皆さん、こんにちは女住人Mです。
今回は「美女と野獣」と同日に初日を迎えたもう1本の作品、打って変って社会派&硬派な『バーニング・オーシャン』をご紹介いたします。
2010年に起きたメキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホライズンでの大爆発事故。これにより3カ月にわたって大量の原油が海に流れ出ました。そして施設で働いていた11名もの命が奪われたこの惨事、実は世界最大級の"人災"だったのです。その事故の裏側を描くのが本作です。
実話の映画化ということで先ず目を見張るのはその臨場感。映画の冒頭は作業員たちが普通通りに家を出て、通常通りに業務に携わっているシーンが描かれます。でもディープウォーター・ホライズンは電気系統の故障が相次いでいる上に工期が遅れていて管理職のヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)は安全点検を割愛してでもそれを取り戻そうと現場に無理難題を強い、一方施設主任のジミー(カート・ラッセル)は安全第一を謳いヴィドリンと衝突しています。
(重傷を負いながらも部下を助ける主任ジミー、演じるはカートラッセル。
その姿で「バックドラフト」を思い出すあなたは、オーバー40!?)
既にこの施設がこの後、未曾有の惨事を引き起こすことを知っている我々は二人の言い争いに始まるその1つ1つのやり取りに不穏なサインを感じ取りながら映画を観ます。いつもと変わらない一日だったハズなのに、小さなミスや誤った判断がどんどん積み重なっていき、稲川淳二風に「いやだな~、いやな感じがするな~、怖いな~」と緊張感がどんどん迫ってきます。大爆発が起きると数十メートルの火柱が上がり、一瞬にして施設が地獄絵図。まるで自然が人間を罰しているかのように炎や黒煙が人間を襲うその迫力たるや・・・。本作が今年のアカデミー賞視覚効果賞、音響編集賞にノミネートされているのも納得です。
起きた事故があまりにも大きすぎるので他人事に思えるかもしれませんが、でもその原因は前述した通り、人的なミス。安全管理、危機管理が何よりもの優先事項にあるにも関わらず、経営陣は工期が遅れることの金銭的損失の方にばかり目を向け、それに反発する者もいたけれどパワハラ上司の身勝手な判断で起こるべきして起きたこの事故。「ちょっとぐらい・・・」という判断は本当に危険で、我らの日常でも似たようなことは起きないとは言えません。
そして事故が起きたことで負傷し、施設内に足止めを食らった作業員たちを救助するべく立ち上がるのがマーク・ウォールバーグ演じる主人公エンジニアのマイクです。本作の監督ピーター・バーグとは(敵地で孤立無援になったシールド隊員たちの脱出劇を描いた)「ローン・サバイバー」に続き2作目のタッグで、この後もボストンマラソンでのテロ事件を描いた6/9(金)公開「パトリオット・デイ」と続きます。マーク・ウォールバーグ自身がザ・男気溢れるキャラなだけに映画の中盤以降、危険を顧みずに必死に同僚たちを救出するストーリーに胸熱!!現実世界のヒーローはスーパーパワーを持つ人でなく、どこにでもいる普通の人だったりするものですね。
ちょっとした油断は大きなトラブルに繋がる、現実で取り返しのつかないミスをしないためにもこの映画、必見です!
余談:大量に流出した原油、この事故の鎮静化に役立ったのが'オーシャン・セラピー・ソリューション'という装置。1989年に起きたアラスカ沖原油流出事故を機に、かねてから環境問題に興味をもっていたある男性が開発中の装置の権利を購入、多額の出資をし、陰ながら地球を救っていたという・・・その人の名はケビン・コスナー。
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