『大名倒産』
『武士の家計簿』、『殿、利息でござる』『引っ越し大名!』など江戸時代を舞台に当時生きた人々の悲喜こもごもを描く映画がいくつかあり、時代設定は昔でも現代と相通じるテーマが描かれていて観やすいものが多いのが特徴です。今回はそんな“ネオ時代劇”と申しましょうか6/23(金)公開『大名倒産』をご紹介いたします。
越後・丹生山藩に住む鮭売りの小四郎(神木隆之介)はある日突然、徳川家康の子孫だと告げられ丹生山藩主の跡継ぎとして庶民から一気に一国の殿様になる。幸運を掴んだように見えたが実は丹生山藩は25万両(現在の価値で約100億円)もの借金を抱える訳あり藩だった!借金を期限内に返済できなければ小四郎は責任を取って切腹!!な絶体絶命!丹生山藩、そして小四郎の運命はどうなるのーー?
原作はベストセラー作家浅田次郎さんの同名小説。監督したのは『そして、バトンは渡された』や『老後の資金がありません』の前田哲さん。書店で目に入った「大名倒産」というインパクト大なタイトルに惹かれて読んだらハマってしまって映画化を決めたそうです。
これまでの松竹印のネオ時代劇でも描かれていましたが、当時の大名は暮らしにかかる出費の多さで結構貧乏大名が多かったとか。小四郎の実の父である一狐斎(佐藤浩市)もたくさんの借金を抱えたまま小四郎を藩主にし、さっさと隠居。酷いー、酷すぎるーーー。
そんな時に一狐斎は「倒産して幕府に借金を肩代わりしてもらえばいい!大名倒産だ」と計画倒産を小四郎に持ちかけるのです。実際当時も一方的に返済不能を宣言する大名の「お断り」という制度はあったようですが、お金を貸していた商人たちにとっては大迷惑というのは言うまでもありません。しかし心優しき元鮭売りの子だった小四郎は幼馴染の小夜(杉咲花)、家臣の平次郎(浅野忠信)たちと共に節約プロジェクトを始めます。
屋敷に眠っている家財道具や武具は売却!広いお屋敷も手放して兄弟仲良く同居なシェアハウス、参勤交代の宿もキャンプと言う名の野宿でしのぐ、今でいうSDGsな取り組みでなんとか借金を返済していきます。このあたりはとても現代的にアレンジしているようにも思えますが昔は(廃品回収業者的な)くず屋さん、傘や提灯の張替え屋さんがあったりと、節約・倹約が人々の知恵として生活に根付いていたので、我々が昔の生活に学ぶことがたくさんあるな、と再認識です。
また小四郎たちが節約のために帳簿をチェックしているとそこには帳簿改ざんや中抜きなんていう事実も発覚!という風に現代風刺をうまく物語に忍ばせているから小四郎の奮闘もより身近なものとして感じれるし(感じてる場合ではないですが・・)、突如与えられた藩主という任務にもひるむことなく、周りをどんどん味方につけて難題に立ち向かう小四郎の姿は我らリーマンの仕事術のヒントも隠されていると思います♪
朝ドラの主人公、槙野富太郎役でもお馴染み神木隆之介さん主演でお届けする本作は観終わると塩引き鮭が食べたくなるので、事前に入手ルートを確保しておくこともオススメします(笑)
By.M
(C)2023映画「大名倒産」製作委員会