2016年12月アーカイブ

『ピートと秘密の友達』

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 一気に街がお正月の準備を始めましたね。こんにちは、女住人Mです。
2016年映画紹介納めの1本は12/23(金)公開、ディズニー映画『ピートと秘密の友達』です。
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 主人公は5歳の少年ピート。森の中を家族でドライブ中に事故に遇い、両親を亡くします。そのまま森に迷い込んでしまったピートはドラゴンと出会い、彼をエリオットと名付け友情を育み、成長していきます。そして6年後・・・森を管理するグレース(ブライス・ダラス・ハワード)がピートを保護し、人間の世界に連れ戻そうとすることで混乱が起きてしまうのです。
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人間のピートとドラゴンのエリオットの友情を描く本作。元は(日本では未公開でしたが)1977年に一度ディズニーで映画化されており、日本のディズニーファンの方には東京ディズニーランド®のエレクトリカル・パレードでも登場する緑の大きなドラゴンでお馴染のことでしょう。

大きな体と翼を持つエリオットは最初こそちょっと抵抗はあるのですが、くりくり眼、欠けた左歯(牙?)、大きな鼻の穴、モフモフした毛、そして愛嬌ある動きで見続けているとムツゴロウさんよろしく「可愛いな~。よ~しよし」としたくなる存在。ピートも最初こそ驚くもの、すぐに打ち解け意気投合し、一人ぼっち同士だった彼らは互いに支え合うことになります。でも人間の目に触れたことで、二人の日常は一変。何だかよくわからない生き物だけど悪い子じゃなさそうだし、ピートと共に何とかしてあげなくちゃ、というグレースのような人間と、こんな得体のしれないもの害を及ぼすかもしれないし、見せものにして金儲けだ、という人間とに真っ二つに分かれるのです。
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(撮影のロケ地はニュージーランド。壮大な自然とCGファンタジーの融合もお見事!)

確かに見た目は得体の知れない生き物だけど、ピートを大切に育ててくれた優しいエリオットなのに・・・。時として人は自分とは違う、と思った途端にその人のことをよく知りもしないのに先入観で多くを決めつけてしまいます。これまでも多くの映画でテーマになっている題材かもしれません。でも本作が約40年ぶりに再び映画化されたのは今も性別、国籍、人種など表面的なことでばかり線引きをする人が多く、むしろその傾向が強くなっている、それに対するディズニーからのメッセージなのかもしれないな~、と思ったり。
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と、問題提起をしっかり物語に落とし込んではいるもの、子供から大人までどの世代の人が観ても楽しめる作品になっているところがさすがディズニー作品なのです。

 そして本作で主人公となるピートと彼の友達になる女の子ナタリーがとっても可愛らしく、ナチュラルな上に演技力がしっかりしていて、相変わらずハリウッドの子役たちのスキルに驚かされますし、よくこういう子たちをちゃんとうまくキャスティングするな~、と。特にナタリーを演じるウーナ・ローレンスちゃんは今年シネマイクスピアリでも上映したボクシング映画「サウスポー」でジェイク・ギレンホール演じる主人公の娘役を演じていましたが、演技達者なジェイク以上に観客の感情を揺さぶったのはウーナちゃんの演技でしたからね。将来もとっても楽しみです。

『ピートと秘密の友達』は年末年始とご家族全員で映画を観たいけどな~、と計画されている方には特にオススメですよ~♪

By.M
ℂ2016 Disney Enterprises,Inc. All Rights Reserved.

『ドント・ブリーズ』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。浮足立つクリスマスから慌ただしくなる年末に果たしてこの映画をオススメすることが正解なのかよくわかりませんが(笑)敢えてご紹介します、12/23(金)公開の『ドント・ブリーズ』です。
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 本作は今年全米で8月に公開された低予算ホラー映画。その斬新なストーリー、キャラ設定で大大大ヒットした話題作です。主人公は3人の若者。"盲目の老人"がたった一人で暮らすお屋敷に大金が隠されていることを知って盗みに入るのです。彼らはお金を強奪し簡単に逃げられると思っていました。お屋敷の周りは廃墟で人もいない、住むのは"盲目の老人"ただ1人、手早く仕事を片付ければなんてことない・・・ハズだったんです。が、このおじいちゃん、トンデモじいちゃんだったんです!
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 なんとこのじいちゃんは退役軍人。凄い戦闘能力を持つじいちゃんで若者が暴行を加えようとしても、赤子の手をひねるようにやすやすとかわしてしまう。もうこうなると獲物はじいちゃんから若者たちへと形勢逆転!若者たちが追われる身になるのです。じいちゃんが隠していた大金は交通事故で亡くなった愛娘の遺産、それを狙う輩にじいちゃん、容赦はありません。しかもじいちゃん、部屋の明かりを消して暗闇に彼らを追い詰めます。そうなると盲目のじいちゃん、百人力。若者たちはじいちゃんに見つからないよう息をひそめるしかありません。で"ドント・ブリーズ"=息をするな!な訳です。
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真夜中、ふと起きて真っ暗闇の中、トイレに行くのですら怖い時ってありません?五感の1つが思うようにならないだけで恐怖も倍増。そんな恐ろしさに加え、じいちゃんが襲って来ると言う恐怖のつるべ打ち。観ているこっちまでも"ドント・ブリーズ"で息苦しいったりゃありゃしない。決して血がドピャ~というグロいシーンがある訳ではないんです。でもとにかくじいちゃんが怖い、じいちゃんが無双過ぎて怖い!!!
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(盲目のじいちゃん、演じるは64歳のステファン・ラング。60代にしてこの筋肉!)

 でもそれだけでこの映画が全米で大大大ヒットした訳ではないんです。じいちゃんが若者を追い詰め、捕え、それからの展開がもっとトンデモなんです。もう絶対誰も想像しえなかった方向で物語が進みます。じいちゃん、気色っ!最低!そして映画における最低は時として映画そのものとしては最高!という褒め言葉に変わる時が・・・にしても気色っ!最低!
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と言う訳で、トンデモじいちゃんが暴走する『ドント・ブリーズ』、2016年の見納め映画に、2017年の映画初めの1本に如何でしょう!

By.M
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 皆さんこんにちは、女住人Mです。皆さま、お待っとさんでございます!
ついに『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(以下「ローグ・ワン」)が公開しました、万歳~!!
世界中の方が待ちわびたこの映画、ネタバレだけは一番避けたいところ。なのであまり多くを語らず、それでいて「ローグ・ワン」の魅力をお伝え出来るよう頑張ります。
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 本作はスター・ウォーズ最新作でありながら「エピソード4/新たなる希望」の直前を描くアナザー・ストーリー。銀河全体を脅かす帝国軍の究極兵器<デス・スター>。その設計図を奪うため反乱軍の極秘チーム<ローグ・ワン>に加わった女戦士ジン(フェリシティ・ジョーンズ)は生還不可能なミッションに挑みます。
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 つまり、本作は「スター・ウォーズ」ではお約束とされるオープニング・ロール、エピソード4のそれで語られた部分~反乱軍のスパイは帝国軍の<デス・スター>の設計図を盗み出すことに成功。帝国軍に追われながらレイア姫は盗み出した設計図を手に故郷へと急いだ(意訳)~の部分、どうやって<ローグ・ワン>のメンバーはレイア姫に設計図を託したか問題をまんま描くんです。言ってみれば結果がわかっていることを描くのですが、「スター・ウォーズ」ファンにとってみれば「何があったんだ!」とこれまでモヤモヤしていた部分が判明することに心高鳴り、これまで「スター・ウォーズ」を観たことがなかった方はエピソード4から「スター・ウォーズ」は始まっているので、ここから観るということははじまりのはじまりを知る映画、ということなので、何ら臆することはありません。
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 本作の監督は渡辺謙さんも出演した「GODZILLA ゴジラ」のギャレス・エドワーズ(若干41歳)。4歳の頃からの「スター・ウォーズ」ファンだった彼が夢にまでみた「スター・ウォーズ」の監督をするんです。それだけでなんだか応援したくなりますね。もともと「スター・ウォーズ」が日本文化に強く影響を受けていることを踏襲し、主人公の名前がジン(仁?)だったり、いろいろな境遇にいた無法者たち(=ローグ・ワン)が、一つの成すべき(=設計図を奪う)ことのために団結し、一緒に戦うことで信念を貫く強さを得るその感じはまさに黒澤映画の「七人の侍」の流れな訳で、この王道スキームがより我らの心を動かします。
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しかも、<ローグ・ワン>の主要メンバーはそれぞれタイプの違う二人がコンビを組む図式で、冒頭では相反していた二人が1つの目標に向かって行動を共にする過程で互いを尊重し合い、わかり合い、最終的には一心同体になる、そんな展開も胸熱なんです!

 特に私が今回、映画を観る前から期待していたのは、盲目の戦士、座頭市設定なチアルート・イムウェを演じるドニー・イェン!香港のアクションスターにして、監督、武術指導などなどやってのけ、"宇宙最強"と呼ばれているドニーさんが「スター・ウォーズ」に参戦と聞いただけで通常ならドニーさんが一人で帝国軍をやっつけられる、ぐらいの勢いなんです!(ドニーさんの最強さはこれまでのドニーさん映画をご覧になればおわかり頂けるかと・・)

"宇宙最強"なドニーさんが帝国軍相手にどんな闘いをするのか、もうそこだけでも充分見所ですし、今回相棒としていつも側にいるベイズ・マルバスを中国の名優チアン・ウェンが演じドニーさんとタッグを組むんですが、これが前述したタイプが違うコンビだけれど、どちらが欠けたら成立しない熱い友情で結ばれている設定。本作で多くの方が心奪われるシーンはこの二人から生まれますので要チェックですよ!
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 となんか「スター・ウォーズ」の世界観から離れたところで個人的に熱くなってしまいましたが、ファンの方には痒いところに手が届いた作品になっていることは約束しますし、レイア姫に<デス・スター>の設計図を渡すためのリレーが<ローグ・ワン>の面々によって繰り広げられるこの展開はもう涙なくしては観られません!
2016年を景気良く終わらせるにはうってつけの『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は12/16(金)からシネマイクスピアリにて公開中です!

☆おまけ☆
シネマイクスピアリでは恒例の劇場装飾&フォトロケーションを展開中!
『ローグ・ワン』の世界観で皆さまをお迎えします。25日までは『ローグ・ワン』X'masツリーも登場。オーナメントにもご注目!!
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売店では『ローグ・ワン』RealD 3Dメガネやオリジナルドリンクカップ&ポップコーンバケットを数量限定で発売!
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(無くなり次第終了となります)


By.M
(C)Lucasfilm Ltd.All Rights Reaerved.

 みなさんこんにちは女住人Mです。年末が迫ると全米ではアカデミー賞に向けて勝負作の公開が増える時期でもあります。そしてアカデミー賞常連女優のあの方が本作の演技でまたもやノミネートが噂されています。今回ご紹介するのはオスカー19回ノミネート、そのうち3度受賞しているメリル・ストリープ主演、12/1(木)公開『マダム・フローレンス!夢見るふたり』です。
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 メリルが本作で演じるのは実在したソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンス。ニューヨーク社交界トップのフローレンスは、音楽家を支援するクラブを創設し様々な公演を催す傍らソプラノ歌手になることを夢みています。音楽をこよなく愛するフローレンスをマネージャーでもあり夫のシンクレア(ヒュー・グラント)は寄り添いながら支えているのですが、彼女には致命的な欠点が・・・それは"音痴"だった、しかもそれに気付いていなかった!それでもシンクレアは彼女の~音楽の殿堂カーネギーホールで歌う~という夢を叶えようと奮闘するのです。
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フローレンスをメリルが可愛げ120%で演じ、とても温かく、笑いいっぱいに描かれる本作。
メリルはこの役のために一度オペラのコーチのもとで正しく歌えるよう特訓し、その後音程を外す練習をしたそうで、実際に残っているフローレンスの生歌(音源)に負けない!?音痴っぷりを劇中で披露。でもそこには音楽が好きでたまらない彼女の歌に対するLOVEが溢れていて、とっても可愛らしい。確かに彼女はお金持ちのマダムで、好きなものにた~んとお金を使えた恵まれた人かもしれませんが、音楽へのまっすぐな愛情をもっていたからこそ、周りの人たちも彼女を応援していた、というのが伝わります。
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そしてフローレンスの一番の理解者、シンクレアをヒュー・グラントがちゃめっ気たっぷりに演じるので、そのコンビネーションがまた良いんです。だいたい実年齢10歳近く違う二人、加えてオスカー常連の大御所メリル相手でこんなに余裕をもって飄々とした演技が出来るのもおヒューぐらい器用な役者じゃないとつとまりません。劇中、彼がダンスするシーンもあって、ファンの方にはたまらない、おヒューらしさに溢れる1本にもなっています。
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笑いの絶えない物語なのですが、年が離れたカップルで、ずっと一緒にいながら事実婚、毎日甲斐甲斐しくシンクレアはフローレンスを支える反面、一日が終わると愛人キャサリン(レベッカ・ファーガソン)のいる家に帰る日々と、実は二人だけが共有している秘密もあったりするのですが、それにもお互いが思い合うある理由もあったりで、そういうったサイドストーリーが描かれるところも本作の魅力の1つなのです。

 愛する人のためなら、自分が出来ることがあれば何かやってあげたい、そういった思いは誰しも経験することでしょうし、例え"音痴"という一見、欠点と思えることでも彼女はそれがあったから愛された。なぜならそれを凌駕する音楽へのまっすぐな想いと愛する人たちへの深い愛があったから・・・・。
これから肌寒くなる季節、本作を観て笑いと涙でほんわかと温まってくださいね。

By.M
(c) 2016 Pathé Productions Limited. All Rights Reserved.

『ブルーに生まれついて』

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 みなさんこんにちは、女住人Mです。あっと言う間に師走になり、街はクリスマスな雰囲気で浮かれ気味・・・な一方、北風が身に沁みるおセンチな季節でもあります。12月はハッピーよりもメローを感じるあなたにオススメ、11/26(土)公開『ブルーに生まれついて』をご紹介します。
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 本作の主人公は黒人アーティストが主流の1950年代モダン・ジャズ界において、甘いマスクとソフトな声、哀愁たっぷりなトランペットの音色でもってファンを熱狂させていたミュージシャン、チェット・ベイカー。彼の転落と苦悩、そしてある女性との出会いをきっかけに新しい人生を模索する姿を切なく描きます。

 と書くと「ジャズとか聞かないしな~」「チェット・ベイカー、知らないしな。」という方もいらっしゃるかもしれませんが、私も映画を観るまで「マイ・ファニー・バレンタインは知っているかも。トランペットの人だよね。」ぐらいの知識だったにも関わらず、既に2回も観てラストは涙し、チェット・ベイカーの曲がipodに入っているぐらいですから、ご安心を!
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ジャズ初心者な私がなぜこんなにも心奪われてしまったのか・・・それはもうチェット・ベイカーを演じたイーサン・ホークのハマり具合がたまらない!これが一番です。イーサンと言えばどこかトホホな役、大人になりきれない甘ちゃんな役、神経質で脆い、そういう役を演じると本当に光るタイプで、実生活でユマ・サーマンと結婚しながら浮気で離婚という実績からも、ダメ男なイメージがあります。(けなしてません!)それでもなんか憎めなくって、どこか漂うその未熟さオーラ込みで彼の魅力なんです。(ほら、褒めてます!)

チェットは才能がありながらもドラッグに溺れ、代金未払いで売人にボコボコにされ、顎を砕かれ、前歯を折られ、トランペッターにとって致命的な怪我をして、再起不能になります。そんなダメダメな彼を「もうほっとけないわ」と登場する恋人に慰められ、献身的に支えてもらい復活を夢見る。こういう役どころはイーサンにぴったり過ぎる訳です。
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イーサン自身、「6才のボクが、大人になるまで」他でタッグを組んでいるリチャード・リンクレーター監督と以前からチェット・ベイカーの映画を作ろうとしていたぐらい、彼に魅了されていたようで、この役の前にみっちりトランペットのトレーニングを受け、その意気込みもバッチリ!加えて劇中歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」は、イーサン扮するチェットの色気が駄々漏れでイーサン史上、こんなにSEXYな彼を私は見たことがありません。このシーン、女性陣なんかはクラクラしちゃうと思いますYO!
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 チェットはドラッグでトランペッターとしての人生を終わらせてしまうかと思いきや、自分にはトランペットしかないという気持ちや音楽に対する純粋なまでの愛、そして恋人の支えで奇跡的なカムバックの機会を得ます。でもここが正念場、という時にチェットはまた選んではいけない道の方へ、引っ張られていくのです。彼の弱さと言われればそれまでですが、それを選ぶことでしか生きられないと感じている彼の闇、彼の絶望的な悲しみがどこか哀愁たっぷりで、そういう想いを抱えているからこそ、彼だけの音楽が生まれる、そんな風にも思えます。
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 イーサンはこう語ります。「薬物は"悪"だ。そんなのは当たり前だ。僕が表現したかったのは"悪"の仮面の下に隠された人間の姿だ」と。あんなにも破滅的でどうしようもない男なのにその仮面の下にある彼の憂い・・・もうたまりません。そもそも「イーサン・ホーク、知らんがな」という方々にも、彼が演じるチェットの魅力でこの映画の虜になることをお約束します!


By.M
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