『ダンボ』
皆さんこんにちは。今回はご当地映画と言っても過言ではない、3/29(金)公開の『ダンボ』をご紹介いたします。
サーカスで生まれた大きな耳を持つ子ゾウは“ダンボ”と呼ばれ、ショーに出演しても笑い物になっています。ダンボの世話係になったホルト(コリン・ファレル)とその子供ミリー(ニコ・パーカー)とジョー(フィンリー・ホビンス)はひょんなことからダンボがその耳で飛べることを知ります。その噂を聞きつけた興行師ヴァンデヴァー(マイケル・キートン)はダンボと母親ゾウを引き離し、ダンボでひと儲けを企もうとするのですが・・・・
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言わずと知れた1941年製作のアニメ『ダンボ』。本作はその物語をベースにオリジナル脚本でもってティム・バートン監督が実写で描きました。ティム・バートンと言えば自身の子供時代に感じていた疎外感を武器に独自の世界観を作り上げ、今や映画界を代表するクリエイターであることは周知の事実。そんな彼が『ダンボ』を描く、というのはとても納得です。そして期待通りに本作ではティム・バートン印のファンタジーな世界が繰り広げられます。
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小さい頃に周囲と馴染めず自分の殻に閉じこもっていたバートン監督。この映画を観ているときっとその時の記憶をダンボに託したんだろうな、と思わずにはいられません。なのでダンボが初めてサーカスの舞台に立ち、人前に出たにも関わらず、見かけだけで笑われるその描写はとてもリアリティがあって、悲しい気持ちにすらなります。監督も小さい頃にこんな視線を感じていたのかな、こんな経験したらトラウマになるよなぁ、と深読みさえしてしまいます。でもダンボはその大きな耳があったおかげで飛ぶことが出来ます。
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人とは違う感受性を持っていたから今のバートン監督があるように、コンプレックスは考え方一つでその人のオリジナリティや武器にさえなる。人とは違うことで「変わり者」と後ろ指を指されることもあるけれど、それを受け入れることで違う世界も広がると身を持って経験したバートン監督だからこそ、この映画で伝えられるメッセージはとても強く観客の胸に響きます。
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またダンボは母親と離ればなれに、ホルトは戦争で片腕を、ホルト一家は病気で母親を失くすという、メインの登場人物たちは皆、喪失感を体験しています。ダンボはホルト一家に支えられながらも母親がいないことであと一歩が踏み出せず、ホルト一家は母親がいなくなった世界に向き合えないままでいます。
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でも同じような気持ちを抱えていたからこそ、よりダンボとホルト一家は繋がり、「きっと私も出来るから君も出来る!」と他者を励ますことが自分へのエールになっていく様は観ているこちらの胸も熱くしていきます。この映画は失くしていたものを取り戻す物語でもあるんです。
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そしてアニメ版『ダンボ』の知名度が有り過ぎて子供向き?と思われているかもしれませんが、きっと大人の方がより感情的になっちゃうと思います。だって勇気を振り絞って飛ぶことって大人になってからの方がいろいろ厳しいじゃないですか。
この映画を観ていると「やっぱり自分を閉じ込めてしまうのは自分自身なんだな」ということを改めて気付かされるんですよね。だから不憫だったダンボがまさに飛び立つ、その飛行シーンは想像以上に躍動的なこともあり「頑張れ、ダンボーーー!」と心の中で応援してしまうこと間違いなし!なのです。
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またバートン作品としては『バットマン リターンズ』以来のマイケル・キートン、ダニー・デヴィートの共演も再び!ダニー・エルフマンの音楽と共に、お楽しみください♪
シネマイクスピアリ恒例のフォトロケーションも『ダンボ』で展開中!
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