『ダンガル きっと、つよくなる』
最近、またインド映画がブームの兆しです。今回はインドの国宝級スター“アーミル・カーン”主演、インド映画世界興収歴代1位にしてディズニーインド製作、4/6(金)公開『ダンガル きっと、つよくなる』をご紹介いたします。
レスリングを愛し、国内チャンピオンまでのぼり詰めるも引退を余儀なくされたマハヴィル(アーミル・カーン)。息子が産まれたら母国初の金メダリストに育てる!と決意していたもの、授かるのは女の子ばかり・・・やむなく夢を諦めかけていた時、ひょんなことから二人の娘ギータとルビータにレスリング選手としての素質を見抜き、その日から特訓が始まるのでした。
あらすじでもわかる通り、本作は王道スポ根映画!星一徹並みにあたりの強い父マハヴィルは「1年だけ自分の思い通りにさせてくれ」と娘たちへのスパルタ特訓を始めます。父親の一方的な荒行に可愛い二人がヘロヘロになりながら耐える様に「頑張れ~」と応援したくなる訳ですが、舞台がインド(それも田舎)であることで二人はより辛い思いをします。
男尊女卑の風習がまだ強く残る風土、炊事洗濯だけをやって年頃になれば親の決めた男性と結婚、というのが普通のインドの女の子。でも二人は家事をする代わりにトレーニング、動きやすいように男物のTシャツ、短パンを着用、肉体改造のために信仰上食べないチキンを食べさせられ、ついには長かった髪もベリーショートに・・・女の子が男の子に混じってレスリングをすることすら、周りからは笑い者なのに・・・。二人の娘っ子は「パパなんて大嫌い!レスリングなんて大嫌い!」となっていくのも致し方なしなのです。
そして、ストレスもピークに達した頃、友達の結婚式にこっそり出かけた二人はマハヴィル父ちゃんに説教をくらいますが、友達のある一言で父の本当の想いを汲み取り、またトレーニングの成果で勝負に勝つ喜びを知ってレスリングに真正面から挑むことになります。そう、みんなと同じように決められた道を進めばそれで良い、とたった1つの選択しか与えられないインドの女の子にとって、ギータとルビータが父から貰ったものは彼女たちだからこそ手に出来るチャンスだったのです
最強のレスリング選手のDNAを受け継いだ二人は父の熱血指導の元、メキメキ頭角を現し成長し、ギータはインドの全国チャンピオンに。インド代表になった彼女は国立スポーツ・アカデミーに入団し、国際大会の金メダルをめざしますが、世界が広くなればなったでまた別の問題は勃発・・・その続きはスクリーンでお楽しみ下さい。
実は本作、実話の映画化。それだけに特にレスリングシーンの再現度の高さが重要な訳ですが、子供時代と成長してからの姉妹を演じた4人はレスリングの経験は全くなし。にも関わらず、その試合シーンの迫力といったら、ガチそのもので、観ているこっちも力み過ぎて呼吸するのを忘れるレベル!実際、ギータと闘ったことがある吉田沙保里選手も伊調馨選手もこの映画のレスリングシーンに太鼓判。自身の小さい頃も思い出して涙してしまったとも語っています。
加えて、最後の紹介となったスパルタ父ちゃん演じるアーミル・カーンの凄まじい役作りも触れない訳にはいきません。撮影当時70㌔だった体を50代のボテっとした体型となる97㌔にし、その後選手時代の70㌔(体脂肪率の変化も9%→38%→9.6%)にし演じるという。なんで若い頃の撮影を先に済ませなかったの?という疑問はありつつ、それは国宝級スターだけあって、この役への意気込みのあらわれでしょう。初めてアーミル・カーンをご覧になる方でも漂う彼の絶対的大物感オーラはきっと伝わると思います。
まるで一足早くオリンピックが映画館にやってきた!?そんなテンションになれる本作は手には汗、目には涙のド直球・胸熱感動作!ギータとルビータを応援しに来て下さいね。
By.M
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