皆さん、こんにちは女住人Mです。今回は「ティッシュ会社の株価が上がるほど、観るものは涙するに違いない」(ガーディアン紙)と評された、5/26(金)公開の『光をくれた人』をご紹介いたします。
戦争で心を閉ざし孤独を求め、孤島の灯台守になったトム(マイケル・ファスベンダー)。彼は町で会ったイザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と惹かれ合い、結婚。幸せな暮らしを送るも度重なる流産という試練が二人を襲います。そんなある日、男の死体と赤ん坊を乗せたボートが孤島に辿りつきます。赤ん坊を育てたいイザベル、それを過ちと知りながら彼女の願いを受け入れるトム。そして月日は流れ、愛らしく成長した娘と幸せに暮らしていた二人は偶然にも娘の生みの親、ハナ(レイチェル・ワイズ)と出会ってしまいます・・・
人生に"運命のいたずら"はおこりがちです。この映画ではそれに翻弄される二人が主人公です。これまで受けた傷を癒すかのように孤島で二人だけでひっそりと、多くの事を求めず、ただ普通の生活をしたいだけなのに、これまでで辛い経験も充分しているのに(その存在の有無は置いておいて)「神様は本当にいるの?」と思ってしまう出来事が次々とやってくるのです。
イザベルの喪失感を想像するだけで観ているこちらも深い悲しみに囚われそうにもなります。それだけに二人がとった行動は決して許されることではないとわかっていても、それを頭ごなしに非難することは私には出来ません・・・。赤ちゃんが"運命のいたずら"で自分たちの前に現れたことを自分の良いように解釈してしまうイザベルを自分勝手と非難することは出来ますが、そんなに人って物分かりが良い生き物じゃないと思うんです。だって人間だもの・・・そんなスタンスの私は二人の感情の揺れのままに映画を観ながら始終ブレまくりでした。
本当はやってはいけないことをやっている二人ですが、娘をルーシーと名付け深い愛情を注ぎ、家族3人になってやっと幸せをまた手にしたかと思っていた所で再びの"運命のいたずら"・・・生みの母、ハナの登場です。もうどうしろと言うんだ~!!そこから、トムは再び自分の中の「正しきこと」と闘わなければなりません。娘を得て、イザベルがやっと幸せになったのに・・・。ハナも娘が自分の元からいなくなっているからこそ、怒りを抱えながらも、どこかイザベルやトムの行動に対して複雑な気持ちも抱えているようにも私には感じられたのでした。
(迷える者に光を照らす灯台守という仕事に就いたトムが、イザベルの光になりたい、ハナの光を奪いたくない・・・そういった葛藤に苦しんだことがどこか悲しい・・・。)
また物語は過ちを犯した二人を描きつつも、別の苦しみを味わっているハナの人生も語られます。ハナの娘の父親は敵国のドイツ人、フランク。戦争中の二人の結婚は許される訳もなく、親からも祝福されず、町の人からは酷い差別を受けてもフランクはある言葉をハナに告げ、自分に暴言を吐く人に対して一切責めることをしなかったのです。そしてその精神こそがこの映画の最後に救いを与えるのでした。
悲しみも憎しみも怒りも簡単には癒えたり、和らいだりするものではありません。でもそれに囚われ過ぎると人はいろいろなことを見失い、結局多くのものを失うことになるものです。果たして自分にはフランクやハナのような行動を取れるのかと考えてしまいますが、その行為こそが今、私たちにも必要とされているような気がしてなりません。
本作の監督は恋愛映画の金字塔!?(カップルの出会いと別れの時間軸をシャッフルして描くことで心が猛烈に震える恋愛映画)「ブルー・バレンタイン」のデレク・シアンフランス。これまでの作品でもやったように物語の設定で共同生活をさせ、演技者のリアルな関係性を作り上げる、そんなシアンフランス監督の演出で、イザベルとトムを演じたアリシアちゃんとファスベンダーは実際にこの映画の撮影中に恋に落ちたという・・・そんな二人の演技を越えた説得力ある空気感も注目ポイントですYO!
(LOVE LOVEオーラ、全開!!)
By.M
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