ウラシネマイクスピアリブログ

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『Mr.ノーバディ』

 今回はストレス過多な現代人の皆さま、そして家庭や職場で居心地の悪さを感じている!?そんなあなたにスカっとしていただくべく、アクション映画をご紹介いたします。6/11(金)公開『Mr.ノーバディ』です。

 主人公はハッチ(ボブ・オデンカーク)、家と仕事場を往復するだけの毎日を過ごしているどこにでもいるような何者でもない(NOBODY)、ただの男。妻(コニー・ニールセン)からは愛想つかされ、家庭での威厳もない。家に強盗が押し入った時も事を荒立てまいと黙って見過ごしたことで息子は失望、さらに家庭での居場所はない。悶々とした思いを抱えていたある日、ハッチはバスで居合わせたチンピラたちにキレて彼らを叩きのめしてしまう。そう彼は甘くみてはいけない男だった・・・

 昔から“ナメてた男が実は殺人マシーンでした”系ジャンルの映画がありますがリーアム・ニーソン主演『96時間』のヒット以降この系統の作品がコンスタントに登場するようになりました。リーアム・ニーソンはオスカー俳優ですがいまや“怒らしてはいけないアクションおじさん”の筆頭です。この映画の主演ハッチを演じるボブ・オデンカークは海外ドラマ『ブレイキング・バッド』で脚光を浴びましたが、日本における知名度は正直低いと思います。「誰なんだ、このおじさん・・・」と。ただそれぐらいの方がよりこの作品にハマれると思うんです。ギャップがより際立ちますもんね。

 冒頭からハッチのサエなさっぷり表現は秀逸です。まさにハンコを押したように繰り返される毎日。奥さんとベッドは一緒だけれどこれみよがしにクッションという仕切りが二人の間に用意され「こっち来るな」ビーム全開。簡単な家事ですらまともに出来ず、奥さんからの冷ややかな視線。末娘だけがまだそんなお父さんの頼りなさを優しさと解釈しているので彼女だけが心の支え。この子ももう少しで「お父さんと洗濯物を一緒にしないで」と言ってくるのか、という悲哀・・・までは描かれていませんでしたが、ハッチの心情に同情する世のお父さんも多いと思います。

 でもそんな世のお父さんとハッチが違ったのは“ナメてたお父さんが殺人マシーン”だったこと。不甲斐ないと思われていたこの男、ある理由から心を鬼にして自分を自制、家族にも真実は一切伝えずにいた訳ですが、そうやって生きてきたのもハッチおじさんが本当にヤバイ男だったから。最初の見せ場とも言える、路線バスでのチンピラたちとの死闘はあまりのヤバさ加減に、彼らに同情さえしそうになりますがロシアンマフィアと関係があったため、ハッチおじさん、次は組織からも追われることになり・・・・。

負の連鎖は続いていき、災難がどんどん雪だるま式に増えていきますが、ハッチおじさんなぜだかドンドン生き生きしていくんです。そうなるともう手はつけられません。愛する家族に危険が及んだ時、ハッチおじさんは全霊で復讐に向かうのでした。

 そしてこの映画がこれまでの作品よりさらにフレッシュだったのは殺人マシーンだったのはハッチおじさんだけじゃなかったこと。まさかの展開に私はちょっと嬉しくなっちゃいました!おまけに『イコライザー』の系譜を継ぐ、自分の職場(陣地)に敵をおびき寄せ、D.I.Yした武器で敵と最後の決闘というお約束も忘れていません。

 ハッチを演じたボブ・オデンカーク(58歳!)はこの映画のプロデューサーにも名前を連ね、自分でアクションシーンをやりたいからと映画の企画が本決まりになる前から、なんと2年もかけてトレーニングをしていたとか。その努力も報われコロナ禍に公開されたにも関わらず全米ではスマッシュヒット!“ナメてた男が実は殺人マシーンでした”の系譜にまさかのNewスターの誕生です!!

By.M