『バンブルビー』
「トランスフォーマー」シリーズ最新作は始まりの物語。今回は3/22(金)公開の『バンブルビー』をご紹介いたします。
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「トランスフォーマー」と言えば破壊王・マイケル・ベイ監督・製作の人気シリーズ。新作が出る度にベイ様お得意のアクションシーン、火薬過多な爆破シーンもテンコ盛りとなり、それが魅力の1つではあるのですが、中身より派手な画面を楽しめ!といった感じでどんどんエスカレートしていました。
いえ、ベイ様映画なんでそれはそれで良いんです。でも本作は原点回帰と言いましょうか、エモーショナルな青春映画を下敷きにし、かつ“エピソード・ゼロ”的にお届けする、「トランスフォーマー」のニューカマーも楽しめる1本です。
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主人公は父親を亡くした悲しみから立ち直れないでいるティーンエイジャーのチャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)。お父さんと車いじりをするのが大好きだった彼女はある日廃車寸前の黄色いビートルを見つけます。修理して自分の車にしようとしたところ、その車が突如変形(トランスフォーム)!それは地球外生命体だったのです。チャーリーは記憶と声を失い、おびえている彼を“バンブルビー(黄色い蜂)”と名付けてかくまうことにしますが、予想もしない事態に巻き込まれていきます。
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バンブルビーはシリーズの中でも屈指の人気キャラなだけに彼がメインということで楽しみにしている「トランスフォーマー」ファンの方もたくさんいらっしゃると思いますが、前述した通り、始まりの物語なのでこれを機にバンブルビー好きになる方も多いと思います。
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どうやら何か重大な理由でもって地球にやって来たらしいバンブルビーですが、何せ記憶を失くしているのでどこか不安そうだし、声を失くしているため、チャーリーとのコミュニケーションもジェスチャーや内臓されたカーステレオから流れる音楽やラジオをチューニングして会話をするんです。
一人ぼっちで知らない惑星にやってきた彼は唯一心を通わすことが出来るチャーリーと一生懸命に意思疎通をしようとする、その様がなんとも可愛い。彼女も父を突然亡くしたことで、塞ぎこんでいるから学校でも友達はいない、気にかけてくれている男の子の存在にもぞんざいな態度をしてしまう。新しい環境に馴染めず孤独な感情を抱えているのでバンブルビーとの心の距離はどんどん近くなっていきます。
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しかもその交流の過程は80年代の青春映画の金字塔、ジョン・ヒューズ監督作品(ここでも『ブレックファスト・クラブ』!)やスピルバーグの『E.T.』といった名作にオマージュと愛情がいっぱい捧げられていて、ある一定層にはたまらないエッセンスがテンコ盛りなんです。
(そもそも「トランスフォーマー」シリーズや本作の製作総指揮はスピルバーグ!)
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この映画自体、バンブルビーを追ってやってくる敵とのバトルといったアクション要素がもちろんあるのですが、自分の居場所がないティーンエイジャーがある1つの出会いで成長し、自身もトラウマを克服する、しかもちょっと甘酸っぱいLOVEも経験し、という王道青春映画のエッセンスがきっちり挿入されているのでとっても愛おしく感じる映画になっているのでした。
本作を監督したのは『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を監督したアニメ映画スタジオの雄、ライカ社の創業者で最高経営責任者も務めるトラヴィス・ナイト。(お父さんがナイキの創業者なので監督はナイキ社の取締役も兼務!)ストップアニメーションですらあんなに躍動感ある映画を作った彼ですから初の実写監督でもその手腕はバリバリ活かされています。
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そしてバンブルビーの可愛げに負けないキャラクター、チャーリーを演じるのはヘイリー・スタインフェルド。14歳の時に出演した映画がオスカーノミネートとなり、以降映画だけでなく、歌手としても人気を誇るヘイリーちゃん。私は『はじまりのうた』でファンになりましたが、この映画で彼女が気になった方は『スウィート17モンスター』あたりも是非チェックしてみてください。
ベイ様ファンの方におかれましては「もっとベイ様要素を!」と欲するかもしれませんが、今回はこれぐらいで我慢してください。どうも次回作はまたベイ様要素が増量されるようなので・・・笑
By.M
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