『ようこそ映画音響の世界へ』
『テネット』が大ヒットスタートを切り、「大作を大きなスクリーンで観るって最高だな!」と思っていただいた方も多いのでは?でもそもそもなぜ映画を映画館で観るのか、観たいのか、その理由は人それぞれだと思いますが“音響”の良さをあげる人は多いハズ。今回は映画を彩る“音”にフォーカスしたドキュメンタリー映画、9/25(木)公開『ようこそ映画音響の世界へ』をご紹介します。
映画音響の素晴らしさを語るべく登場するのはルーカス(『スター・ウォーズ』シリーズ)、スピルバーグ(『ジュラシック・パーク』ほか)、デヴィッド・リンチ(『エレファント・マン』ほか、アルフォンソン・キュアロン(『ROMA』ほか)、そしてクリストファー・ノーラン(『インセプション』ほか)と名立たる監督たち。(まだまだ他にも登場!)彼らが自分の映画を完成させるのにどれだけ“音響”に助けられているか、それが伝わる程にみんな熱弁をふるいます。
前半はトーキー映画になって以降モノラル(音を1つのスピーカーから出力)のサウンドがステレオ(左右のスピーカーに振り分けられる)になり、5.1チャンネルになってサラウンドになり(音に包まれるような立体的な音、映画館で映画を観るとこれ!)という映画におけるサウンドシステムの歴史をターニングポイントになった映画を参考に紹介してくれます。映画館で観ると実際のスピーカーを通してこれが実感出来るのでガッテン!度合いが増します。
そして後半は映画の音響自体がどうやって構成され作られているのかをこれまた実際の映画を参考に監督や音響に関わるスタッフたちが解説してくれます。考えればアニメーションなんてゼロから全ての音を作らなければならないし、宇宙を舞台にした映画もない音をあると仮定して作らねばだし、感情を盛り上げるバックミュージックなんかもゼロから作られる、入ってはいけない音を消したり、足りない音を追加したりと「映画にとって音響がこんなに比重が高いのか!」と再発見で「映画体験の半分は音だ」というルーカスの言葉も納得です。
また“音響”といったテクニカルな仕事だとスタッフの多くは男性なんだうろう、といったイメージがありますがカレン・ベイカー・ランダーズ(『007スカイフォール』ほかの音響編集)、アンナ・ベルルマー(『ラストサムライ』ほかの効果音ミキサー)など女性スタッフの活躍にもスポットが当てられます。
本作のミッジ・コスティン監督も『アルマゲドン』ほか音響編集を担当しアカデミー賞にもノミネートされていて、男社会と言われていた業界の中で実績を出し輝く彼女たちはとてもかっこいい。『スター誕生』の音響秘話におけるバーブラ・ストライサンドのくだりなんかもシビレるのでご注目です。
本作は音という見えないものを視覚化させるやり方でいろいろ説明してくれるのでとてもわかりやすく、新旧の人気映画の一場面を使って“音響”の素晴らしさを教えてくれるので登場した映画をまた見直したくなっちゃいます。これまで好きだった映画がもっと好きになる、これから映画の見方も変わる!映画が好きな方には必見のドキュメンタリー映画なので是非お見逃しなくーーー!
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