『ビーキーパー』
あけましておめでとうございます。本年もシネマイクスピアリを宜しくお願い致します。さて、新年1本目にお届けする映画は正月疲れや休みボケを吹っ飛ばす1/3(金)公開『ビーキーパー』です。
主人公は田舎で養蜂家(ビーキーパー)をしながらひっそり暮らす男アダム・クレイ。素性が知れない彼に近付く者はいないが唯一、善良な老婦人が彼に住む場所を貸し、優しく接していた。しかし彼女が詐欺組織に全財産をだまし取られ、絶望のあまり自ら命を絶ってしまう。かつて秘密組織“ビーキーパー”に所属していたクレイは復讐のため立ち上がる・・・・
その復讐の鬼と化する男クレイを演じるのがジェイソン・ステイサム。となると「いつものやつか~」という気持ちにもなりますが、油断してはいけません。今回被害に遭う女性、元の発端はPCの偽セキュリティ警告に騙され、サポート会社に連絡、そこから言葉巧みにPCにパスワードを入れてしまったことから全財産を失くしてしまいます。
オレオレ詐欺やフィッシング詐欺が横行しているニュースが溢れる昨今。被害に遭うこの女性がまんまとその術中にはまっていく過程がほんと他人事じゃない。「こういうのに騙されたちゃダメ!」のお手本のような展開に胃がキリキリします。
しかも本作の脚本家の叔母さんが実際に詐欺被害に遭い、無一文のままこの世を去っている、その苦々しい記憶がこの映画の脚本の着想にもなっているとのこと。やり場のない怒りや無念の思いをせめて映画の中で昇華したかったに違いありません。なのでクレイによる復讐はほんと容赦なく、全力でキレまくってます。でもこういった背景を知ると「思う存分やりなはれ」といった気持ちにもなりますね。(映画ですしね)悪いヤツを正面から無駄なく徹底的にとっちめるステイサム無双はもう笑っちゃうぐらいスッキリ爽快です。
『イコライザー』シリーズのロバート・マッコールさんよろしく、悪いヤツは元から絶たなきゃダメ!の精神でこの詐欺グループの本丸に辿り着くまでクレイは追って追って、追い詰めまくります。つまり、蜂の世界も女王蜂から恩恵を受けたいがための底辺の働きバチをこらしめたところでびくともしません。“ビーキーパー”であるクレイが悪い犯罪組織をやっつける様を蜂の社会に見立ててるとこなんかもこだわりが見えるし、養蜂家だけど蜂を使ってやっつけるシーンは一つもないところに粋を感じます・笑
また詐欺集団のトップが若造社長というところも今っぽいし、彼を補佐するアドバイザーとして雇われている男をジェレミー・アイアンズが演じたりと加点ポイントも随所にあり!リベンジ・アクション映画としてキアヌ、デンゼル、リーアムと何人かの主演スターの顔が浮かびますが、57歳にして身体能力やアクションの切れ味としてはぶっちぎりのステイサム、本作のシリーズ化も全然ありなので何なら毎正月登場してほしい!
自分に唯一優しさを分け与えてくれた人への鶴の恩返しならぬ“ステイサムの恩返し”、映画初めの1本にオススメです!
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