ウラシネマイクスピアリブログ

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『スーパーマン』

 Look Up!空を見ろ。今回ご紹介するのは7/11(金)公開『スーパーマン』です。

 デイリー・プラネット社の新聞記者クラーク・ケント(デヴィッド・コレンスウェット)、普段は自らの正体を隠してスーパーマンとして地球を守っている。そんな彼を人類の脅威とみなす天才科学者で大富豪のレックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)は密かにある計画を目論んでいた。

 説明不要の“スーパーマン”。過去にも何度か映画化されてきたアメコミヒーローの原点をDCユニバース1作目として完全リブートで再始動!監督は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズでお馴染みのジェームズ・ガン、今やDCスタジオの共同会長兼CEOに就任し、お偉いさんになりました。アメコミや「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズが大好きな方におかれましてはもう間違いない1本なので早く観に行って、行って~♪という感じです。

 とにかく言えることは文句なしに面白い!ということ。冒頭数分で今回のスーパーマンがどういう話かその背景を描いてみせるのですがその手際いいこと、潔いこと。しかも完全無敵のヒーローとしてでなく、敗者としてのスーパーマンとして登場するんです。彼は3週間前、アメリカの同盟国ボラビアの隣国侵入を単独で阻止するんですが、“ボラビアのハンマー”という謎の存在に報復されコテンパンにされちゃうんです。もうボロボロ。でもそこから立ち上がるスーパーマンをこの映画では描いていくんです。

その過程ではレックス・ルーサーがSNSやフェイク画像でもって巧みにスーパーマンを陥れる、という展開も。そう、この映画を観ていると「現実か?現実じゃん。」と今、世界がおかれている状況とのシンクロ率に気付かされるんです。(いえ、脚本は前に書かれているから、奇しくもそうなっている、ということなのですが・・・)

 そんな中で負け組としてのスーパーマンはとにかく真っすぐに正しくあることを体現します。しかも圧倒的なスーパーパワーで立ち向かうのでなく、彼の根底にある思いやりや優しさでもって。困っている人がいたらほっておけないスーパーマンはその必要があれば誰でも(動物も!)、助けなければならない存在は須らく助けようとする。現実がこんなに出鱈目になっている状況下で、真っすぐすぎるほどの正義感でもって立ち向かうスーパーマンの姿に泣けてくるほどです。

なのに民衆を味方にしようとレックスはスーパーマンをよそ者(エイリアン←メタファーですね)として排除しようとするんです。日本でもこういった排他的な考え方が乱暴に一人歩きしている昨今、レックスによそ者とレッテルを貼られたスーパーマンが彼に返すその心からの叫びはストレートに胸に響きます。

 しかも“善良”を絵に描いたようなスーパーマンを演じるデヴィッド・コレンスウェットがとってもいいんです。クラーク・ケントの時は大きな体を小さく縮こませ気味だから、優しさが滲み出てしまっている雰囲気も合間って、彼が演じるスーパーマンならこの選択をするな、という説得力があるし、何てったって赤パン履いててもかっこいいんだもの!

 一方、敵対するキャラが魅力的であればあるほど物語全体が盛り上がるのセオリー通り、ルーサーを演じるニコラス・ホルトもいい!!子役(『アバウト・ア・ボーイ』)の頃からずっとその活躍を見届けてきましたが、ニコラス・ホルト史上ベストアクト級。しかも当初、スーパーマン役でオーデイションを受けていたけど、監督からのオファーもあってレックスを演じることになったとか。いや、もうこれまでのどのレックスよりいい!!

 そして極めつけでスーパーマンの相棒犬クリプトがギャンきゃわーーー。ジェームズ・ガン監督が脚本にとりかかる前に飼い始めた保護犬(巨匠・小津安二郎にあやかりオズと命名)がモデルだそうで、クリプトは愛らしいけどとにかく言うことを聞かないやんちゃっこ。動物大好きガンちゃんが描くだけにクリプトの一挙手一投足、その活躍っぷりがもう最高!最高!

 テーマはとても“今”的で強いメッセージがありながら、間違いなくジェームズ・ガン印なエンタメ映画になっている。まさに今描かれるべき、等身大の“スーパーマン”の誕生に祝福の拍手しかありません。ガンちゃん、流石ですよーーーー!!!

By.M