話題の新作映画: 2012年5月アーカイブ

『ザ・マペッツ』

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 映画の中で人が突然歌い出したり、踊り出したりするシチュエーションが大好きな女住人Mです。
今回ご紹介する映画はミュージカル映画『ザ・マペッツ』です。

“マペット”はマリオネット(操り人形)とパペット(指人形)の合成語で、操り人形師のジム・ヘンソンたちによって作られました。日本では「セサミストリートの生みの親がジム・ヘンソンなんだよ」と言うとわかりやすいでしょう。だとすると子供向け?と思われそうですが、大人向けのTV番組として登場したのがカエルのカーミットが主役を務めた「マペットショー」で、そのキャタクターたちが集結するのが本作です。
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(“ザ・マペッツ”集結〜。他にも“ザ・マペッツ”好きのハリウッド・スターがいっぱいカメオ出演もしちゃうよ〜。)

 物語はマペットと人間が共存する世界の物語で、マペットのウォルターは人間のゲイリーと仲の良い兄弟として共に成長します。
付き合って10周年記念旅行にゲイリーと恋人のメアリーがLAへ旅立つところから物語は始まります。メアリーは「もうそろそろプロポーズとかされちゃったりして〜」と浮かれているのですが、その旅行にはウォルターも同伴。ウォルターは「マペットショー」の大大大ファンなのでゲイリーはLAにある“マペット・スタジオ”にウォルターを連れて行ってあげるんですね。でも“マペット・スタジオ”は「マペットショー」の人気の衰退と共に廃墟となっていて、ウォルターはショ〜ック!!
今やバラバラなったマペッツを集め、何とか“ザ・マペッツ”を再結成させようとウォルターたちが奮闘します。その話を軸に“ザ・マペッツ”の復活を邪魔しようとする悪者・テックス・リッチマンとの攻防も描かれます。
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(いざ、LAにやって来たよ! )

 この映画はミュージカル映画として出来が本当に素晴らしく、映画「魔法にかけられて」でお馴染み、エイミー・アダムスがゲイリーの恋人メアリーを演じ、 “ザ・マペッツ”の復活を邪魔するテックス・リッチマンをクリス・クーパーが演じるのですが、いっぱしの大人がコメディタッチの物語を真剣にやり通す所が本当天晴れですし、特にクリス・クーパーは、こんな才能まであったのか!と言うぐらいの活躍ぶりで私、惚れなおしました。
物語もウォルターとゲイリーのブロマンス(Brother+Romance)映画としても楽しめますし、音楽使いも良いし、ダンスもキュートだし、この映画最高です!

特に映画のラストでは、「“ザ・マペッツ”ってこんなに愛されてきたんだ!」と実感させられるHappy極まりないエンディングを迎え、その頃には私も「“ザ・マペッツ”大好き〜!!」と大ファンに!
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(“ザ・マペッツ”のチーム感がたまんない。和気あいあい!)

 「マペットショー」を見た事がない、“ザ・マペッツ”初体験の方でも(私のように)充分楽しめて、いやむしろこれを機に虜になっちゃう♪『ザ・マペッツ』は5/19(土)からシネマイクスピアリにて公開です。

By.M
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『ファミリー・ツリー』

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 ハワイに行っても決してマリンスポーツなどしない、でもハワイ大好き☆女住人Mです。
今回ご紹介するのは、そのハワイが舞台。本年度アカデミー賞脚色賞受賞、作品賞・監督賞・主演男優賞・編集賞にもノミネートされた『ファミリー・ツリー』です。

 主演はジョージ・クルーニー(a.k.a兄貴)。華々しい場でいつも隣に美女を従え、でも毎年連れている女性が違う男、それがジョージ。それじゃあ、チャラ男か?と言われればお父さんと一緒に政治活動で逮捕されるインテリ男、それがジョージ。演技も出来れば監督業も出来る、大統領役を演じたかと思うと、オバマ大統領に「選挙運動のためのパーティーで人集めたいから手伝って!」と言われる男、それがジョージ。
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(そう、何でも持っている男、それがオレさっ)

 そんな完璧ジョージが今回演じたのはハワイ在住の弁護士のマット・キング。優雅に暮らしていたと思われた主人公マットの人生が妻の事故によって、実はトホホな人生だったことが浮き彫りになると言う物語です。
仕事一筋だったマットはこれまで家族のことなど一切省みず生活していたので、奥さんがいないと何も出来ません。奥さんが事故でこん睡状態になったことで次女は情緒不安定になり、「子供が考えてることなんか、わかるか〜」とオロオロするだけのジョージ。反抗期の長女からは奥さんの浮気の事実を聞かされるは、そんな長女の彼氏はとんでもないチャラ男で「どいつもこいつも何なんだ〜!」とオロオロするだけのジョージ。
加えてマットは祖先(なんとカメハメハ大王!)から受け継いだ広大な土地の売却問題も抱えており、一族からのプレッシャーを受けまくり。で、またまたオロオロするだけのジョージ。いつもクールにSEXYに決めているジョージがこの映画ではず〜っと、オロオロ、オロオロしっ放しで普段のイメージとのギャップがあり過ぎて笑うしかありません。
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(ジョージのオロオロに悲哀萌え〜)

 でも平穏だった日常に突如ふってきた問題はマットがこれまでずっと逃げてきたもの。彼はこれを機にその問題と直面することで、家族との繋がり、これまで祖先から受け継がれてきた“ファミリー・ツリー(家族の系譜)”と言う関係性について今一度、考え直す岐路に立つのです。
そして最初はオロオロするだけのジョージを笑っていた私も、疎遠になっている両親とのことや親戚付き合いのことなど、マットを見ながらも自分のこともついつい考えてしまうのでした。そんな自分の日常に置き換えるとちょっとブルーになることも本作ではコミカルに描き、でも登場人物のふとした仕草や表情、セリフがグっと胸に刺さって、ジーン。まさに“人生は泣き笑い”であると気付かせてくれます。
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(失くしたものはまた取り戻せば良いさっ)

 CGなし、爆破シーンなし。宇宙人も極悪非道なサイコ野郎も出てきません。ハリウッドお得意のド派手な展開は一切ありません。自分の周りでも起きそうな何てことない日常を描いただけなのに、こんなにドラマチックで胸を打たれるなんて・・・・つうことは、私たちの日常って実はそういう事に溢れているの?な〜んて思わせてくれる映画が本作です。
映画を見終わって、私は本当に幸せな気持ちでいっぱいになりました。この出会い、映画の神様に感謝せずにはいられない、そんな『ファミリー・ツリー』は5/18(金)からシネマイクスピアリにて公開です。

By.M
(c)2011 Twentieth Century Fox

『ル・アーヴルの靴みがき』

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 北欧なシャレオツ・デザインが大好きな女住人Mです。
北欧の都市・フィンランドと言えば、ムーミン、モダン家具、食器などが有名ですが映画の世界だと彼しかいない、そうフィンランドを代表する監督と言えば“アキ・カウリスマキ”、と言うことで今回ご紹介するのは彼の新作『ル・アーヴルの靴みがき』です。
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(地味な僕ら夫婦が主人公だよ)

 フィンランドと遠い国のご出身、カウリスマキ監督ですが、彼の作品の多くは日本でも公開されています。不遇な境遇の中でも地に足をつけて、逞しく、でもひそやかに生きる人たちがいつも登場。そんな市井の人々の姿をマッチで温かい明かりを灯すように描き、その温かは何だか日本人の心にマッチすると言うか、彼の世界観はどこか日本的でさえある気もします。だから日本でもカウリスマキ作品のファンが多いのかな〜?

 今回の舞台はフランス、ル・アーヴルの港町。靴みがきを生業としているマルセルは奥さんのアルレッティと愛犬ライカとつつましく生活しています。近所づきあいやいつも行くカフェで会う人々とのささやかな触れ合いも彼の至福のひと時。が、ある日アルレッティが病に倒れ入院し、それと入れ替わるように難民の少年イドリッサをかくまうことになります。波風のない平穏な生活を送っていたマルセルの人生は少年との出会いでさざ波が起きます。
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(右:警視モネ「難民をかくまってたりしてないよな。」左:マルセル「えっ!?」)

 難民の少年とそれを助ける男の話、と書くと何だか小難しそうな気がしますが、一切それはありません。カウリスマキ監督の描く世界は決して多くを語らないのにいつも温かさに溢れています。でも何だかデタラメな所もあってそこが憎めない。それはカウリスマキ監督そのものの人間性とも一致しているようです。

 この映画に出てくる人々は皆、質素だけれど、殺伐感は全くなく、お互いがお互いを支え、生きています。金払いの悪いマルセルに呆れ顔のご近所さんは奥さんのアルレッティが倒れたことを知ると、一番の理解者となって手を差し伸べるし、マルセル自身、何の関係もないイドリッサを母の元に届けるために奮闘します。マルセルが困っているならと、行きつけのカフェの女主人や常連客、靴みがき仲間までもが悪戦苦闘。難民のイドリッサを追う警視モネですら、人情を持ち続ける人として描かれます。
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(「靴みがきってこうやってやるんだぞ」)
日々の生活はいろいろあるけれど、良き心を持つ人たちが諦めずに、でも横暴になることなくささやかに闘う姿が何とも胸に沁みるのです。そしてみんながそれぞれを思いやって生きている、それはフランスのスローガン「博愛」そのものなのです。

“心をみがけば、奇跡はおこる”この映画のキャッチフレーズを信じたくなる『ル・アーヴルの靴みがき』は5/12(土)よりシネマイクスピアリにて公開します。

By.M
©Sputnik Oy
photographer: Marja-Leena Hukkanen

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