『プーと大人になった僕』
我がシネマイクスピアリ以上にこの映画を鑑賞するのにピッタリな映画館はないんじゃないかと自負しております。今回は9/14(金)公開『プーと大人になった僕』をご紹介いたします。
『100歳になってもきみのことは絶対に忘れない」と約束し親友のプーさんとお別れしたクリストファー・ロビン。長い月が経ち、大人になった彼(ユアン・マクレガー)は妻のイヴリンと娘のマデリンとロンドンで多忙な日々を過ごしています。そして様々な悩みを抱えているクリストファーの前にプーが現れ、二人は奇跡的な再会を果たします。
予告編を見るだけでその可愛さに悶絶していた方も多いかと思いますが、これまた何とも温かい映画が完成しました。実は私、観る前はのんびりで常にマイペースなプーさんにちょっとイラっとしてしまうんじゃないか?と思っていたんです。(ごめんよ、プー!)でもそんなことは一切なく、どんどんどんどんプーさんに心奪われ、気付くとクリストファーに発するプーさんの一言が私にもバシバシ胸にきて、涙ぐんでいる自分がいるじゃないですか!まさにプーさんに癒されていた105分!自分でもちょっと驚きでした。でもその理由は明白で、こんなにも感情移入してしまったのは自分と大人になったクリストファーを重ねてしまったからなんです。
クリストファーは幼い頃はプーさんとその仲間たちと“100エーカーの森”で楽しく過ごしていた訳ですが、全寮制の学校に進学するため彼らと離ればなれになります。それからの生活は一気に多忙を極め、森のこともプーさんのことすら思い出さなくなった彼は大人になり、戦争も体験し、今では立派なサラリーマン。でも業績が上がらない会社で上司に求められたのは人件費のコストカット!それをどうにか回避すべく別の手段がないものか、と娘のマデリンがとっても楽しみにしていた家族旅行を犠牲にしてまでもクリストファーは週末を使って打開策を講じるのです・・・・って全然「くまのプーさん」ぽい話じゃない!!
すっかり大人になったクリストファーは上司に結果を求められる企業戦士と化していたのです。「これも妻や娘に良い生活を送って貰うため」「同僚たちが路頭に迷わないため」と良かれと思ってやっているのですが、普段の何気ない出来事(それを人は幸せと言う)には一切目もくれず、おまけに家庭も顧みなくなる本末転倒なダメダメ・パパさんの典型です。
そんな時に目の前に現れたのがプーさんです。最初は再会に喜ぶものすっかり子ども心も余裕もなくしたクリストファー、超天然系プーさんに冷たい態度もとってしまいます。でもプーさんのたってのお願いとなればほっとけないので久しぶりに“100エーカーの森”へ。そこでのプーさんとのふれあいの中でクリストファーに語りかけられる言葉はどれもこれもカラカラだったクリストファーの心に浸透していきます。「ぼくは何もしないをするよ」、「それって風船より大事なことなの?」・・・どれもこれも格言として日めくりカレンダーにし毎日噛みしめたいレベルです。
別にクリストファーほど働いている訳でもありませんが、プーの一言一言は確実に私にも刺さり「あ~、何か見失ってたなぁ・・・」と思わされ、プーさんの言葉にムギュっと抱きしめられた心地に・・・それはどんなお酒よりも五臓六腑に沁み渡っていくかの如しでした。
今年の猛暑にやられて、皆さん気付かないところで心身ともに疲労がたまっていると思うんです。是非、プーさんとその仲間たちに癒されてくださいね。
By.M
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