『ブレイブー群青戦記ー』
学生とタイムスリップものは相性がいいですよね。今回ご紹介するのは高校生たちが学校ごと戦国時代にタイムスリップ!?3/12(金)公開『ブレイブー群青戦記―』です。
スポーツの名門校に通う西野蒼(新田真剣佑)、いつもと変わらない学園生活を送っていたある日、日常が一変!学校の外は一面野原になり、校内には刀を持った野武士たちが襲来、容赦なく生徒たちを惨殺、まさにそこは地獄絵図。歴史好きな蒼は学校まるごと戦国時代にタイムスリップしたことに気付きます。果たして彼らは元の現代に戻ることが出来るのでしょうか!?
本作は人気コミック「群青戦記 グンジョーセンキ」の実写映画化。生徒たちは桶狭間の戦い直前にタイムスリップしてしまいます。敵はなんと織田信長(松山ケンイチ)の軍勢!
教科書で知っていた武士や武将たちが自分たちを襲ってくるんです。それはもう想像するだに大パニック。しかも生きるか死ぬかのギリギリの時代、バイオレンス描写も本気度MAX!観ているこちらもあっという間に戦国時代にタイムスリップです。
仲間たちを連れ去られ、途方に暮れる蒼たちですが彼らが通うのはスポーツ名門校だった、というのがポイント。剣道、野球、空手、ボクシング、弓道などなど、スポーツエリートたちの集団です。敵の陣地に乗り込む時は火の玉ボールを野球部員がカキーンと打ちこみ、アメフト部員がスクラムを組んで突撃と日頃からチームワーク命な彼らなのでこういう時の団結はお手のもの。加えて特進クラス、科学部と頭脳班を担う生徒たちもその知性でもって作戦を練り、武器を作って大活躍。劇中でこういうDIY精神溢れる展開があるとテンションが上がってしまうのは、私だけではないハズ。
とは言え、相手は命をかけて生きている戦国の人々、やるかやられるかの状況で敵とみなされた蒼たちに情けは皆無。一丸となって向かう生徒たちは一人、また一人と命を落とします。蒼は能力がありながらも自分に自信が持てず、友達からも心配されているような青年でした。そんな彼も仲間の死を前に、また仲間を一人でも助けるんだと織田勢に向かうクラスメイトの姿にいつしか自ら一歩前へ進む人間へと変化していきます。
そんな彼を勇気づける重要な人物として登場するのが三浦春馬演じる松平元康こと後の徳川家康です。そのカリスマ性、身体能力の高さを活かした殺陣のシーン、蒼と心を通わせる場面などを観るにつけ、その不在の重みを改めて感じざるを得ませんが、スクリーンの中で溢れる輝き、躍動感にはただ圧倒されるのでした。
主演の新田真剣佑も言わずと知れた類稀なるスキルを持つ役者。どのアクションシーンをとっても安定感があり、キレがいい。だって千葉真一の長男だもの。乗馬シーンもさすがでございます。そう言えば親子そろって戦国時代にタイムスリップしているじゃないか!(お父さんは映画『戦国自衛隊』でタイムスリップ!)
そういう意味でも蒼の役は彼しかいない、ナイス・キャスティングです。
バイオレンス描写をしっかり描きながらも青春ドラマにも重点を置いた本作、監督が『踊る大捜査線』シリーズの本広克行だったと知った時にはちょっと驚きました。戦国時代へタイムスリップしたことを機に成長していく蒼が「マジか!」という選択を選ぶに至る結末まで目が離せませんYO!
By.M
(C)2021「ブレイブ -群青戦記-」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社