『AIR/エア』
90年代に日本でも空前のスニーカーブームが到来。『SLAM DUNK』の桜木花道と流川楓がエアジョーダンを履いていたことからさらに人気も過熱したことを覚えている方も多いでしょう。今回ご紹介するのは4/7(金)公開『AIR/エア』です。
80年代、ナイキのバスケットシューズ部門は苦戦を強いられていた。CEOのフィル・ナイト(ベン・アフレック)から立て直しを命じられたソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)は無名の新人にターゲットを絞り、一発逆転の賭けに出る!その“無名の新人”こそマイケル・ジョーダン、その人。この映画では伝説の“エアジョーダン”誕生秘話を描きます。
「エアジョーダン?買ったことないし、シューズはなんでもいいし」と思った方、ちょっと待った!ナイキのシューズを履いたことがない私が全力で引き止めますよ。「バスケット?興味ないな。」と思った方もちょっと待った!私もそっちの側の人間です。でも最近観た映画の中で抜群に面白かったので切り捨てるのはまだ早い!バスケのゲームが物語の核にもなってないのでバスケに詳しくなくても問題なし。むしろリーマンおじさんたちが社内外の交渉事に悪戦苦闘する様が描かれ、当時は企業としてくすぶっていたナイキが型破りな挑戦でもって下剋上していく、そこにスリルがある、そうこの映画はお仕事MOVIEなんです。
1984年当時、ナイキはランニングシューズのトップブランドではあったもの、バッシュに関しては全然でコンバースとアディダスがシェアを誇り、ナイキはシェア19%の業界3位という地位に甘んじていました。売り上げをあげるにはNBAのスター候補と契約を結ぶ必要があったのですが、選手からは「ナイキはねぇ・・・(パッとしないもんねぇ)」と冷笑されていた時代。通常は複数のルーキーと契約しリスクを分散しながら利を得るところ、バッシュ部門立て直しを命じられたソニーはNBAの試合に出たことのない新人時代のマイケル・ジョーダンに白羽の矢を立て「彼にうちのバッシュを履いてもらう専属プレイヤーになってもらおう!」と全賭けします。(ギャンブラーなソニー、その根っからの博打体質が映画の冒頭からサラっと描かれているところなんか、うまいね!)息まくソニーですがライバル他社も彼をマークしていた上に肝心のジョーダンはアディダスファンだったんです・涙
そこからソニー、先ずはいかにジョーダンが確実に未来のスーパースターになるかを社内にプレゼンします。でもどんなに期待のスーパーウルトラルーキーとは言え、絶対はありません。一人の選手に全ベットしてコカしたらナイキ自体が存続の危機!CEOのフィルも同僚だって「んな、危険を冒せっかー」とご立腹です。でもナイキがチャンスを掴むにはジョーダン獲得それしかない!と信じてやまないソニーはそこから粘り強さ、情熱、誠意、チャレンジ精神、常識を覆す新しい発想、そして何よりJust Do It!でもって1つ1つクリアしていくんです。それがテンポ良いやり取りで進むので、観ているこちらのドキドキが加速する。どんな結果になるか私たちは知っているにも関わらず・・・
またこの映画は天賦の才能を持った子を心から信じ、そんな子を悪い大人の魔の手から守り、かつ彼の才能にさらに付加価値をつけることに成功した母親、デロリスの物語でもあります。その母親を演じたのはジョーダン自らがキャスティングにリクエストしたヴィオラ・デイヴィス。圧巻のカリスマ性で最後に彼女が色々かっさらっていきますYO!
本作はマブダチでお馴染みマット・デイモンとベン・アフレックが立ち上げた制作会社の第一弾プロジェクト作品、ベン・アフレック監督、出演、マット・デイモン主演作です。冒頭数分で一気に観客を80年代に没入させ、ユーモアとパッションでストレートに物語をドライブさせるベンアフの監督としての手腕は作品ごとにその信頼性は高まる一方。その演出に確実に応えるマット・デイモンと、二人のその長年の絆にも映画ファンは胸アツです!ベンアフ版カンブリア宮殿~ナイキがトップを掴むまで~としてリーマン必見、そして「SLAM DUNK」でバスケに目覚めたあなたも必見です!
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