ウラシネマイクスピアリブログ

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『リメンバー・ミー』

 こんにちは、女住人Mです。今回は本年度アカデミー賞長編アニメーション賞・主題歌賞と2部門を受賞、ディズニー/ピクサー映画の最新作3/16(金)公開『リメンバー・ミー』をご紹介します。

物語の主人公は家族に音楽を禁じられながらもミュージシャンを夢見る少年ミゲル。彼は死者が人間の世界へ戻って来る、年に一度の“死者の日”に死者の国に迷い込んでしまいます。日の出までに帰らないと永遠に家族と会えなくなってしまう・・・唯一の頼りはガイコツのヘクター。絶体絶命の二人と家族をつなぐ重要な鍵はミゲルが大好きな名曲“リメンバー・ミー”に隠されていました・・・。

 今回の舞台はメキシコ。元々は音楽が大好きな一家だったのに、ひいひいおじいちゃんが音楽のために家族を捨てたことで、ミゲルの一家は音楽全般がタブー。でもミゲルは亡きスーパースター、デラクルスに憧れ、こっそりギターを弾いている少年です。音楽も家族もとっても大好きなのに、音楽をやると悲しい記憶を家族に思い出させてしまう・・・でも音楽も止めたくない!自分の意思に関わらず、一方的な理由でもって好きなことが出来ないというのは納得いかない。ミゲルは板挟みになってとても悩んでいます。そこでミゲルは“死者の日”に開催される音楽コンペに出場し、実力を認めてもらって家族に音楽を許してもらおうと考えるのですが、ひょんなことで死者の国に迷い込んでしまいます。

 そもそも物語の鍵にもなる“死者の日”、それは1年に1度死者が我らの住む世界に行くことが出来る日。死者はマリーゴールドの花びらが敷き詰められた橋を渡ってやってきます。そう、まさにメキシコ版お盆!一見、馴染みの薄い遠い国のお話に思えますが、その設定は日本人にはとってもゆかりあるもの。本作はつかみこそ、夢を諦めきれない少年の葛藤で始まるのですが、本筋は別にあります。

 さてメキシコで考えられている死者の国は歌と音楽に溢れカラフルで楽しい世界。日本では白装束でもって三途の川を渡った先にある丹波哲郎が入口で待ってそうな得体の知れない場所なので!?ちょっとした違いはあれど、お盆という風習が受け継がれ、あの世とこの世という概念が浸透している日本人にとっては本作のモチーフはとても親密度が高いのです。

 “死者の国”に迷い込んだミゲルはそこでひいひいおばあちゃんを始め写真でしか知らなかった自分の祖先たちと出会い、このままではおうちに帰れないミゲルのために祖先総出のアドベンチャーが展開されます。そんな中で祭壇に飾られる写真の謎、ミゲルのひいひいおじいちゃんの謎、彼が家族を捨てた本当の真実、ミゲルを助けてくれたガイコツのヘクターの悲しい過去などが語られていくのですが、その根底にあるのは“家族・祖先との繋がり”です。この映画を観た後は祖先という存在をとても近しいものとして感じられると思います。そして、“死”という概念自体が何か柔らかいものに変わっていきそうです。

何より、大好きな人、当たり前にいてくれると思っていた人がこの世からいなくなる喪失感を経験すると決して癒えることのない悲しみをどう自分の中で受け止めるべきか・・・、その感情と向き合うこと自体が困難です。でもこの映画で描かれるように、その人が存在したこと、自分との関わりを忘れない、というその想いを大切にすることがいつしか自分の中の悲しみとの折り合いをつけてくれるのかも・・・と。

ありきたりの表現をすればこの映画からのメッセージに私はちょっと救われる思いにもなりました。大好きだったあの人が、家族がこんなに楽しい場所にいるなら、そして忘れないでいることで“死者の国”で生きる人もずっと生き続ける・・・と思えるのなら、“死”そのものは決して悲しいことだけじゃない、と。一年に一度、帰ってもきてくれるし・・・。

大人になると、自分は一人で生きている気にもなりますが、脈々と続く祖先がいたから、そして今の家族がいるから自分があるんだな、と“生”ある自分の存在に改めて感謝したくなるのでした。

 ちょっと真面目な紹介になりましたが、映画自体はとても楽しく、彩り豊かでワクワクな要素、てんこ盛り!からの反則級に号泣エンディング!主題歌賞も受賞した♪リメンバー・ミーの曲はきっと頭から離れず、しばらく口ずさんでしまうと思いますよ。シリース最新作となる『アナと雪の女王 家族の思い出』も22分という尺で同時上映!

 シネマイクスピアリでは恒例の『リメンバー・ミー』オリジナルフォトロケーションも展開中なので併せてお楽しみください!

By.M