『イン・ザ・ハイツ』
毎日暑い、暑い、暑い!大事な事なので3度言いました。そんな暑い日を吹っ飛ばしてくれる、いやもっと暑くさせるかもしれない!?サマームービーの登場です。今回ご紹介する作品はトニー賞4冠、グラミー賞にも輝いた傑作ブロードウェイ・ミュージカルの映画化、7/30(金)公開『イン・ザ・ハイツ』です。
舞台はNYマンハッタン北端の街・ワシントン・ハイツ。ヒスパニック系移民が多く暮らすこの街で育ったウスナビ(アンソニー・ラモス)、ヴァネッサ(メリッサ・ヴァレラ)、ニーナ(レスリー・グレイス)、ベニー(コーリー・ホーキンズ)の4人の若者は厳しい現実に直面しながらも夢を追いかけています。そんな彼らが懸命に生きる姿をエネルギッシュに描くミュージカル映画が本作です。
物語はウスナビが子供たちに語り出すところから始まります。冒頭の掴みがOKだとそれだけで「傑作に違いない!」と期待値が高まりますが本作はまさにそれ。登場人物たちが入れ替わり立ち替わり登場し彼らのバックボーンがラップ、歌、そしてダンスで紹介される。からの『In The Heights』のタイトルロゴが画面にバーーーンと出るタイミングまでの一連の流れは『ラ・ラ・ランド』冒頭シーン以来の多幸感♪もうこれだけでこの映画がエンディングまでに私たちに与えてくれるトキメキを予感させ、テンションはアゲアゲ↑なのです。
ミュージカル映画が好きな方は前情報も入れずに観ていただきたい。だってこれ皆さんがきっと大好物なやつです♪ 知らない俳優たちばかり?ラテンな感じはあまり馴染みないな~、とかそんな事は気にする必要ない、なーーい。そして「急に歌いだすミュージカルが苦手」なんて方にもオススメ!セリフがリズムを打ってラップになり音楽と混ざり合っていく本作の手法は違和感なく映画の世界に入り込める装置の1つになっています。
それぞれの悩みを抱える4人の若者。一人は故郷に帰ってお店を開きたい夢を持ち、一人はもっともっと都会のど真ん中で夢を叶えたいと願っている。一人は周囲の期待を背負い大学に進学したものの環境に馴染めず自分の居場所を探している。別の一人はそんな彼女に恋こがれている。
悩むのは若者たちだけじゃない。再開発と土地の高騰で引っ越しを余儀なくされている美容院を営む女性たち、故郷を離れこの地にやってきた自分の人生がこれで本当に良かったのかと悩むおばあちゃんもいる。人種、世代、境遇が違っても、誰もが経験しうる悩みを抱えそれでも毎日を、今を生きる彼らの姿は親近感に溢れます。
登場人物それぞれがフォーカスされ見せ場もある上に、主役の一人といって過言ではない実際の“ワシントン・ハイツ”で多くのシーンが撮影されていることが物語の熱量を一層高めています。街自体が持つパワーがスクリーンからも溢れ出ていて、そこで群衆劇として展開するプールや街角での圧巻のダンスシーンはもう体をじっとなんてしてられない!
暴力的な暑さに疲弊寸前、自粛、自粛でうんざりな日々を過ごしている我らはこの映画を観ている時だけはいろいろなことから解き放たれるハズ。この映画で眠っていた私のラテン魂も覚醒しました!(そんなの元々あったかどうかは置いておいて・・・)
この夏一番のビタミン・パワーをこの映画から受け取ってーーー!
By.M
(C)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved