『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』
これまでも何度か紹介してきた“ライカ”は良質なストップモーション・アニメを世に送り出し続ける、世界最高峰のスタジオ。今回は長編映画5作目にして第77回ゴールデングローブ賞最優秀長編アニメーション映画賞を(『トイ・ストーリー4』や『アナと雪の女王2』などを抑えて)受賞した作品、11/13(金)公開『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』をご紹介します。
舞台は19世紀末、ロンドン。探検家のライオネル卿(声:ヒュー・ジャックマン)は未確認生物の発見に執念を燃やす男。そんな彼が二足歩行し、話したり字もかける2メートル以上もある全身毛むくじゃらな生物と出会ったーーー!彼の存在は猿から人への進化の間を埋める“ミッシング・リンク”的存在?!これって世紀の大発見!?ずっと一人ぼっちで他の仲間がいる場所に連れて行ってほしい、と願う彼をMr.リンク(声:ザック・ガリフィアナキス)と名付け、その謎を解く、そして仲間と出会うための大冒険が始まります。
“ライカ”の作品を紹介する際に毎回オススメするポイントはやはり本作がストップモーション・アニメ(人形や小道具を少しずつ動かし一コマずつ撮影する手法)であること。そのためにとにかく手間と時間がかかる製作年数、今回は約5年。顔のパーツだけで10万6000通りあるそうです。この仕事が好き!だけでは済まされないクリエーターたちの努力なしでは成立せず、ライカ作品を観る度に「どんだけなんだ!」と驚愕しまくりです。
本作は二人がMr,リンクの仲間を探すためヒマラヤの秘境を目指して旅するロードムービーです。これまでちょっぴりダークな世界観を描くことが多かった“ライカ”のアニメですが、本作ではアドベンチャー映画の要素が全面に出ているストレートさやシンプルさも魅力です。世界中を旅するので背景のセットも彩り豊かで視覚的にも楽しく、そこで巻き起こるいろんな事件にワクワクしちゃうと思います。
さて、主人公のライオネル卿の声を担当するのはみんな大好きヒュー・ジャックマン。声色をほとんど変えずにやっているし、キャラクター作りの段階から彼をイメージしていたそうで見た目もそっくり。でもこの役は結構嫌なヤツ。新発見をし、業績を認めてもらって貴族クラブの一員になるんだ!と意気込んでいますが自己中心的な彼は(探検家)界隈でも鼻つまみ者という設定です。
そんな性格なだけに彼がぼっちなのは致し方なし、という感じではあるのですが、素朴で心優しいMr.リンクと出会い、一緒に冒険することで彼の中で変化も生じ、二人の友情が次第と結ばれていく様は胸アツです。
また冒険の途中で登場するアデリーナ(声:ゾーイ・サルダナ)は亡き夫がライオネル卿の探検仲間。過去には因縁があったようですが、二人の旅に同行する過程でキラリと光る活躍をします。紅一点と表現されがちな彼女を一般的なヒロイン像にしなかったところもさすがのライカです。
思えばメインキャラ3人は皆、ひとりぼっちで何かを失くしている存在。そんな彼らが出会ったことで新しい結び付きを得たり、補い合ったりする様はタイトルの『ミッシング・リンク』をたとえているようにも思えてきますね。
息をのむ映像、カラフルな色合い、ダイナミックなアクションシーン、ユーモアもたっぷりな冒険譚にきっと満足してもらえると思いますが、エンドクレジットで流れるメイキング映像に留めを刺されてください。
あ~、次回作がもう待ち遠しい!!
By.M
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