、未だに元気がないことの方が気になっている、という役どころ。そして進は進で自分の幸せよりも親代わりとなって育ててくれた姉の幸せの方が気になっているという、お互いがお互いを思いやり過ぎて不器用な行動をとってしまう、どうぞ、どうぞな姉弟。そんなある日、小野寺家に誤配送で届いた郵便物を「本人に届けよう!」とより子が無理矢理、弟を連れだすところから物語が動きだします。
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 ラッキーなことに届けた先は可愛らしい女性・岡野さん(山本美月)宅。進の心にかすかな恋心が芽生えたことをより子は見逃す訳はありません。そこからのより子はあれやこれやと画策しまくり。コメディエンヌとしての才能がピカイチのはいりさんが演じるより子が必死になればなるほど笑いを誘い、それでいてなんとも愛らしい。
 そして、それと並行するように、より子が密かに想いを寄せる営業マン浅野さんとの距離も縮まっていき、そんなより子がだんだん乙女になっていきます。人は必死になればなるほど滑稽に見えがちですが、それはとっても愛おしい存在であることとイコールです。
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(小さい頃から変わらない髪型、普段のお洋服の基本ラインもベストにスカート。
冒険をあまりしないこの風貌もより子がどんなキャラクターかを表しています。)

でもより子は進のことを考え過ぎて、自分が二の次になったり、弟を幸せにしなきゃと思い過ぎて自分を消したり、自分を決めつけ過ぎて前に進めなくなってしまっていたりで、傍から見ているとちょっと切なくなってしまうことも。しかも進も同じような行動をとってしまうのでその思い、こじれる、こじれる。でもこういう行動ってしがちですよね。「自分はこんなんだから」と卑下したり、「私はこうしなきゃダメなんだ」と決めつけ過ぎて自分で自分の可能性の扉を閉めちゃったり。人は素直になればもっと楽に生きることも出来るのに・・・。良かれと思うことが空回ることほど、切ないことはありません。より子も進も根が優しいし、お互いを本当に想いやっているからこそ切なさ倍増。この映画を観ていると「二人とも幸せになって〜」とこっちも応援してしまうんですよね。
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 はいりさんと向井さんは同名タイトルの舞台で姉弟として共演されていたこともあるので息もぴったり。はいりさんには弟さんがいらっしゃるのでもともとのお姉さん気質も演技に活かされているのでしょうか。観ていてとても心地よい空気に包まれるのもこの映画の魅力です。と、そういったことも実際はどうなのか、『片桐はいりの出張もぎりショウinシネマイクスピアリ』の中でいろいろお話が伺えると思います!楽しみだな〜♪ 10/25(土)公開の『小野寺の弟、小野寺の姉』のご観賞と共に、是非このイベントへのご参加もお待ちしております★

By.M
(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会

 皆さんこんにちは、ザ・マペッツ大好き女住人Mです。
9月6日(土)からシネマイクスピアリにて公開していました『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』も10月19日(日)の『ザ・マペッツ&ザ・マペッツ/ワールト・ツアー』二本立て上映を持ちまして終了となりました。初日に開催した映画解説者の中井圭さん、漫画家・イラストレーターの花くまゆうさくさんをお迎えしてのトークショー付き上映会から始まり、ファンの皆さまの熱い応援のおかげもあって、全国からたくさんのお客様に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました!

それでは公開初日から開催していました“ザ・マペッツ総選挙”の結果発表です。
じゃじゃ〜ん!!!
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総投票数1865票、ベスト3の詳細は、3位ミス・ピギー236票、2位ウォルター281票、そして第1位はぶっちぎり531票獲得でカーミットでした。皆さんの投票したキャラクターは何位でしたか?「誰に入れようか・・・」と迷っているファンの皆さまをお見かけする度にザ・マペッツのみんなが如何にファンの方に愛されているかを痛感しておりました。ご参加ありがとうございました!

 次回作がまた作られますように。そしてその時はまたシネマイクスピアリで上映が出来ますように。
本当にいろいろありがとうございマペッツ!!!
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(スクリーンで再会出来ますように。〜最終日、ザ・マペッツファンの方々と〜)

By.M
(C)Disney,All Rights Reserved.Muppets

『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』

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 皆さんこんにちは田舎育ちの女住人Mです。
今回ご紹介するのはど田舎の山奥で繰り広げられる爆笑と感動と衝撃の大木エンターテインメント作品でありながら自然と人間という関係性についてもほんのちょっぴり気付きを与えてくれる『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』です。
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 お気楽に高校生活を送っていた勇気(染谷将太)がふと目にしたパンフレットの表紙の美女につられ1年間の林業研修プログラムに参加することになり、帯の電波も立たない神去村(かみさりむら)にやってきます。過酷な研修にドロップアウトしそうになりながらも、表紙の美女・直樹(長澤まさみ)が村に住んでいると知り、中央林業を経営する飯田ヨキ(伊藤英明)の家に住み込むことに・・・。本作は田舎どころか山のやの字も知らないような都会っ子の青年・勇気が林業の世界に入り込み揉まれていく様を描きます。

 監督は「ウォーターボーイズ」、「ハッピーフライト」の矢口史靖さん。矢口さんと言えばあまり知られていない世界の裏側を舞台にそこに巻き込まれていく主人公の成長物語を描くことを得意とする作風でお馴染み。本作は矢口さんの十八番展開なので安心して見ていられると言うのはもちろん、役者たちのこの映画に対する本気度が各キャラクターに活かされ、物語自体をとても楽しくしています。
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 映画を観る時に「こんな人いそう!」と思えることや、役者とわかっている人がまさにその役の人間にしか見えてこないことってとっても重要だと思うのです。特に邦画作品は洋画と違って言葉もわかるし、文化や環境、時代性もある程度わかった上で観るので映画における登場人物の実在感がないと何か白けちゃいますよね。そういう点において本作は「いる!いる!」感が完璧です。

 主人公の勇気を演じる染谷くんは22才でありながらベネチア国際映画祭で新人賞にあたる賞を映画「ヒミズ」で受賞している演技派の青年。普段は暗い役やちょっと狂った若者役が多いので矢口監督作品の主人公と言うのは意外でしたが、またこれが良い!
映画冒頭はいい加減だし、やる気もないし「この村、マジやばいっす」ぐらいの青年なんですが、研修を終え、中央林業にて住みこみで働くようになってからはすんなり林業の仕事をマジメにやっていくんですよね。きっかけさえあれば、自分が打ちこめるものさえ見つけられればそれに邁進出来る元来の素直さがある青年という役を染谷くんがやると本当にしっくるんですよ。きっと染谷くん自身がそういう子なんだと思います。(渋谷の単館劇場に行くと染谷くんが一人で映画を観に来ているのに遭遇するので、彼はきっと良い子です。余談・・・)

 そして、染谷くん扮する勇気に仕事を教え込む、山の男たちの面々がまた良い。
林業シーンはキャスト自ら吹替えなしで実践して、堂に入っていることもあり、本当に林業をやってそうな役者ばっかり。道端でたむろして麻雀をする村のばあちゃんたちも、なまりまくりの素朴な子供たちもみんな東京や大阪でのオーディションで選ばれたとか。こういうところは矢口監督のこだわりの一つでもあって、本当に現地調達してそうな人たちしか出ていないから、映画に説得力もあるんですよね。
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(見よこの“ずっと村にいついている”感を。)

さらに突出するは中村林業のエース、林業をやるために生まれてきたようなこの村生粋の山の男・飯田ヨキを演じる伊藤英明さんが本当に素晴らしい!もう登場してすぐ、その体つきで山の男だとわかるし、しょっぱなで手鼻をかむ、その演出がハマりすぎで爆笑もの。「海猿」シリーズ以降、肉体派俳優と言えば・・という冠がついた伊藤英明が映画「悪の教典」を経て、その恵まれた肉体美でもって、それを活かした演技を手に入れました!伊藤英明ファンの中には彼のその肉体美を愛でる人が多いと思います(?!)、その求められていること、望まれることを察知し、それを充分に活かした上でさらに求められる以上を提示する、実は日本の若い役者でそう言うことが出来る人ってまだいないと思うんですよね。いや〜、伊藤英明よくやった!(愛情込めて呼び捨てにしてしまう)
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(見よこの“山の男たち”感を。)

途中、この映画は伊藤英明主演映画ではないか、と思うぐらいのインパクトを与えながらも、しっかり勇気の成長を見せる、何とも爽やかな映画なのでした・・・・
と思ったら後半にまさかなのエロ展開があるのでそちらはスクリーンでお楽しみ下さい。
いや、エロと言ってもそれは人間の営みとしてとても普遍的な行為に基づくエロなのでそこは神聖な思いで受け取りましょう・笑
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(みなさん、ふんどしがお似合いよ〜)

そんなこんなで、勇気の成長を笑いを交え描き、でも「スローライフ良いわね」と暢気に構える人たちに田舎での暮らしの厳しさもきっちり伝え、何とも好感の持てる映画なのでした的『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』は5/10(土)からシネマイクスピアリにて上映中です。

By.M
(C)2014「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」製作委員会

『とらわれて夏』

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 GWに突入しましたね。もともとゴールデン・ウィークは映画業界の宣伝用語だったんですよね。皆さんこんにちは、女住人Mです。
今回は“私ごとですが、この監督の新作が常に楽しみでしょうがない”シリーズ、ジェイソン・ライトマン監督最新作5/1(木)公開の
『とらわれて夏』をご紹介します。
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 私が大好きなジェイソン・ライトマン監督は「ゴースト・バスターズ」の監督アイヴァン・ライトマンを父に持つ、現在36歳の若手監督。とは言え、長編映画監督デビュー作の「サンキュー・スモーキング」以降、「JUNO/ジュノ」、「マイレージ、マイライフ」、「ヤング≒アダルト」と現代的でユーモアのある作品を作り続け、既に2度もアカデミー賞にノミネートされている実力派。都会的な映画を得意とする彼の新作の舞台は1987年、アメリカ東部の静かな田舎町とこれまでとは全く違います。「なぜライトマンは(これまでとは全く違うタイプの)この映画を撮ったのか」個人的にはこれが一番気になるポイントではありますが、先ずはこの映画の魅力をお伝えします。
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 物語は心を病みスーパーに行くのもやっとな母親アデル(ケイト・ウィンスレット)に献身的な態度をみせる、13歳の少年ヘンリー(ガトリン・グリフィス)の目線で語られます。週末にレイバーデイ(労働者の日)の祝日を控え、月に一度の買い物のために母とスーパーへ出かけた二人。その時に偶然出会った逃亡犯のフランク(ジョシ・ブローリン)。家に匿うことを強要されながらも、「決して傷つけない」その言葉通りに二人に接するフランクに次第とアデルとヘンリーは心を許していき、そして二人の生活には欠けていたものをフランクが埋めていくようになります。逃亡犯と出会い、彼のことを次第と知っていくうちに気持ちが徐々に傾いていく母・・・
彼女のフランクへの想いはまさに犯罪者に恋をしてしまう人質の恋愛“ストックホルム症候群”。一見この無理がありそうな設定を説得力持って演じる逃亡犯フランクことジョシュ・ブローリンに注目!
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(この逞しく、うまそうな二の腕を見よ!)

逃亡犯でありながらもフランクはどこか優しさのある人物として描かれ、物語は彼の過去がフラッシュバック的に挿入される形でも進行するため、なぜ逃亡犯となっているのかが次第とわかるようにもなっています。決して心から悪い人間でなかったんじゃないかと思わせるフランクはアデルたちの家に来て決定的にここに欠けているものを即座に察知します。それは父性の欠如。ちょっと手を加えれば直る傷んだ家、車・・・フランクは家を修理し、車を直し、ヘンリーにもそのやり方を教えます。男性はおろか、人との関わりを避けていたアデルにとって心のどこかでは求めていた男性的な優しさに触れ、恋に落ちるにはそう時間は必要ありません。
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 そして13歳という多感な時期であるヘンリーにとっても母が抱くフランクへの想いはこの年の子が抱きがちな汚らわしいと言う感情ではなく、とても当たり前のものとして受け止めていきます。なぜなら彼にとっても男性的な優しさ、父性的なものが必要だったから。二人が心を許し、頼るようになると犯罪者として投獄されていたフランクの孤独な心にも久しぶりに温かい感情が芽生えるのです。そう、この三人が出会ったことでそれぞれがなかったもの、欲していたものを補い合ってしまうのです。

そして決定的だったのはフランクが手ほどきをして作るピーチパイ。「パイはレシピに従うのではく、本能で作るんだ」と言ってアデルの手をとりパイを作るこのシーンのなんと官能的なこと・・・物静かで手先が器用で子供にキャッチボールとかも教えちゃって、料理まで出来ちゃう、しかも演じるはジョシュ・ブローリン、犯罪者でも逃亡犯でもそんな細かいこと気にしまへん!アデルでなくともこの映画を観れば世の女性の多くはフランクと恋に落ちてしまうことでしょう・・・これを映画の説得力と言わずして何を言う。繰り返しになりますが、料理が出来て、修理も出来て、心も優しい、ジョシュ・ブローリン顔の人が突然家にやってきたら、例え犯罪者でも拒む自信があなたにはありますか?私にはありません!(キッパリ)
「レボリューショナリー・ロード」「愛を読む人」「リトル・チルドレン」と薄幸の人を演じさせたら右に出るものはいないケイト・ウィンスレットがアデルを演じたこと、ヘンリーを演じた少年ガトリン・グリフィス君の暗い眼差しがまたこの映画の説得力を高めるのでした。
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(パイ作りシーンは「ゴースト/ニューヨークの幻」のろくろシーン以来の映画史に残る間接的表現における官能シーンではなかろうか!)

 ともすればオーソドックスなメロドラマとも取れる題材の本作。でも過去にとらわれ過ぎたことで人生をうまく生きることが出来ない人物として描かれるアデルとフランクはこれまでジェイソン・ライトマン監督が描いてきた主人公と時代は違えどもどこか通じる人物だったのです。あ〜だからこの映画を撮ったのかな・・・・。

 これまでのジェイソン・ライトマン作品にあった鋭い視点、ユーモアは封印されていますが、これまで同様人物をじっくり描き、レイバーデイの時期(9月1週目)独特の空気感(暑さ)が官能的なこの物語をさらに濃密にしていきます。温かい余韻に包まれて下さい・・・
By.M

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