ウラシネマイクスピアリブログ

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『007/ノータイム・トゥ・ダイ』

 コロナ禍の影響で3度の延期、当初の公開日から約1年と半年が経過しました。もう本当に待ちに待ったという喜び、と同時にこれで彼が演じるジェームズ・ボンドは最後なのか、という悲しみとの狭間で本作の公開を迎え、私は未だ心の整理がついておりません・・・。今回ご紹介するのは10/1(金)公開『007/ノータイム・トゥ・ダイ』です。

『007』シリーズ25作目、ダニエル版『007』5作目にしてダニエル・クレイグ演じる最後のジェームズ・ボンド、もうこれだけで映画館に観に行ってほしい、お願いしますだーー案件です。

 ダニエルが6代目ジェームズ・ボンドに決定した時は世界中でイメージと違うとブーイングの嵐、イアン・フレミングが生み出したボンドと決定的に異なる金髪にブルーアイで当初は「ボンドらしくない」と不評だったこと、皆さんは覚えていますか?それでも役作りのために髪を染めることもなく、肉体改造に励み、今となっては誰もが認めるダニエル・ボンドです。

 前作のラストでMI6のエージェントを引退したジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)。恋人マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)と静かな日々を送っていたのも束の間、命を狙われたことで彼女とも別れを告げます。それから5年後、CIA局員でボンドの友人でもあるフィリップ(ジェフリー・ライト)から誘拐されたロシア人科学者救出の依頼を受けることに。でもその黒幕はマドレーヌとの因果がある男サフィン(ラミ・マレック)だったのです。

 お馴染の“007のテーマ”にあわせあのお決まりのショットが始まるだけでもう胸いっぱいです。でも映画はイタリア世界遺産の街を舞台にしたアクロバティックバイクシーンからのあらぶるアストン・マーチンでのカーチェイスで感傷に浸りそうな私の心をイッキにアゲ↑にかかってきます。Q(ベン・ウィショー)が改造したアストン・マーチン、いつも以上にガジェット搭載&本領発揮で往年の“007”ファンの方もニンマリしていただけるオープニングです。

 一旦は引退し“00”(ダブルオー)の称号を返上したボンドですが、再びM(レイフ・ファインズ)の元、MI6として任務を遂行することとなります。お馴染みのメンツ登場はもちろん、新メンバーの二人の女性が抜群に魅力的!“007”を継承したノーミ(ラシャーナ・リンチ)はボンドに「もう私の時代だから」と言わんばかりに颯爽と軽やかに闘う、その姿のかっちょいいこと。

またワンポントリリーフ的に登場する新人エージェントパロマ(アナ・デ・アルマス)(『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』でもダニエルと共演)はいわゆるボンド・ガールとしての役回りなのですが「まだ新人なの(テヘっ)」と始終お茶目、それでいてばっちりボンドをサポートし敵にハイキックもお見舞いし、然してボンドと色っぽい展開になることもなく「楽しかった!またね~チャオ~」とサクっと別れる。この二人のポジショニングにはまさに現代的な女性観も反映されて「二人のスピンオフ映画が観たい!」という声が既にたくさんあがっているほどです。

 このように、これまでのジェームズ・ボンド像を確実にアップデートし、それでいてシリーズを通して彼の人間性、その成長を描いたダニエル版ボンド、本作が一番生身のボンドを描いたストーリーラインにもなっています。こんなカオスな時代で“007”というスパイにリアルさを感じられたのはトム・フォードの細身のスーツを完璧に着こなし、大怪我をしても毎回アクションを果敢にチャレンジし、人生をかけてジェームズ・ボンドになったダニエル・クレイグ、その人がいたからだと思います。

 ダニエル・ボンドが有終の美を飾る本作においてもここぞとばかりに(愛情たっぷりに)ブルーアイがフォーカスされるのを見るにつけ、最初は格好のバッシングのネタだったのに今となってはあの魅惑のブルーアイがまさに代名詞となっている、それはもうダニエル・ボンドが本当に多くの人に認められ、愛された証です。

『007』シリーズとしての在り方としてこのフィナーレにはいろいろ考えるところもありますが、15年にわたり最高のジェームズ・ボンドを演じ、夢を与えてくれたダニエル・クレイグにはもう感謝しかありません。とにかく観て、観て、観てくださーーーーい!!

PS,Qも大活躍!!自宅も公開しちゃいますよーー。

By.ダニエル・ボンドロス真っ只中のM