『クレオの夏休み』
「最近、よかった映画何?」と聞かれるとこの映画を挙げていますシリーズ第二弾、今回ご紹介するのは7/12(金)公開『クレオの夏休み』です。
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父親とパリで二人暮らしの6歳のクレオ(ルイーズ・モーロワ=パンザニ)はナニー(乳母)のグロリア(イルサ・モレノ・ゼーゴ)のことが大好き。お互いに母娘のように暮らしていたのにグロリアは故郷の地に帰らねばならなくなり、突然の別れがやってきます。どうしても彼女に会いたいクレオは父親から許しを得て、グロリアの住むアフリカの北西沖に浮かぶ島国カーボベルデへひとり向かいます。
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もうとにかくクレオちゃんの可愛さがたまらない。(公園で遊んでいたところをスカウトされたシンデレラ・ガール!)表情豊かなクレオちゃんがグロリアと一緒にいる時のやり取りは観ているだけでこちらの心も解けるほど。あまり一緒にいられない父親や母親のいない寂しさを抱えながらも、グロリアからの優しさを受けるクレオちゃんは本当に幸せそう・・・・だからこそ、グロリアが故郷へどうしても帰らねばならなくなった時のその動揺にこちらまでもらい泣き・・・あまりの落胆ぶりに「グロリアに会いに行きたい!」という望みをお父さんもグロリアも叶えてあげるのでした。
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言葉も通じない異国の地でクレオちゃんはたくさんの初めてを経験します。パリとは全く異なる自然に溢れる環境の元、全てが刺激的だしグロリアと一緒にいられることが何よりも嬉しい。でもその反面、周りの大人がグロリアのように誰しも無条件に優しい眼差しを向けてはくれないこと、グロリアの愛情が自分だけには向けられないことで怒りや不安が彼女の心をざわつかせます。
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そういった感情にどう対処していいか術を知らない幼いクレオ。負の感情にもまっすぐに突き進んでいく姿は危なっかしいのですが子供がきちんと子供である様に愛おしくなっちゃう。純粋がゆえに自分本位になってしまうこともあるけれど、そういう負の部分が自分の中にあることを知り、向き合うことも成長過程として大事だもの。そして間違ったことに対してきちんと諭しを与えるグロリア。大人がちゃんと大人の役目を果たすことの大切さにも気付かされます。
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クレオちゃんが愛おし過ぎてもはや私は予告を観るだけで泣けるし、微笑んでしまうんですが、グロリアが家族を置いて一人パリで働かねばならなかった背景やグロリアの不在によって抱えていた家族たちの悲しみも描かれていることにこの映画の誠実さも感じます。
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クレオちゃんはたくさんの初めてを通して出会う感情に戸惑いますが、たったひと夏で健やかに、しっかりと成長します。そのまばゆい姿を皆さんにもぜひ見てほしい!この夏の思い出はクレオちゃんと共に♪
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