『ハドソン川の奇跡』

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 陽が沈むのも早くなり、めっきり秋めいてきました。皆さんこんにちは女住人Mです。今回ご紹介する作品は86歳を迎えなお、意欲的に作品を作り続けているクリント・イーストウッド監督の最新作、9/24(土)公開『ハドソン川の奇跡』です。
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 2009年1月15日、ニューヨーク上空で155名を乗せた航空機を突如襲った全エンジン停止事故。近くの空港に着陸するよう管制官から指示がある中、機長のサリー(トム・ハンクス)はハドソン川への着水を決断。サリーと副操縦士のジェフ(アーロン・エッカート)は絶望的な状況から見事に不時着を成功させ、乗客・乗員"全員生存"の偉業を成し遂げ、サリーは英雄として称賛される・・・はずだった。サリーとジェフはその判断について国家運輸安全委員会から調査を受けることになります。
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 アメリカ人なら誰しも知っているこの事件をイーストウッド監督が描くことを決めたのは事件の後にこそ真のドラマがあって、それが多くの人には知られていなかったから。サリーは機長として長年の経験と知識を元に、ハドソン川への着水を決断し多くの命を助け一躍英雄になるのですが、その判断が本当に正しかったかを問われる容疑者へと立場を変えられてしまいます。
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その行動は余計に乗員・乗客を危険にさらす行為ではなかったか、管制官の指示に従った方が安全に人命を助けることが出来たのではないか?と。映画はサリーとジェフが調査委員による審問を受ける様子を主軸に、事故当時のサリーの記憶がフラッシュバックとなって描かれます。
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そう、こういった事件が起きると、一番問われるのは"責任の所在"。あんな状況で多くの命を救ったという結果はあれど、その判断が果たして本当に正しかったのか?二人のパイロットは徹底的に糾弾されることになるのです。でもサリーは42年間というパイロット人生において、いついかなる時も自身の仕事を純粋に全うしていたという自負があるため、決して屈しません。自分がこれまでコツコツと積み上げて来た経験、知識による決断を信じます。その一方で事故を経験したことで歪んだ記憶がPTSDの症状として襲いかかったり、急に世間から注目を浴びたことでサリーは居心地の悪さを感じ、バツが悪い表情を浮かべることも・・・。
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イーストウッド監督はこの作品をいわゆる英雄譚として描くことはせず、多くの命を救ったのは特別な誰かではなく、日々のことを当たり前のように、やるべきことを積み重ねていく人だった、といった語り口で描くので観ているこちらも背筋が伸びるような気持ちにもなります。サリーは一躍時の人となっても、プロとしての姿勢を貫き、むしろ「私は当たり前に自分の仕事をしたまでさ」と言っているかのようです。そして、飛行機が着水後、ハドソン川を行き来していた何艘ものフェリーのクルーたちが一目散に救助に向かうシーンも、プロ意識をもった人々の行動としてフォーカスされ、胸が熱くなるのでした。
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(意外にも初タッグとなるトム・ハンクスとイーストウッド監督。)

 言葉で表現するととても渋い映画のように思われるかもしれませんが、緊張感の糸は途切れることなく、でも最後は粋なセリフで締めくくられ、晴れやかにエンディングを迎える。まさにイーストウッド監督のプロフェッショナルな仕事ぶりまでも見せられたようです。映画自体はハラハラドキドキの連続ですが、イーストウッド作品のこの安定感、打率の良さ、本当に凄すぎる!!

By,M
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