『トップガン マーヴェリック』
パンデミックの影響で色々な我慢を強いられてきた我らの生活。映画館もご多分に漏れず、色々な苦労がありました。そんな中でも軒並み新作映画が延期となってしまうことはいち映画ファンとしてもかなり堪えました・・・そんな中、この映画が公開されることをどれだけ待ち望んだことか・・・そしてそんな思いでいたのは私だけではなかったようで世界中で大ヒットを記録中!もちろんこの日本でもロケットスタートで爆進しています。今回ご紹介する作品は5/27(金)公開『トップガン マーヴェリック』です。
アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校“トップガン”。伝説的パイロットだったマーヴェリック(トム・クルーズ)は教官として“トップガン”に戻って来る。彼の使命は某国の核兵器施設を破壊するべく、たった3週間で任務遂行可能なパイロットチームを育成すること。訓練生は超エリート集団だが、生還の可能性が極めて低いミッションだった上に、掟破りなマーヴェリックの指導に彼らは戸惑いを隠せない。その中にはマーヴェリックのかつての相棒であり、訓練中に命を落としたグースの息子ルースター(マイルズ・テラー)の姿もあった・・・
よく「前作を観てないけど大丈夫?」という質問をいただきますが、それは勿論、問題ありません。何せ公開から36年、前作を知らない世代の多くが今の映画興行を支えていることぐらいプロデューサーを兼務するトムが意識していない訳はありません。劇中、この映画で初めて“トップガン”体験をする人のために、前作の重要ポイントが回想シーンとして登場するので、お初の方にも優しい安心設計になっていますから。
マーヴェリックが若手パイロットだった頃、家族同様大切だった相棒のグースを訓練中の事故で亡くしていて、ライバルにはアイスマン(ヴァル・キルマー)がいた、という2点さえ押えておけば大丈夫です。(でも本作を観ると前作が見たくなるーーーとなって前作、本作の無限ループが始まるかもしれません・笑)
一方でずっと続編を希望されていて、満を持して作られた映画なので、ファンサービスは外しません。前作を知っていると気分がアゲアゲ増し増しクラクラになるのは確実なシーンが満載なので、知らなくても楽しいけど、知っているとボーナスポイント、倍倍、さらに倍!となることは間違いありません。(だって冒頭から前作完コピレベルで幕開けですもの・・)新参者を置いてきぼりにはしないのに古参がほしいシーンは確実にある、そのバランスが完璧なまでに計算しつくされていて“続編映画かくあるべし”です。
また劇中で描かれる今回のミッションは“ターゲットを破壊しに行って無事戻って来い!”と至ってシンプルな上にそれがガチのリアルアクションで描かれるので迫力満点なんてもんじゃない。戦闘機飛行シーンなんて大概の映画はオンリーCGで描かれますが、トムはご存知の通り自分でやっちゃう人です。トム自身が戦闘機に乗る、ということは共演する若手の役者たちがCG処理の演技でいい訳がありません。
彼らはトム自身が考えた5カ月の戦闘機訓練プログラムを体験し撮影に挑んでいるという、映画でも現実でもトムは教官なんです。飛行シーンにおいては(ソニーが開発した)コックピット内に配置された小型カメラで撮影しているので、キャストたちがG(重力)によってもがき苦しむ様がガチで映像に納められていて、観客自身が戦闘機に乗っている感覚に襲われこっちまで呼吸困難!次第と自分の身に過剰なまでの疑似Gすら感じてしまって、セルフ4DX体験が可能です。
インタビューでトムは「映画館で、大きなスクリーンで観てほしい」と何度も語っています。それは映画館でこそ100%体験出来る映画を作ったというトムの本作に対する自信の表れ。映画の冒頭から「だよね、映画館で観ないとだわ!」と実感させられるシーンの数々。久しぶりに「これぞハリウッド映画だーーーー!」という圧倒的なパワーを浴び、映画が終わった後に放心状態になった私は「トム、ありがとうしかない・・・」という感謝の言葉しか発せられませんでした。それはドラマパートもしっかりと描かれていたということも大前提なのですが・・・。
本作ではマーヴェリックがこれまでの功績は充分に認められながらも常に現役パイロットの大尉であり続ける姿が描かれますが、そこにはマーヴェリックの人生そのものがトムの生き様のそれとリンクしているようにとれる所にも感動のトラップが存在します。マーヴェリックは劇中「これからは無人飛行に予算が回されるから、パイロットは必要なくなる」「未来の君には居場所はない」とその存在自体をとにかく否定されます。
でもそれはトム自身が“最後のハリウッドスター”と称賛される一方で、「いつまでスタントを自分でやるつもり?」「ひと昔前のスターじゃない?」的嘲笑を浴びることもあるリアルなトムの姿と同じなのです。でもそんな時マーヴェリックは「そんな日が来るかもしれないけど、それは今日じゃない!」と強く否定し、現役であり続ける自分の生き様を決して曲げようとはしません。それはどう見たって役者トム・クルーズその人の姿とリンクします。
そして映画館で働く者目線で考えると「映画は配信で気軽に見られるよ、映画館でわざわざ観る必要あるの?もう古くない?」的な状況の中で「そうかもしれないけれど、それは今日じゃない!」と思わせてくれる映画が『トップガン マーヴェリック』であり、トム・クルーズ、まさにその人の存在です。映画を配信で見ることを否定はしません。でも映画館でこそ観て体感出来る楽しみ、感動が必ずあると私は思っています。パンデミックでそれが脅かされたように、映画館の危機がまたないとは言えません。
でもそんな時にこう思うのです「トム・クルーズがいる限り、映画館(産業)は死なない」と。この映画はマーヴェリックという男の生き様、それを演じたトム・クルーズの生き様を描いただけでなく、映画そのものの存在すら描いたと思えてなりません。やっぱりトム・クルーズは映画への愛が尋常じゃない!!胸熱っす!!
と、私が全身全霊で推す『トップガン マーヴェリック』、肝心のアイスマンや若手キャストに関して触れることなくあっという間にいつもの文字数を大幅にオーバーしております。
7/3の誕生日で還暦になるトムが、長きに渡りスーパースターであり続けるトムが、“観客を喜ばせたい”という極めてシンプルな気持ちを原動力に取り組んだ本作はそれに感化された若手キャストの熱い想いもしっかりとスクリーンに映っていますのでその辺りは来週ご紹介いたします。溢れるこの想いは1回では語れませんでした。あはは。
本作は映画を愛する人への、『トップガン』ファンへの、トムからの熱いラブレター、
是非受け取ってください!!
By.M
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