こんにちは女住人Mです。「この監督の新作は必ず映画館で観る!」という方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?今回ご紹介するのは9/9(土)公開、クリストファー・ノーラン監督最新作『ダンケルク』です。
第二次世界大戦下、フランス北端の港町ダンケルク。ドイツ軍によってこの地まで追い詰められた英仏連合軍約40万人。時の英国首相チャーチルは彼らをダンケルクから救出することを命じ、イギリス国内から軍艦ほか、民間の漁船を始めあらゆる船舶を総動員して撤退させる"ダイナモ作戦"を発動。本作は桟橋で救出の舟を待つ兵士たち、小型船で救助に向かう民間人の親子たち、空からの襲撃を何とか阻止しようとする英国空軍兵士たち、と陸・海・空の3視点からの救出劇を描きます。
クリストファー・ノーラン、代表作に「ダークナイト」「インセプション」「インターステラー」と47歳にして既に巨匠の風格が漂う、2000年代を代表する映画監督。その彼が初めてチャレンジする史実の映画化です。観客に劇場で映画を楽しんで貰うことに全ての神経を注ぐノーラン監督が自身の映画で大切にしていることが"没入感"と"共有体験"。本作でも映画が始まってすぐ"没入"体験は始まり、本編尺106分という短さながら、疲労感は長編級、ダンケルクでのダイナモ作戦への仮想体験度120%。
加えて冒頭から巨匠ハンス・ジマー大先生が手掛けるスコア(映画音楽)が絶好調!特に本作では弦楽器の音色が追いつめるように鳴り響き、かつ急かすように時計の秒針の音がカチカチカチカチと刻み続け、心臓音と合い間ってその煽られ感たるや。登場人物たちとの共有体験度合いも相当のものです。またCGを嫌う現物嗜好のノーランは主要の場面はダンケルクで撮影し、実際に舟を沈没させ、実物の空軍機スピットファイアや駆逐艦を借りて撮影したりと一切妥協なし。大群の人だって書割です。(さすがにこれはCGの方が安いし楽じゃない?ねぇ、ノーラン)
(英空軍パイロット・ファリア、演じるはトム・ハーディー。マスクを被っているシーンが多いけど抜群の演技力で観る者もノーランの心も離さない。)
ただこういう作品を"戦争映画"という括りで敬遠する方もいると思いますが本作はタイムリミットを肌で感じるまるでサスペンス映画のよう。ダンケルクから一刻も早く逃げ出さねばという緊張感、早く兵士たちを救わねばという焦燥感、いつドイツ軍に襲われるともわからない切迫感をただひたすら追体験する映画なんです。それが圧倒的な映像と音響で描かれる・・・もう観ているこっちの体力もどんどん奪われます。
そして"戦争映画"=残酷描写となりがちですが「そういうのは過去の名作が描いてきたから・・・」とノーランが言ったかどうか定かではないですが、流血シーンや目を覆いたくなるようなシーンは一切なく、とにかく生きてhome(故郷)に帰ろうとする兵士の必死な姿が重点的に描かれます。そんな映画になっているのもダンケルクにおいては敵を倒すことが勝利ではなく、生き抜くことが命題だったからでしょう。
劇中でも生きて帰ることに罪悪感を抱える兵士の姿も描かれますが、生き抜くことが全てのこの闘いにおいて、彼らはただ生きて帰ったことを祝福される存在となります。もちろん、その一方で犠牲になった者の物語もあり、生き伸びてもその後に絶望しかない人生を抱える者もいます。それでも"生き抜く"ことは希望の一歩になりうる・・・。これまでの"戦争映画"とは違うベクトルで表現された本作、是非スクリーンでご体感ください!
(陸は1週間、海は1日、、空は1時間と異なる時間軸で描かれる本作。
セリフが少なめで余白がある分、イマジネーションも膨らみ、こういった演出も光ります。)
戦地に向かった兵士のほとんどは若者だったため、本作においてもメインで登場する役者は今後活躍が期待される役者が揃いました。脇を固めるのはノーラン作品常連俳優のキリアン・マーフィー(上手すぎ!)、トム・ハーディ(かっこよすぎ!)、そしてオスカー俳優マーク・ライランス(渋すぎ!)、英国を代表する名優ケネス・ブラナー(おいし過ぎ!)が加わり若き演技派イケメン俳優から、魅力たっぷりな名優まで英国(界隈)の素敵な俳優勢ぞろいとなっています。
(自身の船でもって救出に向かうドーソン(マーク・ライランス)と息子と同乗する青年ジョージ。彼らの物語がまたたまらない。)
息詰まるシーンも多いですが、キャスティングにも定評なノーランが選んだ俳優たちを愛でつつ、彼らに心を奪われてみる、という楽しみ方もオススメします!
By.M
©2017 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.ALL RIGHTS RESERVED.