皆さんこんにちは女住人Mです。今回ご紹介する作品は口コミで評判が拡散中、1/14(土)公開『幸せなひとりぼっち』です。
本作はスウェーデン映画で本国990万人の人口で約5人に1人が観たという国民的映画。昨年12/10に開催した「LiLiCoと映画とおしゃべりとVol.10」でもスウェーデン生まれのLiLiCoさんに「この冬、絶対観てほしい1本」と大絶賛を頂きました。そして都内で公開されるやいなや大ヒット、それを受けシネマイクスピアリでも緊急公開と相成りました。
主人公は妻を亡くし独り身、43年も勤めた会社も突然クビになり、悲しみにくれているオーヴェ(ロルフ・ラスゴード)59歳。昔っから口うるさく、ルールは厳格に守り、他人のやることにもいちいち口を挟む、何かと文句が多い彼は近所の鼻つまみ者だったのです。そんな彼の家の向かいに新しい家族が引っ越してきたことで、彼の人生は変化していきます。
本作はもともとスウェーデンのベストセラー小説。頑固で気難しい父の日常を原作者がブログにアップしたら「うちの父とそっくり!」と共感コメントが多数届けられたことをきっかけに小説にしたそうです。という訳でこの映画で語られる頑固おやじオーヴェの日常は「そうそう、なんで年を取ると人ってこんなにワガママに拍車がかかるの?」と自分の周りだったり、最近いろいろなことが譲れなくなっている自分に対しても思い当たる節があるな~、と他人事ではありません。
オーヴェは本当に偏屈で、まぁ言っていることは正しくもあるのですが、融通が利かないし、自分の物差しを他人にも強制するので「あ~こんな人とは関わりたくないよ」なんて思っちゃう。でもオーヴェが毎日のように亡き奥さんのお墓参りに行っては一人しょぼぼんと愚痴をこぼしたり、お花を取り替えていたり、近所の人に何だかんだ文句を言いながらも気にはなっている様が描かれるので、どこか憎めない。
しかも、自暴自棄になったオーヴェは自殺を試みるのですが、これが全くもってうまくいかない。死のうとしている時までも他人が自分のルールに反する行為を目にすると、そっちの方が気になってしまうという・・・笑っちゃいけないのに笑っちゃうんですよね。
そしてオーヴェはいつも奥さんのことを思っているので、物語でも奥さんと過ごした日々が回想シーンのように何度も、何度も登場します。出会い、結婚、日々の生活と幸せいっぱいな中でも時に降りかかる苦難。それも二人で必死に乗り越えてきた、そんなシーンがとても素敵に描かれるので、オーヴェの頑固な行動も受け止められない悲しみへの抵抗なのかな、と考えると本当切なくなります。それでもオーヴェは新しく隣人になったパルヴァネとその家族たちとの出会いであることに気付くのです。自分は結局は独りでは生きられないし、独りで生きていると思っても、全くもってそうではないし、そんな自分も誰かが生きるための支えにもなれることを・・・・。
本当、年を重ねれば重ねる程、一人楽チン、とか自分は独りで生きているように思うのですが、内に内に入ってばかりだとロクなことはありません。先日「独り身が年を重ね閉ざしていくと行き着く先は"孤独死"」というありがたい言葉を頂戴し、そんな時にこの映画を観た私は、苦手でも別の何かと関わるという行動を年寄りになればなるほどしなければ・・・なんて思ったのでした。なんか寂しい締めになりましたが、本作はちょっとした人との繋がりが心を軽くする、日常をささやかだけど幸せにする、そんなことを描いているとっても素敵な作品なので誤解なさらずに~笑
By.M
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