『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。ここ数年、世の中は空前の猫ブームなようで、私の周りにも飼っているにゃんこについてそれは愛おしく語る人々多数。そんなブームにあやかる訳ではありませんが、にゃんことの出会いで人生をやりなおしていく青年の姿を温かく描く9/1(金)公開『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』をご紹介します。
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 ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)はホームレスで薬物依存症の青年。親からも見放され、ストリートミュージシャンをしながらその日暮らしの生活を続けていた時に野良猫と出会います。"ボブ"と名付けられた茶トラの猫はその日からジェームズと一緒に生活をしていきます。

本作は本国イギリスを始め世界中でベストセラーになっているジェームズさんの自伝「ボブという名のストリート・キャット」の映画化。本作のロンドンプレミアに参加したキャサリン妃も絶賛の1本です。しかも劇中ボブを演じているのは本物のボブ。高齢のため、逃げたり、走ったりする動きの多いシーンは7匹のプロ!?猫がそれぞれ演じたそうですが、多くはリアル・ボブが演じているところも見所の1つ。
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喉を鳴らすゴロゴロという声がスピーカーから響き渡り、ボブ目線のロンドンの日常、ジェームズの肩やギターに鎮座するボブとどのシーンを観ても岩合さんの「世界ネコ歩き」にも負けない愛らしさでにゃんこ好きの方は勿論、そうでない方の心もガッシリ猫つかみは間違いありません。
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そしてどんな人の心も捕えてしまうボブの魅力が余すことなく描かれているだけでなく、ボブが寄りそうことになるジェームズの人生模様がまた沁みます・・・。ジェームズは心に傷を負ったことで薬物依存症になっています。ダメなことは重々承知しているので、更生プログラムを実践しドラッグを絶ち、何とか社会復帰をしようと思っています。更生担当者ヴァル(海外ドラマシリーズ「ダウントン・アビー」のアンナでお馴染みジョアンヌ・フドガット)に「もう次はないから、本当に更生を約束して」と叱咤され住居を都合してもらいます。
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どんな理由があれ、心の弱さから薬物に手を出してしまうことは肯定出来るものではありませんが、過ちを犯したことを悔いている人、そこから抜け出したいと願う人に心から寄り添う存在がコミュニティーとして機能しているというのは健全です。ジェームズは「今度こそ。」と決意した時にボブに出会います。どうも捨て猫らしく、おまけに怪我をおったボブはまるで自分と同じ存在に見えたのかもしれません。自分が生活するのもやっとですが、自分のことは後回しにして面倒をみます。最初はこの子を助けなきゃ、この子には僕がいないと・・・という気持ちだったと思いますが、そんな感情が彼の心を変えていく様が何ともほんわかします。
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そう、例え言葉が通じなくても、愛情を与えることが、与えられることにもなるし、助けることが、助けられることってありますもんね。ただそこにいてくれるだけで良い、そう思える存在があることで人はとても強くなれるものです。そしてボブへ愛情を注ぐことで、人に対しても閉ざしていた心が溶けていったのかもしれません。これまではなかなか思う通りに進まなかった人生もボブと出会ったことで彼の中の何かが変わり、彼の人生そのものすら変えていくようになるのでした。
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(劇中、リアル・ジェームズさんもチラリと登場!)

人生一人で生きているように思っても、誰かの存在なしでは生きていけないものです・・そんな人生の相棒にボブみたいなにゃんこがいてくれるなら、この上ない幸せですね。

 因みにジェームズさん、自分と同じように挫折した人がまたチャンスを手に出来るよう、本の売り上げなどの多くは慈善団体に寄付し、現在もチャリティ活動に力を入れ、ジェームズの恩返し的人生を歩んでいらっしゃるとの事。え~話や。

By.M
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