ウラシネマイクスピアリブログ

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『ヒットマン』

 今回ご紹介するのは「あなたが好きなのはどのパウパウ?」9/13(金)公開『ヒットマン』です。

 大学教授のゲイリー(グレン・パウエル)は心理学と哲学を教える一方で技術スタッフとして地元警察に協力していた。ある日、おとり捜査の殺し屋役となるはずだった警官の代役を突然務めることになって以降、プロの殺し屋=ヒットマンになりきって様々な事件を未然に防いでしまう。ところが謎の美女マディソン(アドリア・アルホナ)が夫の殺害を依頼してきたことでゲイリーの運命が狂いだす。

 冴えない日々を送っていた大学教授が偽の殺し屋(ヒットマン)になりきって殺しの依頼を受け、そのまま依頼人を逮捕していく・・・というこの映画のあらすじはなんと実話。

 臨時殺し屋ゲイリーを演じるのは「トップガン:マーヴェリック」以降、ツキがまわってきたグレン・パウエル(シネマイクスピアリ的にはパウパウの愛称でお馴染み!?)。冒頭では生徒たちからもパッとしない・・・とその存在感すら危うかったのに、誰かになりきる、つまり誰かの人生を演じて生きてみるという行動をとっていたらどんどんゲイリーの人生が輝き始めます。

 でも夫殺しを依頼してきたマディソンと出会ってからゲイリーの人生は危うい方向に転がっていきます。セクシーな男、ロンをイメージしてマディソンと出会い、彼女と恋に落ちてしまったから。誰かになりきるのはおとり捜査をしている時だけだったのに、実生活でもロンの人格がゲイリーの人生を侵食してきて、生徒たちからも「なんか最近素敵じゃない?」と言われるまでに。

とは言え、ゲイリーは架空の人物ロンのままでいる訳にはいかない上にマディソンが迂闊な行動をとったことで物語は思いもよらぬブラックな展開になっていき、目が離せなくなります。

最初はコメディっぽいノリではあるのですが、なんの張り合いもなく生きていたような男が、なりたい自分を演じていたらどんどんそんな自分になっていく、つまり「人間は変われるのか?」というちょっと哲学っぽい問いにも向き合ってて、意外とこの映画、奥深かったりします。

 そして何と言ってもゲイリーを演じるパウパウの七変化っぷりが見もの!この役、演者の役者スキルがそのまま反映されるから“演じる”ことを満喫しているパウパウのチャームが増し増しだし、(リチャード・リンクレーター)監督と共に本作の脚本まで書いているんです。裏方の手腕も発揮しちゃって彼の人生にどんどんLuckがまわってきている状況もさもありなんです。

 今年主演を張った『恋するプリテンダー』『ツイスターズ』と何れも大ヒットしていてハリウッドにおけるパウパウの人気は実力共に盤石なものとなりました。ここ日本でもそうなる日も近いハズ。

By.M