『殿、利息でござる!』

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 ここ数日、裏金疑惑、政治資金の私的流用疑惑と言った何だかな~といった報道が世間を賑わしていますが、そんなご時世にぴったりの作品をご紹介します。今回は5/14(土)から公開の『殿、利息でござる!』です。
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(ゼニと頭は、使いよう。)

 藩が課した年貢によって破産、夜逃げが相次ぐ宿場町・吉岡宿。これをどうにかせねばと考えた商人・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は町一番のキレ者菅原屋篤平治(瑛太)の秘策を実行に移そうと決心!それは藩に大金を貸し付け、その利息を住民に配る"宿場救済計画"。計画が明るみになればお上にたてついたと打ち首は免れないのですが、それでも十三郎と仲間たちは宿場のため、子供たちのために奮闘します。

 お上に貸す目標額は1000両、今で言う約3億円!これにより毎年100両(約3000万円)という利息が宿場の収入になるとは言え、貧乏な庶民たちがまさに身を削り私財を投げ打ち、このお金を工面することは並大抵の努力があっても出来ることではありません。何が驚きかって、このお話がなんと実話だということ。
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(公開中の「64ーロクヨンー前編」ではシリアスな役を演じる瑛太さんですが、こういうコミカルな演技がうまいこと、うまいこと!)

 本作は「國恩記」という古文書を基に、「武士の家計簿」の原作者・磯田道史さんが書きあげた「穀田屋十三郎」(「無私の日本人」所収)が原作になっています。主人公は江戸時代の名もなき庶民たち。宿場を救うためにここまで己を犠牲にした人たちがいたなんて・・・もうそれだけで胸熱じゃありませんか。

なんてことない普通の人たちが家族のために、周りの人のために、まさに無私の精神で行動するんです。おまけに仲間内で"つつしみの掟"を掲げ、善行をしていることで調子に乗らぬよう、計画は周りの人だけでなく、子々孫々までも口外しないこと、寄付をする場合も名前は伏せること、町を歩くのも端っこを、と全ての行動においてつつしむことをルールとするのです。仲間内にはどうしても自慢したい人が出てきたりと足並みが揃わぬこともあり、小さな諍いが勃発し一筋縄ではいきません。でもその紆余曲折込みで、本作は笑いあり、涙ありで本当に心温まる物語なんです。まるで落語の人情噺みたいです。
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(キャスト陣の演技もテンポが良くて息ピッタリ!)

 中でも阿部サダヲさん演じる十三郎と妻夫木聡さんが演じる浅野屋甚内の物語がまた胸熱!二人は造り酒屋の家に生まれた兄弟なのですが、真っ直ぐで愛されキャラの十三郎に対しケチで守銭奴のレッテルが貼られている弟・甚内は全くタイプが違って折り合いがよくありません。十三郎が長男にも関わらず養子に出され、家を継いだのは弟。先代である父の愛情を受けることなく育った十三郎は人のため、宿場のためなら我が身を省みず真っすぐ犠牲も問わないのに、こと弟のことになると人が変わったように意地を張ってしまう。それがこの"宿場救済計画"の際にも問題となってしまうのですが、実はそれにもある隠された秘密があったことが明かされる後半はもう涙なくして見られません。
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 江戸時代のお話ではありますが、名誉や名声を得た人が私利私欲に溺れたりや保身に走るなんてことは現代でもよ~くあることなので、とても身近なトピックとして感じられると思います。つつまくあること、人にやさしくすること、思いやること。そんな純粋な想いが人の心をどんどん動かしていく様は本当心が洗われるようです。
 笑って泣けて、実はいい話!本作は様々な世代の方が楽しめる1本になっているので是非ご家族皆さんでお楽しみ下さい♪

追伸、
なんと藩主を演じるのは本作の舞台、仙台出身フィギュアスケートの羽生結弦選手!
いや~、スーパースターは何でもやれちゃうんですね。その姿は是非スクリーンで!

By.M
(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

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