『43年後のアイ・ラブ・ユー』
現実世界はなかなか厳しいニュースばかりなので映画館でほんわり気分になれる映画を如何でしょう?1/15(金)公開『43年後のアイ・ラブ・ユー』をご紹介いたします。
70歳のクロード(ブルース・ダーン)は妻を亡くし、一人暮らし。つつがなく余生を過ごしていたある日、かつての恋人で人気舞台女優だったリリィがアルツハイマーを患い施設に入居していることを知る。もう一度会いたいと願うクロードはアルツハイマーのフリをして彼女と同じ施設に入ろうと画策します。
昔の想い人の失われた記憶をどうにかして取り戻すために仮病をつかう、しかもアルツハイマー!という一歩間違えればアウトな思い付きですが、クロードは心底真剣。なぜなら元演劇評論家の彼、若い頃にリリィとは互いに心を通わせながらも結ばれずに終わったという過去があったから。彼女の記憶を取り戻し、改めて愛を告げようとします。
そんなクロードを演じるのは女優ローラ・ダーンのお父さんとしても知られるブルース・ダーン。『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』ではカンヌ国際映画祭で主演男優賞を最年長の77歳で受賞しています。強面な感じの役柄が多いブルースお爺ちゃんですが、本作ではガッツがありそれでいてロマンチストなクロード爺ちゃんを熱演です。
前半は近所に住む親友のシェーン爺ちゃん(ブライアン・コックス)の協力を得て、リリィのいる施設に潜り込もうとする様子がとてもユーモラスに描かれます。仲良しな二人なので言いたいことを言い合いながらの掛け合いに笑い、おとぼけな展開に心癒されます。
そして綱渡りな演技ではありましたが無事!?アルツハイマーと認められリリィと再会!となるのですが彼女の記憶からクロードは完全に消し去られていたのでした。おまけにクロードの家族が「お父さんがアルツハイマーになったの?!」となってまたひと悶着。でもクロード爺ちゃん、めげない、負けない。二人の昔の記憶をなぞるように想い出の曲、想い出の花などをプレゼントしたり、優しく、根気強く話しかけ続けるクロードは本当に健気・・・・。リリィに43年越しの愛を届けるために益々奮闘するのでした。
本作ではクロードが元演劇評論家、リリィが元舞台女優だったという設定が物語にエッセンスを加えます。記憶を思い起こさせるアイテムがシェイクスピアの戯曲からのセリフだったり、舞台に立つリリィに送った花束だったり。シェイクスピアや舞台好きな方ならそういったポイント込みで楽しんでもらえると思います。
想い人がアルツハイマーに・・・となるとこれまでだったら悲しい物語が多かったと思いますが、この映画ではクロードがとにかくリリィの記憶が戻ることを信じ、ロマンティックな方法で彼女を見守り続けます。そのひたむきな姿、その情熱に誰しもが心を動かされると思います。嘘は嘘でもこんな嘘なら歓迎ですね。
By.M
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