『マイ・ファニー・レディ』

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 みなさん、こんにちは女住人Mです。今年の年末年始はなんてったってスター・ウォーズ祭な訳ですが、単館系の作品でこんな素敵なのもあるんですよということで12/19(土)公開の『マイ・ファニー・レディ』をご紹介いたします。
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 映画はある女性がインタビューを受けているシーンから始まります。主人公はかつてコールガールをしていたハリウッドスターのイザベラこと"イジー"(イモージェン・プーツ)。偶然に出会った演出家のアーノルド(オーウェン・ウィルソン)からの「君の将来のために三万ドルをプレゼントする」という申し出に、人生が一変したことを語ります。物語はコールガールだったイジーがアーノルドによって人生を変えるきっかけを与えて貰ってから以降、ひょんなことで繋がっていく様々なドタバタとその人間模様を描きます。
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 監督は今年76歳の巨匠ピーター・ボグダノヴィッチ。まだ30代だった頃にメガホンをとった「ラストショー」、「ペーパームーン」といった作品で映画ファンから絶大な人気を得たのですが、その後ヒット作にめぐまれなかったりプライベートで不運があったりと決して順風満帆ではなかったのですが彼を慕う映画人にサポートされ、本作は13年ぶりの最新作。今回も監督が"息子たち"と呼ぶ「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督、「イカとクジラ」「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督がプロデューサーとして完全バックアップしています。

 コールガールと客という立場で出会ったイジーとアーノルドですが、なんだか意気投合。今はコールガールだけれど"女優になりたい"という確固たる夢をもっていたイジーに三万ドルという無償の施しを与えたアーノルド。その後自身の舞台のオーディションにイジーがやってきたことから「こんな偶然が一気に起きたらもう大変!」というトラブルがどんどん勃発します。そして登場人物の誰かしらが誰かと繋がり、絡み合っていくのです。それらは76歳というご高齢のボグダノヴィッチ氏が監督し、脚本も手がけているとは思えない程テンポよく展開することで映画を観ている間中、もう本当に笑いが止まりません。
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(コメディエンヌとしてもセンス抜群のジェニファー・アニストンは感情過多なセラピストで登場。
むちゃくちゃ過ぎて最高です!)

 加えて、演じる役者たちがみんな芸達者だし、それぞれが本当に楽しそうに演じているし、彼らの素の人間性までも滲み出ているかのようなキャラ設定で誰も憎めない。主人公のイジーはコールガールだったけど、自暴自棄な感じだったり、悲壮感みたいなものは全くない。家が裕福でないから最低限の生活費を稼ぐためにたまたまその仕事を選んであるだけであって、常に"女優になる"という強い思いが自分の中心にあって、まっすぐ生きている。まさに天真爛漫な女性なので、スターになりインタビューを受けてもあっけらかんと自分の過去は語るし、自分の人生を決して卑下していない。そんなまっすぐさがあるからこそイジーに関わる人々はすべからく彼女に魅了されちゃうんでよね。それはこの作品を観ている観客にも言えることなんです。
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イジーと一度だけ関係をもってしまったアーノルドもいっつも「困ったな~」って言っているようなイメージがあるオーウェン・ウィルソンが演じているのもちょっと反則!(笑)どこか少年ぽさが抜けずに、ともするとダメ人間の典型みたいなキャラなのにオーウェンが演じるので「もうしょうがないな~」という温かい眼差しで見守ることとなるのです。
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 この映画は観ている間中、そして観終わった余韻に至るまで、楽しくて、おかしくて、幸せな気分になります。そういった作品の多くは映画の作り手たちが演じること、映画に関わることが本当に好きなんだな~、と思わせてくれることが多く、相乗効果でその映画をまるっと好きになっちゃうんですよね。そんな私もこの映画の虜なのでした。
これからの浮足立つ季節、大人のデート映画にもオススメですよ。
By.M

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