『ザ・スイッチ』
“入れ替わりもの”と言えば、大林宣彦監督の『転校生』、最近だと『君の名は。』と名作揃いですが、ホラーで「これって私たち、入れ替わってるーー?」な映画が登場しました。今回ご紹介するのは4/9(金)公開の『ザ・スイッチ』です。
主人公は地味な女子高校生ミリー(キャスリン・ニュートン)。同級生からの嫌がらせに憂鬱だけど、親友のナイラ、ジョシュの存在で何とかやっていけていける、そんな日々を過ごしていたある日、ミリーは殺人鬼“ブッチャー”に襲われる!間一髪、命は取り留めたと思った13日の金曜日、目覚めると二人の身体が入れ替わってるーーーー!ミリーは見た目が中年おじさんになっていた!女子高校生姿になった殺人鬼ブッチャーが殺戮を企てる中、ミリーは24時間以内にブッチャーを殺さないと元に戻れないことを知る・・・果たして元通りになるのかーーー?というあらすじ。
本作は『ゲットアウト』『透明人間』ほか、ホラー映画の傑作を作り続けるブラムハウス製作の新作、実は去年公開予定だったのに、コロナ禍のせいで延期が続き、やっとこさ公開されました。監督は『ハッピー・デス・デイ』(ホラー+タイムループものの傑作!)のクリストファー・ランドなので、その筋(どの筋?)の方だったら「これ、絶対観なきゃなヤツじゃん!」とピピン!とくると思います。
レイティングはR15+なので肉体破壊の描写など「ひぇーーーー」なシーンもしっかりあって、苦手な方にはアレですがその筋の方には「こうでなくっちゃ!」な展開に満足してもらえると思います。でもコメディ要素がたっぷりなのでホラー映画を忘れて大爆笑してしまう自分もいる・・・・
特に見た目は殺人鬼のおじさん、中身は女子高生なブッチャーを演じるヴィンス・ヴォーンが最高過ぎる!今年51歳、身長196㎝(ウィキペディア情報)の彼が女子高生になりきり、殺人鬼のおじさん姿になった戸惑いを演じる姿は結構可愛い♪ヴィンス・ヴォーンはコメディ映画によく出ている俳優さんでもあるのでナイスキャスティングとしか言いようがありません。外を歩けば「殺人鬼―――!」と叫ばれるし、親友のナイラとジョシュにも自分だとわかってもらえないしで絶望的なのですが、自分が中身はミリーであると証明出来たことで、親友たちの力も借りてブッチャーと対峙することになります。
一方、ミリーの身体を得たブッチャー。自分に自信がなく地味だったミリーとは違い、殺人鬼として!?自信満々なブッチャーは赤いジャケットに赤いリップとイケてる女子に大変身。そうなるとこれまでミリーを虐めていた同級生たちがホイホイ彼女に寄ってくる。そんな軽率な輩はブッチャーの恰好の的となっていきます。
と、このように人を見かけや性別で判断したり、軽視したりすることへの問題提起をサラっと描いている側面があったり、ミリーが他人の身体を得たことで、萎縮していた気持ちをどんどん解放させていく過程も表現されていて、実はとても現代的な作品でもあるんです。
今も昔もホラーの名作はこのように現代を斬る!的なメッセージが設定に組み込まれているので、ホラー映画というだけで侮ってはいけません。表面的なことに囚われているとそれこそブッチャーに襲われちゃいますよ!
過激描写ありつつ、コミカルで爽快感もある映画なのでストレスが溜まるこの時期にある意味オススメな1本です。
By.M
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