ウラシネマイクスピアリブログ

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『エイリアン:ロムルス』

 SF映画の金字塔「エイリアン」シリーズが帰って来た!と聞いて、「待ってました!」「また映画やるのか!」という往年のファンから「観たことがない・・・」という方までそれぞれの温度感があろうかと思いますが、本作に関しては「ちょっと観て!」と前のめりになる私がいます。今回は9/6(金)公開『エイリアン:ロムルス』をご紹介いたします。

 宇宙船、どこも逃げ場のない空間の中に解き放たれた地球外生命体エイリアン。人間の体に寄生し、その体内で成長、寄生主の胸部を破り出てきて瞬く間に成体となる。寄生されたら最後命はないし、彼らの唾液、体液は強酸性で全てのものを溶かす。悪夢のような存在でありながらH・R・ギーガーによってデザインされたそのフォルムが独創的で禍々しくもあり、神秘的。『エイリアン』と言えば映画史を変えた1作といって過言ではありません。

本作は生みの親、リドリー・スコットが製作、『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスが監督、1作目の『エイリアン』の20年後の話を描きます。

 時は西暦2142年。人類は宇宙に移住し活動圏を広げているが人間の命は粗末に扱われる劣悪な環境下。レイン(ケイリー・スピーニー)、彼女の弟的存在のアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)、そして4人の若者たちは廃墟と化した宇宙ステーション「ロムレス」に逃げ、新天地を求め別の惑星に旅立つ計画を立てる。が、そこで彼らを待ち受けていたのは希望ではなく“エイリアン”だった・・・

 初めて登場してから45年もの月日が流れ、リドリー・スコットから始まりジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン=ピエール・ジュネと錚々たる監督たちのもとで(前日譚を含め)全6作品作られてきた訳ですが、ここにきて初心に戻り、リセット!でも変わらぬリスペクト!という気概が見事に具現化され完成したのが本作です。

 レジェンド作品への敬意が垣間見られるアイテム、「エイリアン」と言えばあの構図(ショット)というお約束的展開に往年のファンが胸躍るのはもちろんなのですが、ここから「エイリアン」を知る人たちにズバリ直球でその魅力が伝わる強さをこの映画から感じ取れます。

 それはそもそも「エイリアン」のベースが完璧だ、ということではあるのですが、主人公を若い世代に設定し、また特別な能力があってここに存在している訳ではない(むしろ逆)、若者が今よりましな生活を望んで逃亡し、そこで“エイリアン”に襲われ、ただ生き延びることだけに突き進む、そのシンプルな主人公たちの行動原理がとても今日的に感じられるし、現実的に捉えることが出来るんです。

 当時からフェミニズム映画としても評価されていた「エイリアン」ですが、本作ではそれ以上に混沌とした世界で何者でもない若者がただ“生きる”ことを追い求める・・・まるで80年代青春映画のような一面も感じられます。

 また主人公レインを演じるケイリー・スピーニーは今年4月に公開した『プリシラ』、この後10/4(金)公開『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の演技が高く評価され、今最も注目を浴びている新星。作品を経るごとにどんどん輝きと存在感が増していく、そんな旬な役者をスクリーンで観ることの高揚感もこの映画で感じてほしい!

いや~ここにきてこんなに満足度が高い新たな“エイリアン”シリーズが観られるだなんて、嬉しいじゃないですか~

By.M