『世界で一番しあわせな食堂』
コロナ疲れが溜まっている皆さんに気分転換になる心温まる“ぽかぽか”ストーリーをお届けします。今回ご紹介するのは世界幸福度ランキング第1位のフィンランドからやってきた、2/19(金)公開『世界で一番しあわせな食堂』です。
舞台はフィンランドの小さな村ポホヤンヨキ(覚えられない!w)。そんな場所に似つかわしくない中国人親子のチェン(チューパック・ホング)とニュニョ(ルーカス・スアン)がやって来た。チェンはどうやら人探しをしている模様。食堂で働くシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)と何とか片言の英語で会話をし、食堂にやってくる村の人たちに尋ねてみるも手掛かりはなく、ひょんなことからシルカが人探しをサポートする代わりにチェンが食堂の手伝いをすることになります。実はチェンは上海の高級料理店の元オーナーシェフ。人探しは進展しないもの、チェンが作るチャイニーズ料理は評判になり食堂は大盛況になっていきます。
雄大な自然が広がる日本人にとっても憧れの地フィンランドを舞台に素朴な人たちの優しさが行き交う、それも見るからに美味しそうな料理を通して・・・と言うのを聞くだけで気分も温まってきますよね。派手さがある訳ではないけれど、ゆったりと穏やかな気分にしてくれるのがこの映画なんです。
とにかくチェンの実直な人柄と彼の作る料理が魅力的。実はフィンランドは(今でこそ美味しいレストランも増えたそうですが)元々は空腹さえ満たされればいいという考えの元、食にあまりこだわりがない国だそうでシルカの食堂で出される料理もジャガイモ、ソーセージ、野菜と超シンプル。たまたまここに中国からの観光客が団体で訪れた時、困ったシルカをチェンが助けたことから物語は動き始めます。地元の食材を使ったチェンが作りだす料理は医食同源の元、見た目も味も心のこもった温かい優しい料理ばかり。
最初は訝しげに見ていた食堂常連のお爺ちゃんたちもチェンの料理を口にするとその味の虜になってしまいます。この一見頑固そうだったお爺ちゃんたちが一度心を許すと全面的に彼を受け入れるようになる様もまたチャーミング。フィンランド発祥のサウナでお爺ちゃんたちがチェンを誘い、心も身体もまさに裸のお付き合いで心をさらにグっと通わせていくのです。そう、こういう時に言葉は必要ありません。
でも一人息子のニュニョは心を閉ざし一人ぼっちのまま。亡くなった母親のことが頭から離れないうちに異国の地に父親とたった二人で来てしまったから。それでもルシカに優しさに、常連のお爺ちゃんたちの見守りに、近所の子供たちとのふれ合いに、そしてチェンもまっすぐに息子と向き合うことでニュニョの心も次第とほぐれていくのでした。
ポホヤンヨキ村には現代的な生活を送る上で機能的なもの、便利なものはないかもしれませんが、素朴でオープンな場所だからこそ人は素直に自分と向き合えるし、住まう人も自然とそうなっていく、そこに相乗効果のようにチェンの料理がプラスされていくのですからルシカの食堂が“世界で一番しあわせな食堂”となるのも納得です。
この映画を観ればきっと温かいスープを飲んだ時のように優しさがしみじみと身体に心に沁み入っていくと思いますし、まだまだ海外旅行もお預けですのでスクリーンを通してフィンランドに行ってみた気分に浸ってみてくださいね。
By.M
(C)Marianna Films