M(コジレ島の女住人): 2012年8月アーカイブ

『テイク・ディス・ワルツ』

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 しあわせに敏感でさみしさに鈍感な女住人Mです。今回ご紹介する映画は“しあわせに鈍感なんじゃない。さみしさに敏感なだけ。”と言うキャッチコピーがグっときます、9/1(土)映画の日からシネマイクスピアリで公開する『テイク・ディス・ワルツ』です。
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 主人公は料理本を作る仕事をしている旦那さんルーとライターをしているその妻マーゴ。ふざけ合い、笑い合いと穏やかな日々を過ごしていた二人でしたが、マーゴは取材先でダニエルと言う旦那とは正反対のタイプの男性と知り合ってしまいます。何だか意気投合した上に、実は家が真向かいさん。運命めいた出会いにマーゴの中の女はフツフツと巨大化していきます。そんな状況なので旦那ともギクシャクし出すわ、ダニエルが気になってしょうがないわ、でマーゴは揺れ動きます。結婚しているのに、旦那さんにすご〜く不満がある訳ではないのに、ざわわ、ざわわ、ざわわ・・・。
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(「そんなに見つめないでってば。)

 本作は「死ぬまでにしたい10のこと」でヒロインを演じていたサラ・ポリーが手掛けた長編2作目。初監督・脚本をつとめた「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」がアカデミー賞脚色賞にノミネートされていて、まだ33歳ですがベッピンな上に才女ときてます。
マーゴを演じるは「ブルーバレンタイン」「マリリン 7日間の恋」でお馴染み、31歳にしてアカデミー賞の常連組のミシェル・ウィリアムズ。やり手でノリノリの二人がタッグを組んで描く恋愛模様なので、一筋縄にはいきません。恋愛と結婚の男女の考え方の違いを描いた作品として「ブルーバレンタイン」がありましたが、本作はそれと対をなすような1作と既に巷で言われています。と言う訳で見終わった後の感想と言うのは人それぞれで、猛烈にハマる人もいれば、「マーゴの考えはさっぱりわからん」と言う人もいて、友だちと意見交換するのも面白いかも!シネマイクスピアリ内でもいろいろな意見が飛び交っています。

 確かにマーゴのように自分の直感を過剰に重視して、周りのことなんて一切考えずに行動する人、特に恋愛において、本能のままに動いてしまう人、そりゃあ迷惑ですよ。でも、女と言うもの、いや人間誰しもその心の中の満足袋はいつもたえまなく枯渇しているものだと私は思うんです。マーゴのような考えを賛成する訳ではないのですが、そういう願望って誰しも心の奥に持ちうるものだと思うのです。「まだ足りない」と言う思いをただ思っていることと、実際行動にうつすことで誰かを傷つけることには大きな違いはあるとは思うのですが、そういうポッカリ感と幸せになる貪欲さのバランスを取ることって凄く難しいと思うのです。
私は自分に甘いので、マーゴの行動はどこか「人間だもの」(By,みつを)と擁護したくなっちゃいます。
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(マーゴが着ているワンピとか、おうちの感じとかがイチイチ可愛い)

 あとマーゴとダニエルが街の小さな遊園地?みたいなところで乗り物に乗るシーンがあるのですが、これがもうたまらなく素敵なシーンなんです。キラキラしたライト、恋愛の高揚感の中でバックに流れるのは♪ラジオスターの悲劇♪ ―ビデオの登場で忘れ去られるラジオスター− まさにこの映画を象徴する曲であり、恋愛における一瞬の輝き、そして喪失感を描いたワンシーン。なんて破壊力!“ラジオスターの悲劇”はこの映画のこのシーンで流れるために作られたかと思うぐらいですよ。

 他にも語るところはいろいろありますが、最後に1つ言えることはセス・ローゲンが演じた旦那さんのルーは全然悪くないってことでしょうか。こういう人と結婚出来ればたいていは幸せな結婚生活を送れるのかな〜とは思います。みなさん、どうですか?
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(セスは悪くな〜い!)

By.M
(C)2011 Joe's Daughter Inc.All Rights Reserved

『プロメテウス』

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トニー・スコット監督死去のニュースに愕然としました女住人Mです。
本日紹介するのはトニー・スコットのお兄ちゃん、リドリー・スコットの最新作8/24(金)公開『プロメテウス』です。
二人はとっても仲良しで本作もスコット・フリーという二人の製作会社の作品です。しくしく。
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 さて、お兄ちゃんのリドリー・スコットと言えば「エイリアン」「ブレイドランナー」と言ったSF映画の巨匠です。どちらも30年以上前の作品なのに、今見ても鮮烈!私は両作品ともOn Timeでは見ていませんが、あの当時あの映画に出会っていた人のぶったまげぶりなんて簡単に想像出来ちゃいますね。そんなリドリーが30年ぶりに『プロメテウス』と言うタイトルのSF映画を撮る!と言うニュースが流れた時にはもう世界中の映画ファンは大騒ぎですよ。本作は「人類はどこから来たのか?」と言うなんともスケールデカっ!な人類の起源を探る壮大なミステリーSF映画。複数の古代遺跡から共通のサインを発見した科学者たちが、巨大企業ウェイランド社が出資した宇宙船“プロメテウス”号に乗りこみ、そのサインが指し示した惑星に向かいます。しかし、そこには想像を絶する秘密が隠されていたのです!!それが何かはスクリーンでご堪能下さい!特に映画の前半は自分が“プロメテウス”号に乗りこんで惑星に行ってる気分になるぐらいの度肝を抜かれる映像体験なんで、もうそれだけで大興奮です。

 本作は“人類の起源”の謎を探ると共に、「エイリアン」の前日譚にあたるストーリーも展開されるので、「エイリアン」ファンにとっては「まじかよ〜!!」と言う驚きもお楽しみに★そして、私の一番のオススメポイントは科学者たちと一緒に“プロメテウス”号に乗りこむマイケル・ファスベンダー演じるデイヴィッドの活躍。
並みはずれた知能と才能を持つデイヴィッドはアンドロイドではありますが、どこか人間的。映画「アラビアのロレンス」を愛し、風貌も主人公のピーター・オトゥール風味な所もご愛嬌。完璧な存在でありながらも人間にはなれない憂いと影を持ち、どこかミステリアスなファスベンダーのアンドロイドっぷりは、萌え度100%です。「バットマン」シリーズのマイケル・ケイン演じる執事アルフレッドに並んで、一家に一人ほしい!!そんな存在です。SF映画はちょっと苦手だな〜と言う女性の方はそういったポイントでお楽しみ下さいね〜。(強引)
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(きみ、やっぱりきゃわうぃ〜ね〜)

 さて、ここからは僕、男住人Aが先日行われたイベントの模様をレポートします。
題して、「我らが剛力彩芽、宇宙へ行く。」
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なぜに「我らが剛力さん」かと言うとですね、剛力さんは昨年末からシネマイクスピアリで上映した浦安のご当地映画「カルテット!」に出演されていて、当館での舞台挨拶にもお越しいただいた方なのです。我々劇場スタッフにも笑顔で挨拶してくださる様子や、何よりその輝くオーラに、男子のみならず女子スタッフまで完全にノックアウトされたのでした。そんな剛力さんが今回「プロメテウス」の吹替えを務めるとあれば、応援せずにはいられません。

入場すると、会場の舞台には宇宙船のハッチのようなセットが組まれていました。そこからジャーン!と豪華に登場した剛力さん。「私が声を演じたエリザベスは、どんな時でも勇敢に立ち向かう強くてカッコイイ女性です。こういう女性になりたいな、と憧れを感じました。」「この作品は映像の迫力が満点で、体で感じる映画。この夏一番のおすすめです。」とコメント。
さらにイベントでは、最新の映像技術を使って映画のワンシーンが再現されました。その幻想的な美しさ、下の写真で多少は伝わります?まるで全宇宙の母(?)であるかのような剛力さんのパフォーマンスには、会場中がウットリ。
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今回のイベントは巨大な多目的スペースで行われたこともあり、まずそのスケール感がオドロキでした。そしてトドメが映像パフォーマンス。スケール感と映像の迫力、後で気付けばそれはまさに「プロメテウス」という作品自体の醍醐味でもあったのでした。さすがです。
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(最後はカプセルに乗り込み、エリザベス同様宇宙へと旅立って行った剛力さん。帰ってきてね。)

By.M&A

(C)2012 Twentieth Century Fox

『THE GREY 凍える太陽』

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 もう夏に飽きました。秋が待ち遠しい女住人Mです。
今回はうだるような暑さが続く、そんな日にうってつけの映画『THE GREY 凍える太陽』をご紹介します。
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 石油堀削現場で働く男たちを乗せた飛行機が事故でアラスカ山中に墜落。彼らが放り出されたのは激しい吹雪が荒れ狂い、深い雪に覆われた想像を絶する極寒の地。
武器も食糧もない中、救助を待つより生き残りをかけて南に向かおうとしますが、彼らを待ちうけていたのは大自然の猛威だけでなく、縄張りを荒らされたオオカミたちの容赦ない攻撃。生死をかけたサバイバルが始まる中、生存者は一人、また一人と命を落として行きます。
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(寒いっ、寒いっ)

生存者のリーダーを務めるのが野生の動物から作業員の命を守るために雇われていた射撃の名手オットウェイ。彼を今年還暦を迎えたリーアム・ニーソンが演じます。
舞台で培った確かな演技力を武器に「シンドラーのリスト」で有名になったリーアムですが、「バットマン」シリーズや「96時間」あたりからバキバキのアクションスターの様相。193?pの長身と冷静沈着な佇まいを活かし、今までにないアクションスターとしての地位を獲得しています。もはや「バトルシップ」を見てもおわかりの通り、“世界で一番敵に回したくないパパ”の称号さえお持ちです。
そんなリーアムが命をかけて自然と、オオカミたちと闘うんです。期待せずにはいられません。

 実はリーアムは私生活で2009年に最愛の奥さまをスキー事故で亡くしています。
そんなリーアムが演じるオットウェイも奥さんを病気で亡くしていて、この飛行機事故に遭遇すると言う設定。最愛の妻の不在に生きる意味を失くしていたオットウェイが再び生きることに挑む姿とリーアム自身がこれまで辿って来た道を重ねて見ると、もうそれだけで泣けてきます。

「おおかみこどもの雨と雪」では可愛かったオオカミも野生ともなるとそれはもう、手加減なんてあったもんじゃありません。寒い、怖い、腹減った、寒い、怖い、腹減った、で極限状態になる生存者をギリギリ支えるのは“何が何でも生きて帰る”と言う思いただそれだけです。
一度は“死のう・・”とさえ思っていた男が、死に行くしかなかった者たち、そしてその家族のためにせめて生きた証を届けようと、オオカミだけでなく、生そして死そのものと対峙していく様は必見です。その覚悟が爆発するエンディングは見ている者を荒れ狂う極寒の地に放り出すかのような名シーンです。
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(「映画見ーてーねー」還暦を迎えたリーアムからのお願いです。)

 見ているだけで身震いするような『THE GREY 凍える太陽』は8/18(土)からシネマイクスピアリにて公開です。
是非、本作を見てリーアムに萌えて下さい。

By,M
(C)2011 The Grey Film Holdings,LLC.

『桐島、部活やめるってよ』

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 高校時代は帰宅部でした女住人Mです。
夏休みと言えば洋・邦問わず大作が目白押しで「どれを見ようかな〜」と迷いがちですが、今回ご紹介する作品はこの夏、見ておくべき映画のダークホース!?心からオススメします『桐島、部活やめるってよ』です。
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(本作は朝井リョウの同名小説の映画化!原作と比べて見るのも面白いよ)

 何だか変わったタイトルですが、成績優秀、バレー部のキャプテン、学校一人気者の桐島くんがまさに“部活やめるってよ”と言うニュースが伝令のようにかけめぐり、バレー部の部員や桐島と仲の良いグループの生徒たち、そして普段は桐島たちとは全く相容れない生徒たちまでもこのニュースによってソワソワ、ざわざわする11月25日金曜日を中心に物語は進行します。
 登場人物は帰宅部で桐島の友人グループや桐島とつきあっている女の子とその友だちと言った目立つ組や、そんな目立つ組とも仲良し風なバドミントン部の女子、優等生で周りからは一目置かれる吹奏楽部の女子、学校中でオタク扱いされている映画部男子とあらゆるタイプ&ジャンルの高校生たちが総出演。
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(“映画秘宝”を愛読する映画部の前田を神木くんが演じます。神木くんはNerdな役が本当お似合いだわ〜)

既に高校時代の記億が薄れている方が見ると、ほろ苦く、甘酸っぱいノスタルジーな思いを回顧すると共に、自分に似た誰かを登場人物の中に見つけては心を動かされ、まさに若者が見れば、閉塞感の中で生きている自分のリアルを見つけては心を動かされることに!
“桐島、部活をやめるってよ”と言うニュースで持ちきりな1日を何度も繰り返し、それぞれの立場からの視点で描くため、たくさんの登場人物各々の人物描写はとても深く、的確に伝わってくるんです。見ていくうちにドンドンこの物語に引き込まれていくんです。

 この映画で、グっと心を鷲掴みされるのは学生時代の<自分の世界はここしかない>感の描写。学生時代って今生きている日常や世界って本当にここだけしかない、ここがダメならもう他はない、としか思えないじゃないですか。
実は社会に出ればそれは1つの通過点でしかなくて、若い頃に良くても大人になってダメになってしまう人やその反対に学生時代にパッとしなくても社会人になってデビューしちゃう人とかざらにいますし、人生って一寸先は闇な事もありますし・・・
それを大人になればなんとな〜くわかっても、生きている世界が実際問題狭くてしょうがない学生時代なんかは、自分の世界は(大人からすればたかが)“桐島、部活をやめるってよ”程度でも全てが変わってしまうようなもので、そんな恐怖感や閉塞感で出来上がっているようなもんなんですよね。
ここだけでしか生きられない、生きていかなければならない、と思っていた若者たちが “桐島、部活やめるってよ”という事件をきっかけに、ここだけじゃないどこかの存在を知り始め、ちょっと変化の兆しが見えた時に、この映画が今の時代にピッタリフィットした人生賛歌のエールにも思えました!!

 泣けた!笑えた!と一括りの言葉ではなかなか伝え辛いタイプの映画ではありますが、本作は是非多くの方に見て頂きたい!
『桐島、部活やめるってよ』は8/11(土)からシネマイクスピアリにて上映します。
By.M

©2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社

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